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Musica sant'angeloコンクール披露演奏会/新人演奏会

2012年02月04日 | pocknのコンサート感想録2012
2月4日(土)第4回Musica Sant'angeloコンクール披露演奏会/第9回新人演奏会
ティアラこうとう小ホール

【曲目】
♪メシアン/世の終わりの四重奏曲~鳥たちの深淵
Cl:大久保香織
♪スカルラッティ/恋する蝶のように
♪ピッチーニ/ああ夜よ、神秘の女神よ
♪シューベルト/春への信仰
♪岡野貞一/朧月夜
MS:吉成文乃/Pf:樋口晃子
♪モーツァルト/「魔笛」~「復讐の炎は地獄のようにわが胸に燃え」
♪R.シュトラウス/セレナーデ
S:吉田奈央子/Pf:山田結花
♪サン=サーンス/序奏とロンド・カプリチョーソ
♪ヴィエニャフスキ/華麗なるポロネーズ
Vn:森垣静香/Pf:金澤亜希子
♪ヴェルディ/「ドン・カルロ」~「世のむなしさを知る神」
S:八方久美子/Pf:山田結花
♪クレストン/アルト・サクソフォーン協奏曲~第2、3楽章
Sax:神山智衣/Pf:星野綾乃

「ムジカ・サンタンジェロ」という「総合音楽芸術団体」が主催の音楽コンクールで受賞した若い演奏家達のコンサートを聴いた。

大久保さんのクラリネットは、「無」からかすかな音が生まれる冒頭から静謐な空気を漂わせていた。クラリネットの、音域による音色の違いを最大限に活かし、滑らかな息の流れで、淀みのない深い世界を、凛とした緊張感を持って描いた。メゾの吉成さんは、品のあるよく通る声で、ひとつひとつのフレーズを丁寧に、そして全体の線も大切にしながら、くっきりと表現していった。とりわけシューベルトでの、歌詞に呼応して色彩を鮮やかに描き分ける豊かな表現力は聴き手を大いに惹き付けた。自ら手がけた歌詞対訳を配ったことからも、詩への思い入れが感じられた。

吉田さんは、張りと輝きのある声がとてもきれいなソプラノだが、ちょっと無理に声を押す傾向があって表情も堅めになってしまったのは残念。森垣さんのヴァイオリンは、木の肌触りと温もりがある音が心に染みた。華やかな曲が選ばれ、確かなテクニックに支えられ、生き生きとした息遣いが伝わってきたが、しっとり系の曲も聴いてみたい。ひとつひとつの音に対する執念が更に明確になれば、インパクトは一層強くなるだろう。

3人目の歌手、ソプラノの八方さんは、豊かな声量でドラマチックな歌を聴かせてくれたが、表現がやや一本調子。最後に登場したサックスの神山さんは、微細で柔らかな音から力強い音まで、多彩な音のパレットを駆使し、幅広い表現力で躍動感溢れる音楽を聴かせてくれ、説得力のある充実した演奏を繰り広げ、聴き応えがあった。

演奏には感銘を受けるものが多かったし、音楽に真摯に向き合う姿には好感を持ったが、ステージの運営には「あり得ない・・・」と感じるところが多かった。すごいイルミネーションで飾られたステージはとても目障りだったし、表彰式では受賞者インタビューの最中も流れっ放しのBGMが耳障りだった(バッハは好きだが)。演奏中にゴソゴソというマイクのノイズや、ステージの裏での話し声が聞えたのは大きな不手際。 それに、会場に電気的なブーンという「ソ」の音のノイズが鳴り続け、演奏が静かなところでは結構気になった。電飾のコードのせいか?開演前には「事前に届け出れば写真撮影自由」なんて言っていたが、あちこちで写真を撮られては演奏者も聴く方も集中できない。

主催者は、せっかくいい才能を発掘し、紹介しているのだから、演奏者ができるだけ演奏に集中でき、聴き手はそれを心静かに聴ける環境を提供してもらいたい。

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