国会閉会の間際となったところで、給付金の遅れに絡む問題について「クラウド蓮舫」が話題になっています。
最初「クラウド蓮舫」の話題を聞いたときは「国会議員はほんとにIT音痴だなあ」と思いましたが、蓮舫さんの質疑はそんな話ではありませんでした。
質疑の要点は
マイナンバーカードの申請が集中してシステムダウンし、発行中止状態になったのはなぜか
という事でした。
10万円給付金の申請時にマイナンバーカードでオンライン申請すれば早く給付される、と話が出た際に、200万件のカードの申請が集中しシステムダウンした事に対する検証の質問です。
政府はこの夏の間にマイナンバーカード発行数4000万枚を目指すそうで、蓮舫さんは
「200万件でダウンしたシステムを夏の間に4000万枚発行するのはむりじゃないか」
という事を指摘したのです。
政府は第2次補正予算で9.3億円をシステム増強に充てるそうですが、その中身は
システムのRAサーバーを現在4台→12台に、CAサーバーを現在2台→6台に増やす
というものらしいです。
ここで「サーバーではなく、時代はクラウド」と蓮舫さんが発言したことを取り上げられたわけです。
200万件でダウンしたのに、4000万枚発行を目指す→20倍の発行数です。
それに対する政府対応は
RAサーバーを今4台→12台に。つまり物理的容量を3倍に増やす。
CAサーバーを2台→6台に。これも3倍。
果たしてサーバーを3倍に増強することで、20倍の申請処理をできるものでしょうか?
そもそも200万件でダウンした現在のシステムは3300億使って作られたそうです。3300億を使ってRAサーバー4台、CAサーバー2台というシステム処理能力は適切なのでしょうか?
以前からマイナンバーカードは申請から発行まで数ヶ月かかる遅さが普及を遅らせる一因でもありました。もともとから処理能力に問題があったのでは?とさえ思えます。
発行からして不安定なシステムに、私達の大切な医療情報や銀行口座の紐付けなど了承出来るものでしょうか?
私はIT音痴なのでRAサーバーもCAサーバーも何なのかわかりません。でも、処理能力や物理的メモリ量の多さだけで複雑処理をこなそうとしたら、雪だるま式に必要能力が膨らむだろうことは想像がつきます。
蓮舫さんはそういう物理的能力増強でその場しのぎをするのではなく、もっと効率の良いシステムを再構築するべきだ、と言っていたのだと思います。
マイナンバーカードの利用方法は各省庁にまたがり、しかもそれぞれの運用は独立して行うとされています(それがマイナンバーの安全運用の根拠にもなっています)。
そういう使われ方ならば、政府が万全のセキュリティ対策を施した独自クラウドシステムを構築して省庁間でオンライン処理する、というのは正しい方向性の話に思えます。
今回の蓮舫さんの質疑は、今回の給付金遅れや、ひいてはアベノマスクの配布遅れなど全ての政府対応の遅さに対する検証の意味もある質疑であったはずです。
それを「クラウドだってサーバー上に置くんだ」と揶揄するのは、結局は政府や行政の対応の検証を阻み、迅速な対応に必須なIT化を阻むだけだと思います。
もちろんこの土壇場でシステム再構築というのは非現実的かも知れません。
でもマイナンバーカードが本当に普及したら現行システムのままで正常運用できるとも思えません。
必ず必要となる次世代システムを見越して今から十分な議論・検討を進めることが必要だし、そういう姿勢がマイナンバーカードへの信頼性も高めるものだと思います。
逆に今の政府対応はそういう真剣な姿勢がまるで見えず、その上現在の運営状況も全ての事業で不透明。
こんな状態でマイナンバーカードの活用をいくら訴えられても、不信感しか生まれません。
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