札幌に行くとたまに時間合わせに行くLong barというショットバーがある。「ホリデイインすすきの」の一階に入っているバーだ。特にそこに泊まるときは会員サービスでそのLong barでも使えるウエルカムドリンク券をいただけるので、一杯余分に頂いて待ち合わせに急ぐ。
すすきのという場所柄、客層はどちらかと言うと同伴出勤前の中高年とおねえちゃんのカップルが多いが(30%くらいは下品なオジサン(笑))、深い時間になるとサラリーマンのグループも見かける。Long barと言うくらいで店の奥まで続くカウンターが好きでちょくちょくお邪魔するのだ。
香港のキャセイパシフィック航空の空港ラウンジにもLong barという長くて左右の見晴らしのいいカウンターがあるバーコーナーがあって、そこでピニャコラーダを作ってもらうのがお気に入りだ。
脱線した。
以前そこで一杯だけワインをいただいて出ようと思っていたら、店の同年代のスタッフが「どんなワインがお好きなんですか?」と聞くので、格好をつけて(笑)唯一知っている銘柄のワインを言ってみたら、それが意外に玄人受けする答えだったようで、ワインのいろいろを教えてくださった。
その彼に教えていただいたうちの一つが昨日の日記に書いたカリフォルニアのCALERAだった。なかなか興味深い話だったので受け売りでそのストーリーを今日の日記代わりに書いてみる。彼の話をそのまま書くので細部が違っているかもしれないがそこはご容赦いただきたい(笑)。
CALERAは「カリフォルニアのロマネコンティ」とも呼ばれるワインで、それを始めたのは当時若者だったアメリカ人のジョシュ・ジェンセンと言う男だった。彼は若い頃からフランスのロマネコンティのワイナリーでワインづくりの勉強をしていた。
何年もの修行のあと彼はアメリカに帰ることを決心する。その時にワイナリーのブドウの苗を隠し持って出国する。アメリカに帰った後その苗を使ってカリフォルニアでブドウ栽培、そしてワインづくりを始めた。そうやって出来上がったワインがCALERAと名付けられた。
寒い冬の日に、欲望渦巻くすすきの(笑)の真ん中で聴くそういう話はとても興味深かった。まるで杖の先に蚕を忍ばせて養蚕の技術を盗み出したシルクロードの昔話に似ていて、ロマンがある。
ま、現代でよく問題になるシャインマスカットや甘いイチゴの知的財産権侵害にはまったくロマンは感じない一方で、シルクロードの蚕やワインには感じるというのはご都合主義と言われても仕方ないけれども(笑)。
そんなこんなでそのCALERAは僕が知る数少ないワインの銘柄となったのだが、最近ちょっとお高いお店に行くとこれが出てくることが多くなった。今のインフレが起こるずっと前、先日も銀座で行ったやまやという酒のディスカウント店に行った時に、そのワインが一本2900円で売っていたので友人の家に飯を食いに行くときに持って行ってみたら皆に非常に評判が良かったのでそのあともう一度やまやに足を運んで残り2本を買い占めた、それが今我が家にある。
そのうち一本を土曜日に飲もうと、昨晩キッチンに出しておいたのだが、それを観ていたらあのすすきののLong barで過ごした時間を思い出した。夏、そして秋が過ぎたらまた札幌に数週間滞在するので(冬Loverなので)、その時に行ってみようと、酷暑の毎日のなか、もう冬が恋しい。
因みに生まれてこの方、酷寒の冬真っただ中でも春や夏を恋しいと思ったことは一切ない(笑)。
私はやっぱり寒いのはダメです(^^; 暑い方が、まだ良いかもしれません……。
北海道の友人に「冬が好き」と言うと、(お前頭おかしいだろ)という顔をされます(笑)。