4月3日(土)サロンコンサートⅢ 日本の歌
~風薫る季節に~
スギタホール
【曲目】
Ⅰ
福井文彦/かんぴょう、山田耕筰/蟹味噌、本居長世/めえめえ児山羊、山田耕筰/あわて床屋
服部良一/山寺の和尚さん、本居長世/赤い靴、滝廉太郎/花、荒城の月
Ⅱ
~金子みすゞの詩によせて~ 高島豊/木、山ざくら、花屋の爺さん、大漁
モーツァルト/オペラ「魔笛」より パミーナとパパゲーノの二重唱
【アンコール】
1. 武満徹/小さな空
2. 米山正夫/津軽のふるさと
【演 奏】
S:今泉えりこ/Bar:旭 潔/Pf:赤羽真由美
拙作の金子みすゞの歌曲を継続して演奏してくださっているソプラノ歌手の今泉えりこさんが、バリトン歌手の旭潔さんとのジョイントで毎年行なっているサロンコンサートは、今回で4回目を迎えた。今泉さんは今回もみすゞの歌曲を取り上げてくださったうえに、旭さんもみすゞ歌曲の演奏に加わってくださった。
今泉さんは前半の童謡っぽいかわいらしい衣装から、「山ざくら」をイメージしたようなふわりとした優雅な衣装に衣替えして登場し、季節ごとに命をつないでゆく「木」の気高くも孤独なモノローグを歌い、「つい先日、しだれ桜を見てイメージが膨らんだ」という言葉通りに、艶やかさの中に澄んだ少女の心が宿っているかのような「山ざくら」を、いつもに増して澄んだ美しい声で表現してくださった。赤羽さんの繊細できらきらとしたピアノが花を添えた。
旭さんの歌にはこれまでオペラや日本歌曲で何度も触れ、ドラマチックで豊かな表現力と全てを包み込む懐の深い演奏にいつも感銘を受けていたが、今回拙作を演奏してくださるというとても嬉しいお話を受け、新作を書かせて頂いた。旭さんの歌は豊かな声量で大変ドラマチックに聴かせると同時に、万物を包み込む包容力と優しさも持ち合わせていて、「花屋の爺さん」の孤独な寂しさをしっかりと受け止め、希望の光を与えてくれるに違いないと期待して書いた「花屋の爺さん」だったが、期待した以上のずしりとして温かさに満ちた演奏で、孤独な「爺さん」に花道を作ってくださった。
昨年は今泉さんが取り上げてくださった「大漁」は高声用に書いたため、高いG音が何度も出てくる。これを旭さんはなんと原調で歌い切ってしまった。その高音が腹の底から朗々と鳴り渡り、海の底から突き上げてくるような魚たちの魂の叫びが聴こえた。気迫に満ちた歌の迫力には身動きできないほど。ピアノが鎮魂のリズムを刻むなか、最後の「とむらいするだろう」が遥か海の彼方へと消えて行った。
今泉さんと旭さんは後半のプログラムの殆どをみすゞの歌に当て、どの歌も真摯に心を込めて本当に素晴らしい演奏を聴かせてくださり、満員のお客さんも皆真剣に耳を傾けてくださった。作曲者としてはこれほど嬉しいことはないし、身が引き締まる思い。
親しみやすい日本歌曲が並んだ前半も、今泉さんの抜群の衣装や旭さんの興味深いトーク(とりわけ「赤い靴」のエピソードなど)を交え、とても楽しめたし、最後のモーツァルトのデュエットも素敵だった。それにアンコールも心に沁み、コンサート全体がとても充実したものとなったのは、お二人の歌と素晴らしいピアノ伴奏、そして素敵なお客さんのおかげ。ありがとうございました。
♪金子みすゞの歌曲はこちらで試聴できます。
~風薫る季節に~
スギタホール
【曲目】
Ⅰ
福井文彦/かんぴょう、山田耕筰/蟹味噌、本居長世/めえめえ児山羊、山田耕筰/あわて床屋
服部良一/山寺の和尚さん、本居長世/赤い靴、滝廉太郎/花、荒城の月
Ⅱ
~金子みすゞの詩によせて~ 高島豊/木、山ざくら、花屋の爺さん、大漁
モーツァルト/オペラ「魔笛」より パミーナとパパゲーノの二重唱
【アンコール】
1. 武満徹/小さな空
2. 米山正夫/津軽のふるさと
【演 奏】
S:今泉えりこ/Bar:旭 潔/Pf:赤羽真由美
拙作の金子みすゞの歌曲を継続して演奏してくださっているソプラノ歌手の今泉えりこさんが、バリトン歌手の旭潔さんとのジョイントで毎年行なっているサロンコンサートは、今回で4回目を迎えた。今泉さんは今回もみすゞの歌曲を取り上げてくださったうえに、旭さんもみすゞ歌曲の演奏に加わってくださった。
今泉さんは前半の童謡っぽいかわいらしい衣装から、「山ざくら」をイメージしたようなふわりとした優雅な衣装に衣替えして登場し、季節ごとに命をつないでゆく「木」の気高くも孤独なモノローグを歌い、「つい先日、しだれ桜を見てイメージが膨らんだ」という言葉通りに、艶やかさの中に澄んだ少女の心が宿っているかのような「山ざくら」を、いつもに増して澄んだ美しい声で表現してくださった。赤羽さんの繊細できらきらとしたピアノが花を添えた。
旭さんの歌にはこれまでオペラや日本歌曲で何度も触れ、ドラマチックで豊かな表現力と全てを包み込む懐の深い演奏にいつも感銘を受けていたが、今回拙作を演奏してくださるというとても嬉しいお話を受け、新作を書かせて頂いた。旭さんの歌は豊かな声量で大変ドラマチックに聴かせると同時に、万物を包み込む包容力と優しさも持ち合わせていて、「花屋の爺さん」の孤独な寂しさをしっかりと受け止め、希望の光を与えてくれるに違いないと期待して書いた「花屋の爺さん」だったが、期待した以上のずしりとして温かさに満ちた演奏で、孤独な「爺さん」に花道を作ってくださった。
昨年は今泉さんが取り上げてくださった「大漁」は高声用に書いたため、高いG音が何度も出てくる。これを旭さんはなんと原調で歌い切ってしまった。その高音が腹の底から朗々と鳴り渡り、海の底から突き上げてくるような魚たちの魂の叫びが聴こえた。気迫に満ちた歌の迫力には身動きできないほど。ピアノが鎮魂のリズムを刻むなか、最後の「とむらいするだろう」が遥か海の彼方へと消えて行った。
今泉さんと旭さんは後半のプログラムの殆どをみすゞの歌に当て、どの歌も真摯に心を込めて本当に素晴らしい演奏を聴かせてくださり、満員のお客さんも皆真剣に耳を傾けてくださった。作曲者としてはこれほど嬉しいことはないし、身が引き締まる思い。
親しみやすい日本歌曲が並んだ前半も、今泉さんの抜群の衣装や旭さんの興味深いトーク(とりわけ「赤い靴」のエピソードなど)を交え、とても楽しめたし、最後のモーツァルトのデュエットも素敵だった。それにアンコールも心に沁み、コンサート全体がとても充実したものとなったのは、お二人の歌と素晴らしいピアノ伴奏、そして素敵なお客さんのおかげ。ありがとうございました。
♪金子みすゞの歌曲はこちらで試聴できます。