今住んでいる家に引っ越してきて二年近くが経とうとしている。
これまで住んでいた地域は山を切り開いた団地で、歩いてどこかに
買い物にいくのは不可能といっていいような場所だったが、
引っ越し先はそこに比べるとずいぶん街中に近づいた。
そのためこれまで習慣になかった「歩く」という選択肢が加わり、
散歩もするようになった。移動は車が当たり前だったので、
歩くと今まで気付かなかったものに気付けて楽しい。
住み始めてからしばらくして気付いたのは、サギの巣の存在である。
何気なく散歩していたとき、はじめは偶然かと思ったが、意図的に
サギたちが一本の大木に集合していることに気が付いた。
それもかなりの数のサギが、その大きな木にぎゅっと凝縮されたように
とまっている。そのシュールさとかわいらしさに、気が付いたときは
笑ってしまった。
それからは散歩でそこを通るたびに大まかな数をチェックする。
今日は多いな、あれ、なんか今日は少ない?心のなかでサギに話しかける。
当然サギはじっとして動かない。こちらに見向きもせず、それぞれの枝に
絶妙なバランスでしがみついている。一度雷が落ちたとき、一斉に飛び立ち
方々に逃げていくのをみて、こちらがそれ以上に驚いてしまった。
サギたちがなぜその木に集合しているのかはわからないが、きっとサギ界では
優良物件なのであろう。餌が豊富な水辺が近い場所にある大木は、
確かにこの地域には多くない。ふたつめの優良物件を見つけられたら、
条件や個体数を比較できて楽しいかもしれないが、いまだ発見には至っていない。
(2月13日 冬雨 記)
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