2020年2月のうきはの続き。
平川家は、小さな集落に入る橋のそばにあった。
リーフレットの写真では葺き替えたばかりの茅葺き屋根が黄金色だったが、現在はすっかり落ち着いた色になって
風景の中に溶け込んでいた。
大きな3連の屋根は、わずかにふっくらとした丸みを帯び、軒先はシャープに切りそろえられている。
観光地のように開放的な雰囲気ではなく人の家の敷地に入っている感が強いが・・・
さっき河北さんが所有者の平川さんに連絡して下さり、じきじきにご承諾頂いていたので助かった。
そうでなければ、こんな田舎の集落で絶対怪しまれそうで敷地内に入る勇気がなかっただろう(苦笑)。
国指定重要文化財であるこの平川家住宅は18世紀後期に建てられたと考えられており、数度の増改築を経ている。
1981(昭和56)年と2007(平成19)年に修理事業が行われた。リーフレットの写真は2007年の修理の直後だろう。
さすがにここにはもう住まれておらず、奥にある家にお住まいのようだが、一部のスペースは使われているような気配があった。
くど造りとは、上から見ると屋根がかまど(おくどさん)のようにコの字型になっている、九州の筑後あたりに見られる茅葺民家。
コの字の開いた方が正面側になっているパターンと裏側になっているパターンがある。ここでは正面側に棟が並んでいる。
しかし、3連ということは、、、ヨの字型なのか??
実際は、一番左側の棟は、右側の2棟とは離れていて、間に通路が通り抜けていた。あぁ、3連棟のように見えたが
くど造りの隣に附属の別棟が並んで建っているということか。
左側の別棟は、正面がガレージのように開放されている。壁は黄色っぽい土壁で、腰から下が石積みになっているのが面白い。
しかし奥行きはガレージの半分ほどだろうか。家畜小屋?農機具置き場?リーフレットの平面図では「納屋」と書かれていた。
練塀のように自然石を土壁に埋めこんだ壁は、とても美しい。思い出したのは、佐田岬半島の「駄屋」と呼ばれる牛飼い部屋。
あれはここのようにオープンな空間ではなかったが。。。
しかし今リーフレットの文章をあらためて読むと、この別棟は「なや」「うまや」「ゆどの」「かわや」からなると書かれている。
このオープンスペースはうまやだったのかな。
大きな平たい石を礎石として据えてある。
地面と平行に刈り揃えられた軒先の断面。
納屋棟の裏側にはちょっと変わったスペースがあった。これは竹敷きの上で米ぬかを使って体を洗いかかり湯をする
「ゆどの」なのだとか。そして洗い水は下肥と混ざって畑の肥料となる、非常にエコなシステムである。へぇ~~!
納屋棟と主屋は屋根も独立しており、軒先が突き当たる部分は下を樋で受けている。
納屋棟の奥行が短い分、主屋の屋根が張り出してL字形の隙間が出来ているのも面白い。
そして居住棟である主屋の方はちゃんとコの字形をしたくどづくりである。
入口の脇の壁は腰に竹を開いた板が貼られていた。よく見るとベンガラで赤く着色されているな。
竹板貼りは防水のためと思われるが装飾的でもあり、やはり人の住まいという感じがする。
さて戸をあけて中へ入ってみると・・・真っ暗闇(汗)。真昼間なのに・・・電気をつけたらちょっとは見えるようになったが、、、
昔は行灯ぐらいだっただろうから本当に暗かったに違いない。
戸口を入ったところは土間で、その奥に続く広い台所には土塗りのかまどが、板の間に接するように据えられている。
端には五右衛門風呂みたいなかまどもあった。いやあれは本当に五右衛門風呂だったのかも!?
こんなおまんじゅうみたいなかまどもあった。何て面白いの!
台所の横の板の間に上がると、その奥には4部屋の畳敷きの部屋があった。意外と広くてここが茅葺民家の中とは思えない。
「ごぜん」と呼ばれる部屋の天井は、丸竹をびっしりと並べたもの。これは素敵だなぁ!!
奥の座敷には床の間もあったが、古い時代の建物なのであまり凝った意匠などはない。
・・・あぁ、寒い(震)
ところで、くどづくりは基本寄棟型の屋根で、棟がコの字型に曲がっているわけなので、中央部には三方からの下り勾配が集まる
深い谷ができることになる。雨が降ったらそこへ水が集中するのではないか・・・
さっき納屋棟と主屋の間の通路では、突き合わせになった軒先に雨水を受ける樋が取り付けられているのを見ていた。
こちらの主屋も、正面から見ると隙間はないが、内部は屋根と同調したコの字型の間取りになっていて、
中央の軒先部分は壁の外にあるのだろう、そして地面に排水溝が掘られているのだろう・・・と、何となく思っていた。
ところが、内部はコの字形の間取りではなかった。
そして・・・何とこんなところに、軒先があったのだ!
うわぁ、屋根からの雨水が屋内を通っている!?そんな雨仕舞いってあるのか!?
まぁ土間だから多少溢れたりしてもそれほど問題にはならないのだろうが・・・
いやぁ、地味に驚いた!ここだけでなくくどづくりの民家は皆こんな風なのだろうか。。。他も見てみたいなぁ。
あぁ、民家も面白くて奥深いな!
続く。
平川家は、小さな集落に入る橋のそばにあった。
リーフレットの写真では葺き替えたばかりの茅葺き屋根が黄金色だったが、現在はすっかり落ち着いた色になって
風景の中に溶け込んでいた。
大きな3連の屋根は、わずかにふっくらとした丸みを帯び、軒先はシャープに切りそろえられている。
観光地のように開放的な雰囲気ではなく人の家の敷地に入っている感が強いが・・・
さっき河北さんが所有者の平川さんに連絡して下さり、じきじきにご承諾頂いていたので助かった。
そうでなければ、こんな田舎の集落で絶対怪しまれそうで敷地内に入る勇気がなかっただろう(苦笑)。
国指定重要文化財であるこの平川家住宅は18世紀後期に建てられたと考えられており、数度の増改築を経ている。
1981(昭和56)年と2007(平成19)年に修理事業が行われた。リーフレットの写真は2007年の修理の直後だろう。
さすがにここにはもう住まれておらず、奥にある家にお住まいのようだが、一部のスペースは使われているような気配があった。
くど造りとは、上から見ると屋根がかまど(おくどさん)のようにコの字型になっている、九州の筑後あたりに見られる茅葺民家。
コの字の開いた方が正面側になっているパターンと裏側になっているパターンがある。ここでは正面側に棟が並んでいる。
しかし、3連ということは、、、ヨの字型なのか??
実際は、一番左側の棟は、右側の2棟とは離れていて、間に通路が通り抜けていた。あぁ、3連棟のように見えたが
くど造りの隣に附属の別棟が並んで建っているということか。
左側の別棟は、正面がガレージのように開放されている。壁は黄色っぽい土壁で、腰から下が石積みになっているのが面白い。
しかし奥行きはガレージの半分ほどだろうか。家畜小屋?農機具置き場?リーフレットの平面図では「納屋」と書かれていた。
練塀のように自然石を土壁に埋めこんだ壁は、とても美しい。思い出したのは、佐田岬半島の「駄屋」と呼ばれる牛飼い部屋。
あれはここのようにオープンな空間ではなかったが。。。
しかし今リーフレットの文章をあらためて読むと、この別棟は「なや」「うまや」「ゆどの」「かわや」からなると書かれている。
このオープンスペースはうまやだったのかな。
大きな平たい石を礎石として据えてある。
地面と平行に刈り揃えられた軒先の断面。
納屋棟の裏側にはちょっと変わったスペースがあった。これは竹敷きの上で米ぬかを使って体を洗いかかり湯をする
「ゆどの」なのだとか。そして洗い水は下肥と混ざって畑の肥料となる、非常にエコなシステムである。へぇ~~!
納屋棟と主屋は屋根も独立しており、軒先が突き当たる部分は下を樋で受けている。
納屋棟の奥行が短い分、主屋の屋根が張り出してL字形の隙間が出来ているのも面白い。
そして居住棟である主屋の方はちゃんとコの字形をしたくどづくりである。
入口の脇の壁は腰に竹を開いた板が貼られていた。よく見るとベンガラで赤く着色されているな。
竹板貼りは防水のためと思われるが装飾的でもあり、やはり人の住まいという感じがする。
さて戸をあけて中へ入ってみると・・・真っ暗闇(汗)。真昼間なのに・・・電気をつけたらちょっとは見えるようになったが、、、
昔は行灯ぐらいだっただろうから本当に暗かったに違いない。
戸口を入ったところは土間で、その奥に続く広い台所には土塗りのかまどが、板の間に接するように据えられている。
端には五右衛門風呂みたいなかまどもあった。いやあれは本当に五右衛門風呂だったのかも!?
こんなおまんじゅうみたいなかまどもあった。何て面白いの!
台所の横の板の間に上がると、その奥には4部屋の畳敷きの部屋があった。意外と広くてここが茅葺民家の中とは思えない。
「ごぜん」と呼ばれる部屋の天井は、丸竹をびっしりと並べたもの。これは素敵だなぁ!!
奥の座敷には床の間もあったが、古い時代の建物なのであまり凝った意匠などはない。
・・・あぁ、寒い(震)
ところで、くどづくりは基本寄棟型の屋根で、棟がコの字型に曲がっているわけなので、中央部には三方からの下り勾配が集まる
深い谷ができることになる。雨が降ったらそこへ水が集中するのではないか・・・
さっき納屋棟と主屋の間の通路では、突き合わせになった軒先に雨水を受ける樋が取り付けられているのを見ていた。
こちらの主屋も、正面から見ると隙間はないが、内部は屋根と同調したコの字型の間取りになっていて、
中央の軒先部分は壁の外にあるのだろう、そして地面に排水溝が掘られているのだろう・・・と、何となく思っていた。
ところが、内部はコの字形の間取りではなかった。
そして・・・何とこんなところに、軒先があったのだ!
うわぁ、屋根からの雨水が屋内を通っている!?そんな雨仕舞いってあるのか!?
まぁ土間だから多少溢れたりしてもそれほど問題にはならないのだろうが・・・
いやぁ、地味に驚いた!ここだけでなくくどづくりの民家は皆こんな風なのだろうか。。。他も見てみたいなぁ。
あぁ、民家も面白くて奥深いな!
続く。
関西にはない面白い形についつい目を引かれますね!
変わったもの、珍しいものを見ていろいろ思いを馳せるのが旅の楽しみですね!