3月18日(金)
東京からの脱出を呼びかけてきたドイツのBさんからのメールに、「メールをもらって、原発事故の深刻さを初めて認識しました。私たちはこれについての情報が不足しているのを感じています。」といった返事を書いたら、Bさんから、いろいろと情報提供をしようという親切心から、長いメールが届いた。プリントアウトして仕事の帰り道、それを読んでいるうちに、だんだん気分が重くなってきてしまった。
そのメールには、この震災関連での日本についての海外でのネガティヴな報道の内容が詳しく伝えられていた。例えば、ドイツの特別救助隊が日本に到着したとき、アルメニアやハイチの災害時でドイツ隊が受けたような、当事国の政府要人による出迎えが日本ではなかったこと、ロシアの原子力専門家達に入国許可がなかなか下りなかったことへの不審、日本政府や東電の絶望的な危機管理能力への批判など… それらを伝えるニュースサイトのリンクも貼ってくれていた。自国の支援体勢がどんなに優れ、日本がどんなに自立した国家であろうと、この大災害を一国だけで解決できるなどあり得ない、世界からの援助が必要だ、と綴られていた。
Bさんの友達が、なけなしの大枚を日本のために送った、といった心温まる話も書かれていたが、全体に日本に対するドイツでの厳しい論調は、今の僕にはとても辛く、伝えてくれたリンクの記事を読む気にはとてもなれなかった。
そんな気持ちを伝えておかなければ、また次々と同じようなメールが届いてきそうな気がしたし、当事者でなければわからない辛さがあることをわかってもらいたくて、Bさんにそんな内容のメールに書いた。
このメールにBさんからは、「日本人の礼儀正しさは世界一で、私たちはみんな、心からそんな日本を心配している。」という慰められる内容の返信がきた。
いずれにしても、海外では、日本で度々伝えられているように、日本への同情や、助け合いの精神を称賛するような報道ばかりされているわけではないことを知った。
けれど、僕はBさんから2度目に届いたメールを励みにしたい。日本をバッシングする声はあるにせよ、世界中の大勢の人たちが日本を心から心配し、援助の手を差し伸べてくれようとしていると信じたい。
以下に、批判的なメールに対する僕からBさんに送ったメールと、それに答えて元気づけようとしてくれたBさんからのメールを紹介する。
東京からの脱出を呼びかけてきたドイツのBさんからのメールに、「メールをもらって、原発事故の深刻さを初めて認識しました。私たちはこれについての情報が不足しているのを感じています。」といった返事を書いたら、Bさんから、いろいろと情報提供をしようという親切心から、長いメールが届いた。プリントアウトして仕事の帰り道、それを読んでいるうちに、だんだん気分が重くなってきてしまった。
そのメールには、この震災関連での日本についての海外でのネガティヴな報道の内容が詳しく伝えられていた。例えば、ドイツの特別救助隊が日本に到着したとき、アルメニアやハイチの災害時でドイツ隊が受けたような、当事国の政府要人による出迎えが日本ではなかったこと、ロシアの原子力専門家達に入国許可がなかなか下りなかったことへの不審、日本政府や東電の絶望的な危機管理能力への批判など… それらを伝えるニュースサイトのリンクも貼ってくれていた。自国の支援体勢がどんなに優れ、日本がどんなに自立した国家であろうと、この大災害を一国だけで解決できるなどあり得ない、世界からの援助が必要だ、と綴られていた。
Bさんの友達が、なけなしの大枚を日本のために送った、といった心温まる話も書かれていたが、全体に日本に対するドイツでの厳しい論調は、今の僕にはとても辛く、伝えてくれたリンクの記事を読む気にはとてもなれなかった。
そんな気持ちを伝えておかなければ、また次々と同じようなメールが届いてきそうな気がしたし、当事者でなければわからない辛さがあることをわかってもらいたくて、Bさんにそんな内容のメールに書いた。
このメールにBさんからは、「日本人の礼儀正しさは世界一で、私たちはみんな、心からそんな日本を心配している。」という慰められる内容の返信がきた。
いずれにしても、海外では、日本で度々伝えられているように、日本への同情や、助け合いの精神を称賛するような報道ばかりされているわけではないことを知った。
けれど、僕はBさんから2度目に届いたメールを励みにしたい。日本をバッシングする声はあるにせよ、世界中の大勢の人たちが日本を心から心配し、援助の手を差し伸べてくれようとしていると信じたい。
以下に、批判的なメールに対する僕からBさんに送ったメールと、それに答えて元気づけようとしてくれたBさんからのメールを紹介する。
pocknからドイツのBさんへのメール (3/18 1:25) くわしい情報提供、ありがとうございます。メールを読んで、私は申し訳ないような気持ちになっています。ドイツの特殊援助隊が到着したとき、日本政府の要人が出迎えなかった非礼、せっかくのロシアの原発専門家の派遣申し出に、なかなか入国許可が出なかった非礼についてです。 けれど、アルメニアやハイチへの援助では出迎えられたドイツ隊が、日本政府要人の出迎えを受けなかったことは、今回の災害がどんなに大きかったか、ということをわかってもらいたいのです。これまでいくつもの大震災を経験した日本でさえ、経験したことのない未曾有の大震災だったことをです。 ロシアの原発専門家への入国許可が滞ったことは、何かの手違いからきた例外的なケースだったと思いたいです。なぜなら、あなたのおっしゃる通り、今回の災害は日本一国で立ち向かえるものではなく、世界中からの援助が求められます。そして実際日本は、世界からの援助を受けています。今日の新聞でも、これまで116の国と国際機関から援助の申し出があり、現在、約800名の援助隊が、被災地で援助活動を行なっている、という記事が載っていました。その中には160人のロシアからの援助隊がいたことも。 政府や東電の絶望的な危機管理能力についてのあなたの意見は、全く正しいかもしれません。日本でもマスコミは連日、政府や東電の対応を批判しています。けれど、批判してばかりいても始まらないと思うのです。今の政府に代わる政府はすぐにはないわけだし、東電に代わってこの事故に対処してくれる電力会社は他にいないわけですから。それに、この政権を選挙で選んだ私たちにも責任があるのです。 私や家族は、直接被災したわけではありませんが、今はいろいろなことに疲れてきました。私達はいつも大きなストレスを抱えています。どこまでも続く大渋滞、駅や電車での大混雑、毎日のようにやってくる停電はいつまで続くかわかりません。牛乳やパンや卵といった食料品を見つけるのも大変です。それに加え、殆どの娯楽が中止になっています。楽しみにしていたコンサートやオペラ、映画の上映、美術展までも軒並み中止です。 今の私には、頂いたメールに記された、海外での日本に対する批判的・否定的な声を受け入れる心の余裕がないのです。そして、メールにわざわざリンクを貼ってくれたサイトの、批判的な記事を読むエネルギーがないのです。こんなことをお伝えすることを、どうか悪く思わないでくださいね。あなたは「情報が少ない」と書いた前回のメールを読んで、本当に親切心からこのような情報を提供してくれたことはよくわかります。 その一方で、世界中の人達が日本のために義援金を送ってくれているというニュースや、あなたのお友達が、なけなしの大枚を送ってくれたという話は、私だけでなく、日本人みんなに勇気と慰めを与えてくれます。 原発事故も、状況はとても良くないようですが、 それでも私は、この状況が一時でも早く落ち着くことをずっと願っています。 心からの挨拶を込めて |
ドイツBさんからの返信 (3/18 4:30) そんな風に申し訳ない気持ちになることは全くないんですよ。あなだだけではなく、日本の有権者も自分を責める必要はありません。私たちはみんな、日本人は本当に礼儀正しく、友好的であることをよくわかっています。今も度々新聞やテレビ、ラジオの多くの日本についての報道で、それは伝えられています。日本人の礼儀正しさは、諺にもなっているほどで、世界中で良く知られています。あなたもご存知だと思いますが、私たちドイツ人はそれに比べて、なんでもストレートでズケズケとものを言うということで悪名高く、そのために、私たちは度々、失礼なことや、非友好的なことをしてしまうのです ;-) 政府というのは、しばしば愚かな決定を下すもので、これはドイツの政府も例外ではありません(今の私たちの政権です。私は投票しませんでしたが…)。私はただただ、被災地の人たちが気の毒で仕方がないのです。寒さに震え、供給経路が断たれて食べるものも、飲み物もとても不足していることが、気の毒で仕方ありません。彼らは本当に援助を必要としています。誰であろうと、とにかく早急に。日本の援助隊や被災地の救援体勢がとてもよく組織され、しっかり活動していることを、私たちはみんな知っています。外国での批判は、ただ日本政府や、東電の責任者の危機管理能力にだけ向けられているのです。原発事故の現場にいる人たちが、(危機回避のため)全力で取り組んでいる、ということは私たちも皆知っています。 全世界の人々が、日本の人々の運命に大きな同情を寄せ、義援金を送っています。たった今も、こんなニュースを読みました: 「アメリカ赤十字社が木曜日、CNNに伝えたところによると、女優のサンドラ・ブロックが、100万ドルの義援金を日本の被災者のために送ったとのこと。これは、これまでで最高額の義援金である。アメリカでの日本への義援金総額は、4700万ドルに達している。」 7時のラジオニュースで、東京で今日、政府と東電の不十分な情報提供へ反発する1000人のデモ行進が行われた、と言っていました。自分たちの日常生活自体が大変で、疲れきっていて、自分自身のことを第一にしなければならない最中に、デモを起こす力があることにびっくりしました。こんな時、人々のエネルギーというのは、自分たちのために向けられるのが普通であるだろうし、そうなって仕方ないと思うだけに。日本国民の側からの批判が行われるのは、次の選挙のときなど、もっと後のことでしょう。 原発事故での記者会見では、日本の記者達はあまり意味のない同じような質問ばかりをしていて、それに対し責任者は、意味不明な回答を繰り返している、という話を聞いています。日本式のこうしたやり取りには戸惑いを覚える、と伝えられていました。 お伝えしたリンクは、落ち着いてから、あなたがまたそれを読もうと思う余力と時間ができてから見てもらえればいいのです。今は、それどころではないのですから。 皆さんへ心よりのご挨拶を送ります。 |