オコジョ、チャート・レビュー

洋楽チャートの感想や予想を長々と述べます。速報性はありません。

グローバル・チャート上位攻略 2020 - 2021

2022-04-26 | グローバル・チャート

 

ジャック・ハーロウ → 5/6、ケンドリック・ラマ― → 5/13、アーケイド・ファイア → 5/13...

まさかこんなに新作の情報があったとは...。

ケンドリック・ラマ―は久しぶりだけど、まだ先行シングルは出ていない。

前作『ダム』(2017) のときも、アルバムのリリース告知から実際のリリース日までが短かった気がする。

できた!と作品に完全に自信を持てるまでは期待させないタイプ、ということかな?

 


 

目的:調査対象について、グローバル・チャート上位での存在感(シェア)を明かす

 

(グローバル・チャートとは?この記事でその特徴を考察していますが、冒頭3,4行目だけで十分かも。

 

いつかこんなことやるかもな~、と思って少しずつ進めていたグローバル・チャートの部分的解析 ( 2020 - 2021 )です。

以下の6項目について、2~3ヵ月に1回(1週)、上位の曲 / 曲数を記録してきました。

これらの標本を時系列で見たり、平均を出したりしてその項目はグローバル・チャートでどういう状況か、考えたいと思います。

1.ポップ  2.R&B  3.EDM  4.ラテン (ジャンル別リサーチ)

5.女性アーティスト  6.デュオ / グループ・アーティスト (形態別リサーチ)

 

データが十分増えたからこのようなチャート解析らしきことができるようになったのですが、

Q1 → なぜ今さら? ・・・ A → やる気がなかったから!

Q2 → 上の4ジャンルを調査した理由は? ・・・ A → 特になし!

Q3 → せっかく「グローバル」なのに、なぜ出身国別の調査はしなかったの? ・・・ A → 出身国調べるのが面倒だったから! 

...ということです。解析の価値は全く保証できませんが、信頼は80%くらいできるように頑張ったので暇つぶしに見てみて下さい。

 

 

1.ポップ・リサーチ

 まず、どのくらいのシェアを占めていたらマジョリティなのか、もしくはマイノリティなのかという見解ですが、グローバル・チャートは単一の国のチャートに比べ、多様なジャンルの音楽がランクインしやすいので、とりあえず対象とした範囲の50%以上を占めたらもうマジョリティといっていいと思います。一方マイノリティは、これはたくさんあると思いますが例えばTop10の平均ランクイン曲数が1曲未満だったら、これはTop10では十分マイノリティだといえるでしょう(分散が大きすぎなければ)。明確な基準は設け難いので、ケースバイケースで考えていきます。

 ポップ・ミュージックは万国共通みたいなイメージがあり、一国のみのチャートでは主要ジャンルとなっている国も多いと思われますが、グローバルでみたらどうなのでしょうか。一つ留意点として、英語の曲のみ「ポップ」にカウントしています。なので、「J-Pop」や「K-Pop」などは含まれていません。これについては議論があるかもしれませんが、英語のポップ・ミュージックが最も世界に広まっていて、英語だけでも世界の音楽市場における「ポップ」のスケールを測ることができると思ったからです。あとは、別枠で先述の2ジャンルを記録し、またいつかシェアを調べたかったというのもあります。とにかく、下が記録したものをまとめた結果です!とりあえず赤い線だけ見て下さい!!

 

 

 Top10では最高で4曲、半分以上を占めることはありませんでした。Top20、Top40でも同じです。平均を出すと、Top10で2.75曲、Top20で5.625曲、Top40で11.375曲。どれも全体の25%くらいのシェアで、予想に反して規模はかなり小さかったようです。やはり多様な音楽が上位に入ってくるため、ポップ・ミュージックのように世界的なジャンルでもグローバル・チャートで恒常的にマジョリティを保つことは不可能なのでしょう。また、上にリンクを貼った記事でグローバル・チャートはアメリカ色が強い的なことを書いていましたが、それも影響しているかもしれません。全米チャートは全体的にポップ、R&B、ヒップホップ、カントリーと主要ジャンルが4つもあるからです。具体的に、全米チャートでポップ勢が弱くR&B/ヒップホップ勢が強かった2020年夏は、グラフからもそのグローバル・チャートへの影響が読み取れると思います。逆に、2021年初頭はジャスティン・ビーバーやデュア・リパが米国でさらに盛り上がり、オリヴィア・ロドリゴの登場もチャートを大いに賑わせていました。このようにやはり影響力の強いアメリカが、多様な音楽でできているので、グローバル・チャートも自然とそうなってしまうということですね。まとめると、ポップのシェアは平均して25%くらいで、マジョリティとは全然いえなかった!という感じです。

 

 

2.R&B・リサーチ

 言い忘れていました、一応標本をとる際にも無作為抽出みたいなものを目指しています。例えば上位のポップ・ソングを記録する際、ビリー・アイリッシュが「大量初登場アクション(アルバムのリリースが反映される週に、そのアルバムの収録曲がシングルか否かを問わずたくさんソング・チャートに登場する現象。アルバムをストリーミングで聴くことで発生する。)」を起こした週には記録しないようにしています。その週に記録してしまうと、その週だけ異常に上位のポップ・ソング(ほぼビリー・アイリッシュ)の数が多くなったりして標準的な記録になり得ないからです。

 さて、次はR&B。アメリカ / カナダが中心で、ややローカルな音楽のイメージがあります。イギリスにもジョルジャ・スミス、エラ・メイなどR&Bアーティストはいますが、売れているアーティストのほとんどは北米出身で、また栄えているのも主に北米です。ただ、先述したようにグローバル・チャートはアメリカの影響を受けやすいチャートなので、R&Bミュージックもグローバル・チャート上位でしっかり確認可能。以下でその実態を考えてみます。ちょっと見にくいグラフ、重要度が一番低い青線は無視しちゃって大丈夫です!

 

 

 時系列で見ると少し面白いですね、Top10、Top40でピークがはっきりしています。Top10のピーク時を見ると、ザ・ウィークエンドが再び盛り上がりはじめた2021年2月で、その6か月後にあるTop40のピークはそれにド―ジャ・キャット、シルク・ソニックの勢いも加わった形です。全米チャートのイメージではR&Bは2021年前期に盛り上がり、後期にはだいぶ収まったと思っていたのですが、グローバルではそうでもなかったよう。むしろ全体でさらに盛り上がっていたみたいですね。ポップ・リサーチ同様、ばらつきも大きくないので平均を出してみました。Top10が1.857 ( = 18%のシェア )、Top20が3.286 ( = 16% )、Top40が4.714 ( = 11% ) という結果になり、「上位にいくほどまあまあシェアはある」と考えることができます。逆に言えば「範囲を下位に拡大するほどシェアは下がる」といえ、これは「R&BはTop10に到達しない中規模のヒットが少ない」と言い換えられると思います。売れる曲は大きく売れるけど、売れない曲はチャート・インすらしないような2極化の話ですね。自分はR&Bミュージックの一つの大きな特徴だと思っています。まとめると、R&Bはローカルな音楽の割に上位のシェアはあるが、範囲を拡大するとそれは落ちる、といった感じですね。

 

 

3.EDM・リサーチ

 EDM...なぜこのジャンルを記録してきたのか、よく分かりません。ただ、好きなロックはグローバル・チャートでも壊滅的だったので記録して現実を見たくなかったのと、よく聴くカントリー・ミュージックはローカルすぎてほとんどグローバルでは見られなかったのとで、その代わりにEDMを記録したのかもしれません。なお、ヒップホップを記録しなかったのはジャンルとしての興味が薄いのと、記録が大変になりそうな気がしたからです。ジャンルを調べるのも面倒だったりするんですよね...特に今はラッパーなのかラッパーっぽい別ジャンルの人なのか分かりにくい新人が多いし。

 それで、EDMについてですが、最も栄えているのがヨーロッパです。オランダはDJ大国などと呼ばれることもあり、例えばずっと売れているティエストはオランダ出身。他にもイギリスからは最近ジョエル・コリーが出ましたし、スウェーデンには復活したスウェディッシュ・ハウス・マフィアがいます。とにかく、売れたEDMアーティストの出身を調べると(アメリカも少なくないけど)ヨーロッパの国々が多いわけで、それにはドイツやイタリアなど英語が主要言語でない国も余裕で含まれます。EDMはボーカルより電子音で楽しませるものがほとんどなので、言語にとらわれにくく、その意味でワールドワイドな音楽といえるのかもしれませんね。

 

 

 結論から言うと、EDMはグローバル・チャートにおいてマイノリティです。ヨーロッパ全体の市場で栄えているのだからグローバルにもいくらか影響が出そうですが、残念ながらその影響はやや弱め。ヨーロッパ以外でのEDMブームはかなり控えめなのかもしれません。一応平均を出すと、Top10で0.143曲 ( = 1%)、Top20で1.143曲 ( =  5% )、Top40で2曲 ( = 5%)。上位にいくらか上がってきてはいるけど、Top10には入れなかったり、2020年12月や2021年8月のように調子が悪いときはTop40でも0曲だったりする。不安定性もある、ということですね。ちなみに2021年11月、グローバル・チャート創設以来初めてTop10入りしたEDMソングがスウェディッシュ・ハウス・マフィアの "Moth To A Flame with ザ・ウィークエンド" です。世界観のある曲で、ザ・ウィークエンドのボーカルがその世界観を分かりやすくし、完璧な曲に仕上げている最高のコラボ!! ...脱線しましたが、まとめるとEDMはTop10の平均ランクイン曲数が1曲未満のマイノリティで、Top20、Top40と範囲を広げてもあまりシェアは増えない、となります。

 

 

4.ラテン・リサーチ

 上にリンクを貼った記事で、ラテン・ミュージックはグローバル・チャートで強いと書いていました。しかし、このときは具体的なデータを使っていません、直感的な解釈です。では実際に標本を使って調べたらどうなるのか、見ていきます。なお、またも忘れていた留意点ですが、これは上位のみのリサーチなのでグローバル・チャート全体の傾向を見るものではありません。...いや、だってグローバル・チャートって200位まであるのよ?200位まで見て記録していくのって、さすがに面倒で...。ということで上位のみの解析です。

 

 

 相変わらず見にくいグラフですが、赤線のTop10を見るとだいたい(10曲中)1~2曲のシェアで、まあまあといったところ。Top20、Top40と広げるとそれにともなって曲数は増えるものの全体における割合はさして変わらなそうです。実際に平均値を出すと、Top10、Top20、Top40 それぞれ1、2.286、4.143で、全体に占める割合はそれぞれ10%、11%、10%とやはり規模を広げてもほぼ変わらず。R&Bの例と比べると、こちらは上位にまんべんなくヒット曲がランクインしていて、2極化の傾向はなさそうです。ところで2021年6月にラテンは静かにピークを迎えていますが、このときは特に目立って売れているラテン・シンガーがいませんでした。バッド・バニーがTop40に2曲ランクインさせていますが、うち一曲は半年前に売れた曲のなごりですし、この時期にアルバムはリリースされていません。ラテン・ミュージックのチャート上の特徴として、いろんな人が売れ、また閑散期がないことが挙げられると個人の意見として思っていて、安定的に栄えているジャンルというイメージを持っています。ラテン・スターもいますが、常にいろんな人がデビューしてラテン・ミュージック界を盛り上げている状態ですね。また脱線しましたが、まとめると「ラテン・ミュージックのグローバル・チャート上位におけるシェアは平均10%程度で、それを構成する実際のアーティストは多様」となります。

 

 

5.女性アーティスト

 形態別リサーチ、最初は女性アーティストの曲の数です。女性ソロ・アーティストがメイン・アーティストとしてクレジットされている曲で、◯◯ & ◇◇ のような連名のデュエット曲は両方女性ならカウントしますが、男性と女性、もしくはグループと女性なら除外します。...うん、除外されているはず。そもそもメインがはっきりしない完全なデュエット曲は少ないので、そこは何とかなっているでしょう。ジャンルに比べ大枠のカテゴリーとなったこのリサーチ、ここではまあ65%以上の占有を達成したらマジョリティ、15%以下の占有率ではマイノリティと仮定してみることにします。男性ソロ、女性ソロ、デュオ / グループの3つのみで分類されますからね、すべて平等だとそれぞれ33%、33%、33%で、33%をだいたい2倍もしくは2分の1倍した数値を仮定の参考にしてみました。

 

 

 赤線から見ていくと、最高4曲で10曲中の半分は超えず。それでも2021年は安定して数が推移しています。上位にランクインする女性アーティストはポップ・シンガーが多いのですが、2020年10月はポップ自体が弱かったこともあり曲数はグラフでは最低水準です(Top10の1曲はラッパーのカーディ・B "WAP feat. ミーガン・ジー・スタリオン")。しかしその後ポップが回復し、同時に女性アーティストの上位シェアも増えました。黒線を見ると2021年2月に急上昇していますが、このときは特にデュア・リパの再加熱がありましたね。その後は赤線は最後に下がってしまっていますが、青・黒線は同レベルをキープしていて全体としては落ち着いています。平均曲数は、Top10・・・2.833曲 ( = 28% )、Top20・・・5.666曲 ( = 28% )、Top40・・・11曲 ( = 27% ) であり、シェアはどの範囲でもほぼ同じになりました。まとめると、「女性アーティストの曲のシェアはおおよそ28%で、すべて平等のケース(33%)と比べ大きく離れていないことから少数派とは言い切れず、また曲数は安定的で変化が少ない」みたいな感じにできます。

 

 

6.デュオ / グループ・アーティスト

 個人的に、一番好きな形態です。好きなアーティストを挙げたとき、そのほとんどがデュオもしくはグループになります。...まあそれはいいとして、そもそも洋楽チャートでは日本よりデュオ / グループのヒットが少ない印象があります。日本にそういうアーティストが多いというのもあるかもしれませんが、全米チャートを5年以上見てきて、アメリカはどちらかというとソロ・アーティストの活躍の方がメインだなと感じることが多くありました。日本や韓国の影響が強ければグローバル・チャートでもデュオ / グループの存在感が強いかもしれませんが、果たして

 

 

 赤線のTop10から見ると、すべて1~2曲でマジョリティには遠そう。Top20に拡大しても割合はあまり変わらなそうです。Top40まで広げると増加幅が目立ちますが、それでも全体数は少ないままですね。2021年8月、気になったので調べるとここはBTSの曲が3曲も(Top40に)入っていました。また、マネスキンが大売れしている時期でもあります。先ほど述べた日本 / 韓国の影響ですが、やはり2国の音楽市場だけではグローバル・チャートに与えられる影響も限定的で、それは上位にまで及ばないものかもしれません。BTS や BLACKPINK は確かにグローバル・チャートで活躍していますが、それはアメリカなど巨大な音楽市場を持つ国でも人気だからで、例えば日本 / 韓国国内でしか認知が広まっていないアーティストは同チャート上位に表れにくいと思います。話をデュオ / グループのシェアに戻して、具体的に曲数の平均値はTop10・・・1.5曲 ( = 15% )、Top20・・・2.833曲 ( = 14% )、Top40・・・6.166曲 ( = 15% )となり、結局Top10からTop40まで占有率はあまり変わりませんでした...。最後にまとめると、デュオ / グループ・アーティストのシェアはだいたい15%で、仮定から形態別ではマイノリティに所属、となります。

 


 

以上...だけど明らかにやり過ぎた。

グラフ作って貼って、それに簡単にコメントするだけのつもりだったのに。

2022年4月25日、日付が変わろうとしている...。

もし来年またこのような記事を書くとしたら、

絶対もっと簡単に、短くします!!



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