9月25日(金)クァルテット・エクセルシオ & タレイア・クァルテット
~SQW#145 クァルテット・ウィークエンド2019-2020~
第一生命ホール
【曲目】
1.ドヴォルザーク/弦楽四重奏曲第12番ヘ長調 Op.96「アメリカ」
クァルテット・エクセルシオ
2. ヤナーチェク/弦楽四重奏曲第2番「ないしょの手紙」
タレイア・クァルテット
3. ガーデ(ゲーゼ)/弦楽八重奏曲ヘ長調 Op.17
クァルテット・エクセルシオ & タレイア・クァルテット
コロナ禍でコンサートが悉く中止になるなか、緊急事態宣言の真っ只中にチケットが買えて、エクのHPにはずっと開催のお知らせが出ていたので一縷の望みを繋いでいた6月7日のコンサートが、会場の東京文化会館のHPに中止と出ているのを10日前に見つけたときは、全ての望みが絶たれた気分でどん底まで落ち込んだ。そのクァルテット・エクセルシオを今夜やっと聴くことができた。
タレイア・クァルテットとのジョイントで行われたコンサートでのエク単独の出番は最初の「アメリカ」のみ。これが素晴らしかった!演奏が始まるや、熟成されたワインの香りが仄かに立ち上るような響きが心を捉えた。それは、遥か遠くを見つめて郷愁を奏でていたかと思うと、息が顔にかかるほどの近さで親密に語りかけてくることもあり、幅広い遠近感がある。熟成したワインの香りは香りだけにとどまらず、それを口に含み、喉を通るときの極上の味わい深さも持っている。懐の深さと暖かさ、それに熟成された香り高さがエクの真骨頂で、この「アメリカ」はそれを感じさせてくれるのに最適な音楽だ。エクはアンサンブルが緻密だとか、ハーモニーが溶け合っているとか、息がぴったり合っているとかいった次元を遥かに超えたところの、これぞ弦楽四重奏の魅力と云える稀有のアートを創造するカルテットであることを改めて認識した。
次の出番はタレイア・クァルテット。2014年結成の若いカルテットで、内外のコンクールで顕著な成績を納め、海外公演でも実績を積んでいる実力派だ。取り上げたのはヤナーチェク最晩年の作品。4人は若々しい息遣いで果敢に挑み、そのベクトルは能動的に外へ向かう。そこからは明るく伸び伸びとした語りかけが伝わってきた。目まぐるしい表情の変化にも素早く反応して、アンサンブルの精度の良さもアピール。ただ、この曲には妖気めいた怖さがあるように思うのだが、そうした影の部分、内面のドロドロしたものは伝わってこず、すっきりし過ぎて面白みが足りないように思った。
後半は2つのカルテットのジョイントでオクテット。ガーデ(ゲーゼ)という作曲家もこの曲も知らなかったが、古典的な作風で聴きやすい音楽。プログラムノートにはメンデルスゾーンの影響が色濃い曲と書かれていて、なるほど、僕が大好きなオクテットに雰囲気がよく似ている。けれど聴き進むうちにあまり面白い曲ではなく、何だかメンデルスゾーンの2番煎じのような気がしてきた。演奏もどこか吹っ切れていなくてしっくり感がない。2つの弦楽四重奏団がジョイントをすると、そこにプラスアルファが加わって4+4=8以上のパワーやテンションが生まれることも少なくないが、今日はそうはならないまま終わってしまった感じ。曲が面白くなくてもスリルや遊びのある演奏で楽しませてくれればよかったのだが… 結局聴いていてテンションが上がらないまま終演となった。
小山実稚恵&クァルテット・エクセルシオ/渡邉玲雄 ~2020.2.26 東京文化会館小ホール~
クァルテット・エクセルシオ 第37回東京定期演奏会~2019.11.17 東京文化会館小ホール~
♪ブログ管理人の作曲のYouTubeチャンネル♪
最新アップロード:第1行進曲「ジャンダルム」ほか
拡散希望記事!やめよう!エスカレーターの片側空け
~SQW#145 クァルテット・ウィークエンド2019-2020~
第一生命ホール
【曲目】
1.ドヴォルザーク/弦楽四重奏曲第12番ヘ長調 Op.96「アメリカ」
クァルテット・エクセルシオ
2. ヤナーチェク/弦楽四重奏曲第2番「ないしょの手紙」
タレイア・クァルテット
3. ガーデ(ゲーゼ)/弦楽八重奏曲ヘ長調 Op.17
クァルテット・エクセルシオ & タレイア・クァルテット
コロナ禍でコンサートが悉く中止になるなか、緊急事態宣言の真っ只中にチケットが買えて、エクのHPにはずっと開催のお知らせが出ていたので一縷の望みを繋いでいた6月7日のコンサートが、会場の東京文化会館のHPに中止と出ているのを10日前に見つけたときは、全ての望みが絶たれた気分でどん底まで落ち込んだ。そのクァルテット・エクセルシオを今夜やっと聴くことができた。
タレイア・クァルテットとのジョイントで行われたコンサートでのエク単独の出番は最初の「アメリカ」のみ。これが素晴らしかった!演奏が始まるや、熟成されたワインの香りが仄かに立ち上るような響きが心を捉えた。それは、遥か遠くを見つめて郷愁を奏でていたかと思うと、息が顔にかかるほどの近さで親密に語りかけてくることもあり、幅広い遠近感がある。熟成したワインの香りは香りだけにとどまらず、それを口に含み、喉を通るときの極上の味わい深さも持っている。懐の深さと暖かさ、それに熟成された香り高さがエクの真骨頂で、この「アメリカ」はそれを感じさせてくれるのに最適な音楽だ。エクはアンサンブルが緻密だとか、ハーモニーが溶け合っているとか、息がぴったり合っているとかいった次元を遥かに超えたところの、これぞ弦楽四重奏の魅力と云える稀有のアートを創造するカルテットであることを改めて認識した。
次の出番はタレイア・クァルテット。2014年結成の若いカルテットで、内外のコンクールで顕著な成績を納め、海外公演でも実績を積んでいる実力派だ。取り上げたのはヤナーチェク最晩年の作品。4人は若々しい息遣いで果敢に挑み、そのベクトルは能動的に外へ向かう。そこからは明るく伸び伸びとした語りかけが伝わってきた。目まぐるしい表情の変化にも素早く反応して、アンサンブルの精度の良さもアピール。ただ、この曲には妖気めいた怖さがあるように思うのだが、そうした影の部分、内面のドロドロしたものは伝わってこず、すっきりし過ぎて面白みが足りないように思った。
後半は2つのカルテットのジョイントでオクテット。ガーデ(ゲーゼ)という作曲家もこの曲も知らなかったが、古典的な作風で聴きやすい音楽。プログラムノートにはメンデルスゾーンの影響が色濃い曲と書かれていて、なるほど、僕が大好きなオクテットに雰囲気がよく似ている。けれど聴き進むうちにあまり面白い曲ではなく、何だかメンデルスゾーンの2番煎じのような気がしてきた。演奏もどこか吹っ切れていなくてしっくり感がない。2つの弦楽四重奏団がジョイントをすると、そこにプラスアルファが加わって4+4=8以上のパワーやテンションが生まれることも少なくないが、今日はそうはならないまま終わってしまった感じ。曲が面白くなくてもスリルや遊びのある演奏で楽しませてくれればよかったのだが… 結局聴いていてテンションが上がらないまま終演となった。
小山実稚恵&クァルテット・エクセルシオ/渡邉玲雄 ~2020.2.26 東京文化会館小ホール~
クァルテット・エクセルシオ 第37回東京定期演奏会~2019.11.17 東京文化会館小ホール~
♪ブログ管理人の作曲のYouTubeチャンネル♪
最新アップロード:第1行進曲「ジャンダルム」ほか
拡散希望記事!やめよう!エスカレーターの片側空け