米国、イギリスの状況と日本の状況を重ね合わせて、
「コロナは心配ない」
という論調の記事が多く見られるのが気になります。
大谷選手の大活躍で脚光を浴びる米国メジャーリーグや、決勝戦で60000人の観客を入れたイギリスでのサッカー・ユーロ決勝などを引き合いに出して、
「米国やイギリスではノーマスクで大勢の観客を入れている」
として、
「新規陽性者が増えても、重症化率が低いから問題ない」
「日本も重症化率が低いのだから心配ない」
さらに、
「心配ないのだからオリンピックは観客を入れるべき」
という論調です。
一見正しいように見える話ですが、詳しく見ればあまりに大雑把な意見なのがすぐにわかります。
米国メジャーリーグやヨーロッパのサッカー・ユーロ選手権をはじめ、テニスのメジャー大会など欧米のプロ競技ではワクチンパスポートや抗原検査キットなど最新の知見に基づいた対策をきっちりととっています。
ノーマスクで観戦している全員が、ワクチン接種済みを証明し、試合現地で抗体検査キットで陰性となった人達です。
抗体検査キットは日々進歩しており、正確性もPCR検査より若干劣る程度まで進化しているからこその対処です。
ワクチンパスポートについては日本のように「紙」での配布など論外。
先進国では「紙」などいくらでも偽造可能、というスタンスをはじめからとっており、EUはじめ複数の国家で共通して認められるアプリ開発をどんどん進めていて、デジタル上で偽造不可能な「間違いなく接種済である」という証明の発行を行っているそうです。
対して日本のオリンピックの対応は、、
ワクチン接種に関してはなんと、
入国する人の自己申告
とのこと。
入国前のPCR検査の陰性証明にしても、
「自国の医療機関で証明をとること」
としているのですが、日本以外の先進国では各国政府主導で医療機関と関係なくPCR検査を行っているため、
「どうやったら医療機関の証明をもらえるのか」
というところから混乱が生じているそうです。
医療機関に依頼して証明書を書いてもらっても、いざ日本に到着し入国審査の段階で
「この証明は無効だ」
とされて強制帰国させられたジャーナリストもいる、との話もあります。
取材方法にしても、メジャーリーグや欧州サッカーなどでは「リモート取材」が整備されていて、外国にいる記者からの質問をリアルタイムに受け付け、その場で選手とのやり取りが可能となっているそうですが、東京オリンピックではそのような対応は一切ない、とのこと。
こういったイベントのマネジメント対応から欧米は日本に比べて遥かに先を行っています。だからこそ大規模イベントを有観客で行う事ができます。
さらにあえて言う必要もないと思いますが、日本と米国・イギリスではワクチン接種率が未だに大きく異なります。
日本は60歳以上の高齢者こそワクチン接種がある程度進みましたが、肝心の「現役世代」30〜50代の接種は職域接種が可能だった一部の大企業以外はほとんど進んでいません。
新規陽性者が雪だるま式に増えているこの状況で、ワクチンパスポートも抗体検査も整備されずに「オリンピック有観客」は、やはり無謀だと思います。
個人的な意見ですが、日本はまず「他の先進国に比べてコロナ対策が決定的に遅れている」という現実を受け入れる所からはじめるべきです。
このままでは、今までの無策の手痛い「しっぺ返し」が来るのではないか。
そのことが心配でなりません。
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