3月13日(木)明日を担う音楽家による特別演奏会
東京オペラシティコンサートホールタケミツメモリアル
♪ロッシーニ/「絹のはしご」序曲
♪ロッシーニ/『ウィリアム・テル』~「ああ、涙誘う沈黙の家よ」 T:城 宏憲
♪ロッシーニ/『セヴィリアの理髪師』~「今の歌声は」 MS:小泉詠子
♪ロッシーニ/『セヴィリアの理髪師』~「私は町の何でも屋」 Bar:高橋洋介
♪ドニゼッティ/『ランメルモールのルチア』~「辺りは沈黙に閉ざされ」 S:大西ゆか
♪シャルパンティエ/『ルイーズ』~「その日から」 S:嘉目真木子
♪モーツァルト/『フィガロの結婚』~「奥様、どうぞお先へ」 S:大西ゆか/MS:塩崎めぐみ
♪モーツァルト/『ドン・ジョヴァンニ』~「手に手を取り合い」 S:嘉目真木子/Bar:駒田敏章
♪モーツァルト/『コジ・ファン・トゥッテ』~「心をあなたに差し上げます」 MS:小泉詠子/Bar:山田大智
♪♪♪
♪ヴェルディ/ 『イル・トロヴァトーレ』~「ああ美しい人、見よ恐ろしい炎を」 T:笛田博昭
♪ヴェルディ/ 『ファルスタッフ』~「これは夢か?」 Bar:山田大智
♪プッチーニ/『蝶々夫人』~「ある晴れたに日」 S:佐藤康子
♪R.シュトラウス/ 『ナクソス島のアリアドネ』~「仲直りしましょう」 MS:塩崎めぐみ
♪コルンゴルト/『死の都』~「俺の憧れ」 Bar:駒田敏章
♪ヴェルディ/ 『ドン・カルロ』~「我らの胸に友情を」 T:城 宏憲/Bar:高橋洋介
♪プッチーニ/『蝶々夫人』~「愛の二重唱」 S:佐藤康子/T:笛田博昭
大勝秀也指揮 東京交響楽団
文化庁が40年以上にわたり実施している若手芸術家を育成するための「新進芸術家海外研修制度」で派遣された若い声楽家を集めて行われたオぺラアリアのコンサートを聴いた。
ソリスト達のバックを務めたのは、東フィルと共に新国立劇場のオペラ公演でいつもいい演奏を聴かせる東京交響楽団、指揮はオペラでの経験も豊富な大勝英也氏。フル編成のオケと共演した、総勢10人の新進の歌手達は、イタリアやドイツなどで培ってきた成果を思う存分に披露し、聴きごたえたっぷりの演奏会となった。
どの歌手もそれぞれが選んだアリアで実力を十分に発揮していたが、なかでも感銘を受けたのは、メゾの小泉さんとソプラノの嘉目さん、それにテノールの笛田さん。
小泉さんの歌はいつ聴いても焦点がピタッと定まり、メッセージや感情が凝縮されて伝わってくる。気品と貫禄も十分で、意中の男を必ず射止めるという自信に満ちていて、余裕すら感じる成熟した女性の色気がムンムンと感じられ、聴き手を歌に引き込んでいった。
ソプラノの嘉目さんは、歌の物腰がやわらかで、聴き手のこころを包み込む懐の深さを感じた。滑らかな歌いまわし、瑞々しく繊細な表情が、タイトルロールのルイーズの風格を高めていた。
後半で登場したテノールの笛田さんは、磨かれた輝きと張りのある力強い美声で聴き手を圧倒した。熱のこもったダイナミックな表現は彫りが深くて心を揺さぶり、最高音ハイCは熱く胸に刻まれた。
他の歌手もみんな聴きごたえ十分。大西さんの「ルチア」は熱く雄弁、佐藤さんの「蝶々さん」は柔らかな気高さがあり、塩崎さんの「作曲家」は技巧に長けて臨場感もあった。城さんの歌ったアルノルドはとてもいい素材の声でストレートに訴えかけてきたし、高橋さんのフィガロは目まぐるしく動きまわるフレーズを落ち着いて料理して聴き手を納得させた。駒田さんのフリッツはドイツ語が歌にしっくりとはまり、気品と情熱を併せ持っていた。山田さんが歌ったフォードの濃密な感情表現も聴きものだった。
ソロのアリアに加えて披露されたデュオもとても楽しめた。題材も場面も様々だが、二人の間で起こる駆け引きや感情の変化、陶酔や勇ましい決意など、オペラの名場面ならではの臨場感がリアルに伝わってきたのはさすが。そして、若い歌手の歌をこれだけまとめてオーケストラとの共演で聴ける機会は貴重だ。おかげでたっぷりとオペラの世界に浸かることができた。
プログラムを見たときは、ちょっと盛り沢山過ぎではとも思ったが、実際にその場で聴いてみれば、ワクワクする歌の数々に魅了され、長さなどまったく感じない楽しく充実した時間となった。一緒に聴いた娘も大満足の様子。
若い演奏家達には、その力に見合った場が日本で十分に提供されるというのはとても難しいことだと思うが、こうした貴重な場をひとつひとつ確実に物にしながら経験を積み上げて行く姿は誠に頼もしく、これからの益々の活躍を応援して行きたい。
東京オペラシティコンサートホールタケミツメモリアル
♪ロッシーニ/「絹のはしご」序曲
♪ロッシーニ/『ウィリアム・テル』~「ああ、涙誘う沈黙の家よ」 T:城 宏憲
♪ロッシーニ/『セヴィリアの理髪師』~「今の歌声は」 MS:小泉詠子
♪ロッシーニ/『セヴィリアの理髪師』~「私は町の何でも屋」 Bar:高橋洋介
♪ドニゼッティ/『ランメルモールのルチア』~「辺りは沈黙に閉ざされ」 S:大西ゆか
♪シャルパンティエ/『ルイーズ』~「その日から」 S:嘉目真木子
♪モーツァルト/『フィガロの結婚』~「奥様、どうぞお先へ」 S:大西ゆか/MS:塩崎めぐみ
♪モーツァルト/『ドン・ジョヴァンニ』~「手に手を取り合い」 S:嘉目真木子/Bar:駒田敏章
♪モーツァルト/『コジ・ファン・トゥッテ』~「心をあなたに差し上げます」 MS:小泉詠子/Bar:山田大智
♪ヴェルディ/ 『イル・トロヴァトーレ』~「ああ美しい人、見よ恐ろしい炎を」 T:笛田博昭
♪ヴェルディ/ 『ファルスタッフ』~「これは夢か?」 Bar:山田大智
♪プッチーニ/『蝶々夫人』~「ある晴れたに日」 S:佐藤康子
♪R.シュトラウス/ 『ナクソス島のアリアドネ』~「仲直りしましょう」 MS:塩崎めぐみ
♪コルンゴルト/『死の都』~「俺の憧れ」 Bar:駒田敏章
♪ヴェルディ/ 『ドン・カルロ』~「我らの胸に友情を」 T:城 宏憲/Bar:高橋洋介
♪プッチーニ/『蝶々夫人』~「愛の二重唱」 S:佐藤康子/T:笛田博昭
大勝秀也指揮 東京交響楽団
文化庁が40年以上にわたり実施している若手芸術家を育成するための「新進芸術家海外研修制度」で派遣された若い声楽家を集めて行われたオぺラアリアのコンサートを聴いた。
ソリスト達のバックを務めたのは、東フィルと共に新国立劇場のオペラ公演でいつもいい演奏を聴かせる東京交響楽団、指揮はオペラでの経験も豊富な大勝英也氏。フル編成のオケと共演した、総勢10人の新進の歌手達は、イタリアやドイツなどで培ってきた成果を思う存分に披露し、聴きごたえたっぷりの演奏会となった。
どの歌手もそれぞれが選んだアリアで実力を十分に発揮していたが、なかでも感銘を受けたのは、メゾの小泉さんとソプラノの嘉目さん、それにテノールの笛田さん。
小泉さんの歌はいつ聴いても焦点がピタッと定まり、メッセージや感情が凝縮されて伝わってくる。気品と貫禄も十分で、意中の男を必ず射止めるという自信に満ちていて、余裕すら感じる成熟した女性の色気がムンムンと感じられ、聴き手を歌に引き込んでいった。
ソプラノの嘉目さんは、歌の物腰がやわらかで、聴き手のこころを包み込む懐の深さを感じた。滑らかな歌いまわし、瑞々しく繊細な表情が、タイトルロールのルイーズの風格を高めていた。
後半で登場したテノールの笛田さんは、磨かれた輝きと張りのある力強い美声で聴き手を圧倒した。熱のこもったダイナミックな表現は彫りが深くて心を揺さぶり、最高音ハイCは熱く胸に刻まれた。
他の歌手もみんな聴きごたえ十分。大西さんの「ルチア」は熱く雄弁、佐藤さんの「蝶々さん」は柔らかな気高さがあり、塩崎さんの「作曲家」は技巧に長けて臨場感もあった。城さんの歌ったアルノルドはとてもいい素材の声でストレートに訴えかけてきたし、高橋さんのフィガロは目まぐるしく動きまわるフレーズを落ち着いて料理して聴き手を納得させた。駒田さんのフリッツはドイツ語が歌にしっくりとはまり、気品と情熱を併せ持っていた。山田さんが歌ったフォードの濃密な感情表現も聴きものだった。
ソロのアリアに加えて披露されたデュオもとても楽しめた。題材も場面も様々だが、二人の間で起こる駆け引きや感情の変化、陶酔や勇ましい決意など、オペラの名場面ならではの臨場感がリアルに伝わってきたのはさすが。そして、若い歌手の歌をこれだけまとめてオーケストラとの共演で聴ける機会は貴重だ。おかげでたっぷりとオペラの世界に浸かることができた。
プログラムを見たときは、ちょっと盛り沢山過ぎではとも思ったが、実際にその場で聴いてみれば、ワクワクする歌の数々に魅了され、長さなどまったく感じない楽しく充実した時間となった。一緒に聴いた娘も大満足の様子。
若い演奏家達には、その力に見合った場が日本で十分に提供されるというのはとても難しいことだと思うが、こうした貴重な場をひとつひとつ確実に物にしながら経験を積み上げて行く姿は誠に頼もしく、これからの益々の活躍を応援して行きたい。