10月11日(日)CHOR WAFNA 第31回定期演奏会
川口リリア 音楽ホール
【曲目】
1.多田武彦/男声合唱曲「Portrait de Familie(家族の肖像画)」
2.古寺ななえ(編)/男声三部合唱のための「合唱で時代劇」
笛吹童子、銭形平次、ああ人生に涙あり(水戸黄門)、だれかが風の中で(木枯らし紋次郎)、子連れ狼
Pf:武部純子
3. シベリウス/無伴奏男声合唱曲
ウースマーの人々の歌、舟歌、島の火、わが心の歌、ユモレスク、祖国に、フィンランディア讃歌
4. 大島ミチル/男声合唱曲 組曲「御誦(おらしょ)」
A:小川明子/Pf:武部純子/Perc:池上秀太、櫻井勇人
【アンコール】
1. シベリウス/木こりの歌
2. シューベルト/聖なるかな
3. いつでも夢を
【指揮】川合良一、車 真佐夫(2,アンコール3)
30年以上に渡り精力的に活動を続けている社会人が中心のアマチュア男声合唱団、コール・ヴァフナ。今回は新たに5人の新入団員を迎え、年を重ねるごとに深みを増すハーモニーと表現力に、新鮮な息吹も加わっての充実したステージを楽しんだ。
最初に取り上げられた多田武彦はヴァフナの定番。セピアがかった古い写真の持つ味わいや、うちに秘めた奥ゆかしくも一点を見つめる思いを、柔らかなタッチで描き、「タダタケワールド」の深層へと入り込んで行くのはヴァフナならではのアプローチ。音程が少々気になるが、声にばらつきはなく、まとまったハーモニーとして響かせて聴き手を歌の世界に引き込んでしまうのはある意味すごい。
第2ステージは昔懐かしい時代劇のテーマソングを集めた楽しいステージ。こういうステージはヴァフナの独壇場だ。篠笛を吹いたり、編笠や合羽、十手や印籠など様々な小道具を使った寸劇を交え、時代劇ならではの「定番のシーン」を面白おかしく演じつつ、車君の指揮で聴かせる歌が、これまたリアルで生き生きしている。寸劇も歌も、変な照れがなく堂々と演じられ、歌われてストレートに届いてきた。
後半最初のステージは、今年生誕150年を迎えたシベリウスの作品集。シベリウスのハーモニーで特徴的なほの暗さや懐かしさ、例えば「わが心の歌」での心の奥底に潜んでいる「痛み」の感覚や、「フィンランディア讃歌」に内包されている郷愁や愛惜の念を、川合先生の指揮によるヴァフナは温かく深みのある美しいハーモニーで内面を丁寧に伝え、ハイレベルな演奏を聴かせてくれた。
最終ステージの大島ミチルの「御誦」は、禁教令が出されていた時代に隠れキリシタンの間で伝承されてきた歌を素材に書かれた男声合唱に、ピアノ、二人のパーカッション、アルトの独唱が加わった大規模な楽曲。合唱団は歌だけでなく、足を踏み鳴らし、手拍子も入れ、演奏者達が一丸となって隠れキリシタンの一途な祈り、信仰への熱い魂をぶつけてきた。
打鍵楽器のピアノも打楽器と捉えるならば、手拍子や踏み鳴らしも含め、声と打楽器という、人間の思いを「音」で表現する上で最も原初的な表現形態が、いかに聴き手の心にストレートに伝わるかということを実践し、強いインパクトを与えた。そのなかで唯一女性の声を発した小川さんのアルト独唱が、土着的で熱くストレートな歌唱でこのパフォーマンスに相応しく、正に演奏全体に花を添えた。
コール・ヴァフナの演奏会を聴いていつもながらつくづく感じるのは、これほどの量も質もたっぷりのプログラムをこなした上に3曲もアンコールを歌うこの合唱団の精神力と体力のタフさ。更に演奏会全体をこれほどのレベルに持ってくるためには欠かせないはずの努力の積み重ねにも感服。この原動力は、やはり団員一人一人の歌と合唱団への愛情と情熱だろうし、それが川合先生との信頼関係を築いてきたのだろう。改めて今日はコール・ヴァフナの存在の大きさを感じた。
男声合唱団コール・ヴァフナ 第30回定期演奏会(2014.10.19 武蔵野市民文化会館)
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川口リリア 音楽ホール
【曲目】
1.多田武彦/男声合唱曲「Portrait de Familie(家族の肖像画)」
2.古寺ななえ(編)/男声三部合唱のための「合唱で時代劇」
笛吹童子、銭形平次、ああ人生に涙あり(水戸黄門)、だれかが風の中で(木枯らし紋次郎)、子連れ狼
Pf:武部純子
3. シベリウス/無伴奏男声合唱曲
ウースマーの人々の歌、舟歌、島の火、わが心の歌、ユモレスク、祖国に、フィンランディア讃歌
4. 大島ミチル/男声合唱曲 組曲「御誦(おらしょ)」
A:小川明子/Pf:武部純子/Perc:池上秀太、櫻井勇人
【アンコール】
1. シベリウス/木こりの歌
2. シューベルト/聖なるかな
3. いつでも夢を
【指揮】川合良一、車 真佐夫(2,アンコール3)
30年以上に渡り精力的に活動を続けている社会人が中心のアマチュア男声合唱団、コール・ヴァフナ。今回は新たに5人の新入団員を迎え、年を重ねるごとに深みを増すハーモニーと表現力に、新鮮な息吹も加わっての充実したステージを楽しんだ。
最初に取り上げられた多田武彦はヴァフナの定番。セピアがかった古い写真の持つ味わいや、うちに秘めた奥ゆかしくも一点を見つめる思いを、柔らかなタッチで描き、「タダタケワールド」の深層へと入り込んで行くのはヴァフナならではのアプローチ。音程が少々気になるが、声にばらつきはなく、まとまったハーモニーとして響かせて聴き手を歌の世界に引き込んでしまうのはある意味すごい。
第2ステージは昔懐かしい時代劇のテーマソングを集めた楽しいステージ。こういうステージはヴァフナの独壇場だ。篠笛を吹いたり、編笠や合羽、十手や印籠など様々な小道具を使った寸劇を交え、時代劇ならではの「定番のシーン」を面白おかしく演じつつ、車君の指揮で聴かせる歌が、これまたリアルで生き生きしている。寸劇も歌も、変な照れがなく堂々と演じられ、歌われてストレートに届いてきた。
後半最初のステージは、今年生誕150年を迎えたシベリウスの作品集。シベリウスのハーモニーで特徴的なほの暗さや懐かしさ、例えば「わが心の歌」での心の奥底に潜んでいる「痛み」の感覚や、「フィンランディア讃歌」に内包されている郷愁や愛惜の念を、川合先生の指揮によるヴァフナは温かく深みのある美しいハーモニーで内面を丁寧に伝え、ハイレベルな演奏を聴かせてくれた。
最終ステージの大島ミチルの「御誦」は、禁教令が出されていた時代に隠れキリシタンの間で伝承されてきた歌を素材に書かれた男声合唱に、ピアノ、二人のパーカッション、アルトの独唱が加わった大規模な楽曲。合唱団は歌だけでなく、足を踏み鳴らし、手拍子も入れ、演奏者達が一丸となって隠れキリシタンの一途な祈り、信仰への熱い魂をぶつけてきた。
打鍵楽器のピアノも打楽器と捉えるならば、手拍子や踏み鳴らしも含め、声と打楽器という、人間の思いを「音」で表現する上で最も原初的な表現形態が、いかに聴き手の心にストレートに伝わるかということを実践し、強いインパクトを与えた。そのなかで唯一女性の声を発した小川さんのアルト独唱が、土着的で熱くストレートな歌唱でこのパフォーマンスに相応しく、正に演奏全体に花を添えた。
コール・ヴァフナの演奏会を聴いていつもながらつくづく感じるのは、これほどの量も質もたっぷりのプログラムをこなした上に3曲もアンコールを歌うこの合唱団の精神力と体力のタフさ。更に演奏会全体をこれほどのレベルに持ってくるためには欠かせないはずの努力の積み重ねにも感服。この原動力は、やはり団員一人一人の歌と合唱団への愛情と情熱だろうし、それが川合先生との信頼関係を築いてきたのだろう。改めて今日はコール・ヴァフナの存在の大きさを感じた。
男声合唱団コール・ヴァフナ 第30回定期演奏会(2014.10.19 武蔵野市民文化会館)
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