のち
朝のうちは雨。風も強かったです。気圧のせいか寝坊してしまい、朝ドラはリアルタイム視聴できず。録画はしてありましたが、昼の再放送で観ました。
半年間観てきた『ブギウギ』とも今日でお別れ。ドラマの最終回に歌手・福来スズ子のラストステージを重ねるメタ的構成が美しかったです。しかしこれは笠置シヅ子をモデルとした福来スズ子という歌手兼女優の一代記ではなく、いわゆる「ステージもの」でさえなく、「朝ドラで音楽劇を作る」という画期的、いや前代未聞のコンセプトによる作品だったと思います。正直言ってドラマとしての後半の展開はやや急ぎ足で、スズ子と言うか笠置シヅ子さんの人生に於る様々なイベントをこなすのに精一杯という感もありましたが、それも全て本日のラストステージに収束させるためだったと思えば納得できます。
この難しいミッションをやり遂げた主演の趣里さん。バレエダンサーとして修練を積んだ人だけに、ステージ上での縦横無尽な動きや身のこなしも体幹がブレることなく美しく、歌唱もどんどん上手くなっていくのがわかりました。実のところ笠置シヅ子さんの持つ陽性な「大阪のオバハン」らしさは仁(ニン)にないと思えたし、元々大阪ことばの話者でもないので、そちらはいかにも「演じている」感が拭えませんでした。一方で繊細な感情表現は素晴らしく、特に羽鳥先生に引退を告げに行って「絶縁」を言い渡された回や、二人の和解と長年の真情の告白を描いた昨日の回などは、羽鳥善一を演じる草彅剛さんの演技との相乗効果で思わず見入ってしまいました。
何しろスズ子が羽鳥善一と組んでからは、週末に「新曲発表」が行われることが多く、それをやりこなすだけでも大変だったと思います。その中でも弟の六郎を悼む「大空の弟」から「ラッパと娘」への流れは圧巻だったし、今日のラストステージの「東京ブギウギ」に乗せた万感の思いも華やかさも最高でした。改めて心から拍手を贈りたいです。
そして羽鳥善一こと草彅剛さん。元アイドルらしい華やかさ明るさや良い意味でのあざとさ、その一方での複雑な感情表現、怒りや悲しみの表出なども素晴らしく、役者としての力量をまたも見せつけられた思いです。羽鳥善一がこのドラマの「もう一人の主役」と言われた意味が、最終週ではっきり理解できました。
羽鳥先生にとってスズ子はミューズであり「音楽の天使」であり、善一はスズ子のファントム先生だったのですよね。「You alone can make my song take flight」なのです。もちろん、羽鳥先生はオペラ座のエリックさんみたいなキモい邪恋を抱いているわけではありませんが——
しかし互いに配偶者や家庭を持ちながら、二人の間には恋愛感情とは違う余人の立ち入る余地のない「愛」が確かにあり、彼らは唯一無二のパートナーだったのですよね。スズ子が、善一にとって「最高」の存在でなくなるくらいなら二度と歌わないと自ら宣言するほどに。善一の妻でありスズ子のこともずっと見守ってくれた麻里さんがそれでもかすかな嫉妬を覚え、スズ子も自分が麻里さんを苦しめてきたのではないかと自覚するほどに。
実際、歌手・笠置シヅ子(歌手時代は「シズ子」表記)の楽曲はすべて服部良一作曲であり、それ以外の曲を歌ったことはなかったそうです。服部良一は笠置シヅ子以外にも、茨田りつ子のモデルとなった淡谷のり子や、男性歌手である霧島昇や藤山一郎などにも数多の名曲を提供していますが——
それはそれとして、朝ドラに於て恋愛関係ではないこういう関係性が見られたことに感動するし、一方でスズ子ならぬ花田鈴子の実家である《はなの湯》の「血の繋がらない家族」から始まった物語が、現在の鈴子が得た(娘の愛子以外)血の繋がらない家族の団欒に帰結するという構成も、また美しいものでした。
最終回=ラストステージの場に、これまでスズ子に関わった主な登場人物が故人以外大集合し、来られなかった人は手紙や祝い花を贈り、またツイッターの番組公式アカウントが主要キャストのクランクアップ画像を一気に放出する様は、さながらカーテンコールのようでした。自分としては、戦後のどさくさで行方不明になっていた下宿屋のご夫婦やおでん屋のおじさんがどうやらご健在だったらしいことが判ったのも嬉しかったです。
また大河ドラマや朝ドラ放送中にはままあることですが、副産物として羽鳥善一のモデルとなった服部良一の楽譜(大空の弟)が新たに発見されたり、笠置シヅ子の埋もれていた映像が掘り起こされたり、何より幾つもの「ブギウギ」の陰に隠れていた「ラッパと娘」という名曲が再び脚光を浴びたり——などの動きがあったことも喜ばしいです。実は自分は、以前に出た服部良一トリビュートアルバム(CD)なども持っていて、『ブギウギ』番宣も兼ねて放送された複数の新たなコンサートも楽しく観ました。
これまで書いてこなかった『ブギウギ』への思いを書きつらねているときりがないので、ひとまずこのへんで。ともあれ半年間楽しませていただき、ありがとうございました!
晩ごはんは久しぶりに家でラーメンを作りました。しょうゆラーメンの玉子とじですが、ねぎをたっぷり一本分と冷凍してあったしいたけ薄切りも入れ、サラダチキンをのせました。
夜のTVはNHKで【夜だけど朝ドラ名場面スペシャル!】なる番組を視聴。朝ドラに縁あるゲスト(俳優)の皆さんと共に「◯◯ロス」やヒロインの「おかあさん」に注目するなど、いろいろな切り口から朝ドラが語られ、まあまあ面白かったです。4月からの『虎に翼』も面白そうですが、自分はタイミング的に初回を観られないかもしれません……
その他に今日したことと言えば、例によって読書を少々。午後には雨が上がり晴れ間も見えてきましたが、外出はせず。湿度だけでなく気温も上がり、外は少し蒸し暑いくらいでした。明日には更に気温が上がり、初夏のような陽気になるそうです。
朝のうちは雨。風も強かったです。気圧のせいか寝坊してしまい、朝ドラはリアルタイム視聴できず。録画はしてありましたが、昼の再放送で観ました。
半年間観てきた『ブギウギ』とも今日でお別れ。ドラマの最終回に歌手・福来スズ子のラストステージを重ねるメタ的構成が美しかったです。しかしこれは笠置シヅ子をモデルとした福来スズ子という歌手兼女優の一代記ではなく、いわゆる「ステージもの」でさえなく、「朝ドラで音楽劇を作る」という画期的、いや前代未聞のコンセプトによる作品だったと思います。正直言ってドラマとしての後半の展開はやや急ぎ足で、スズ子と言うか笠置シヅ子さんの人生に於る様々なイベントをこなすのに精一杯という感もありましたが、それも全て本日のラストステージに収束させるためだったと思えば納得できます。
この難しいミッションをやり遂げた主演の趣里さん。バレエダンサーとして修練を積んだ人だけに、ステージ上での縦横無尽な動きや身のこなしも体幹がブレることなく美しく、歌唱もどんどん上手くなっていくのがわかりました。実のところ笠置シヅ子さんの持つ陽性な「大阪のオバハン」らしさは仁(ニン)にないと思えたし、元々大阪ことばの話者でもないので、そちらはいかにも「演じている」感が拭えませんでした。一方で繊細な感情表現は素晴らしく、特に羽鳥先生に引退を告げに行って「絶縁」を言い渡された回や、二人の和解と長年の真情の告白を描いた昨日の回などは、羽鳥善一を演じる草彅剛さんの演技との相乗効果で思わず見入ってしまいました。
何しろスズ子が羽鳥善一と組んでからは、週末に「新曲発表」が行われることが多く、それをやりこなすだけでも大変だったと思います。その中でも弟の六郎を悼む「大空の弟」から「ラッパと娘」への流れは圧巻だったし、今日のラストステージの「東京ブギウギ」に乗せた万感の思いも華やかさも最高でした。改めて心から拍手を贈りたいです。
そして羽鳥善一こと草彅剛さん。元アイドルらしい華やかさ明るさや良い意味でのあざとさ、その一方での複雑な感情表現、怒りや悲しみの表出なども素晴らしく、役者としての力量をまたも見せつけられた思いです。羽鳥善一がこのドラマの「もう一人の主役」と言われた意味が、最終週ではっきり理解できました。
羽鳥先生にとってスズ子はミューズであり「音楽の天使」であり、善一はスズ子のファントム先生だったのですよね。「You alone can make my song take flight」なのです。もちろん、羽鳥先生はオペラ座のエリックさんみたいなキモい邪恋を抱いているわけではありませんが——
しかし互いに配偶者や家庭を持ちながら、二人の間には恋愛感情とは違う余人の立ち入る余地のない「愛」が確かにあり、彼らは唯一無二のパートナーだったのですよね。スズ子が、善一にとって「最高」の存在でなくなるくらいなら二度と歌わないと自ら宣言するほどに。善一の妻でありスズ子のこともずっと見守ってくれた麻里さんがそれでもかすかな嫉妬を覚え、スズ子も自分が麻里さんを苦しめてきたのではないかと自覚するほどに。
実際、歌手・笠置シヅ子(歌手時代は「シズ子」表記)の楽曲はすべて服部良一作曲であり、それ以外の曲を歌ったことはなかったそうです。服部良一は笠置シヅ子以外にも、茨田りつ子のモデルとなった淡谷のり子や、男性歌手である霧島昇や藤山一郎などにも数多の名曲を提供していますが——
それはそれとして、朝ドラに於て恋愛関係ではないこういう関係性が見られたことに感動するし、一方でスズ子ならぬ花田鈴子の実家である《はなの湯》の「血の繋がらない家族」から始まった物語が、現在の鈴子が得た(娘の愛子以外)血の繋がらない家族の団欒に帰結するという構成も、また美しいものでした。
最終回=ラストステージの場に、これまでスズ子に関わった主な登場人物が故人以外大集合し、来られなかった人は手紙や祝い花を贈り、またツイッターの番組公式アカウントが主要キャストのクランクアップ画像を一気に放出する様は、さながらカーテンコールのようでした。自分としては、戦後のどさくさで行方不明になっていた下宿屋のご夫婦やおでん屋のおじさんがどうやらご健在だったらしいことが判ったのも嬉しかったです。
また大河ドラマや朝ドラ放送中にはままあることですが、副産物として羽鳥善一のモデルとなった服部良一の楽譜(大空の弟)が新たに発見されたり、笠置シヅ子の埋もれていた映像が掘り起こされたり、何より幾つもの「ブギウギ」の陰に隠れていた「ラッパと娘」という名曲が再び脚光を浴びたり——などの動きがあったことも喜ばしいです。実は自分は、以前に出た服部良一トリビュートアルバム(CD)なども持っていて、『ブギウギ』番宣も兼ねて放送された複数の新たなコンサートも楽しく観ました。
これまで書いてこなかった『ブギウギ』への思いを書きつらねているときりがないので、ひとまずこのへんで。ともあれ半年間楽しませていただき、ありがとうございました!
晩ごはんは久しぶりに家でラーメンを作りました。しょうゆラーメンの玉子とじですが、ねぎをたっぷり一本分と冷凍してあったしいたけ薄切りも入れ、サラダチキンをのせました。
夜のTVはNHKで【夜だけど朝ドラ名場面スペシャル!】なる番組を視聴。朝ドラに縁あるゲスト(俳優)の皆さんと共に「◯◯ロス」やヒロインの「おかあさん」に注目するなど、いろいろな切り口から朝ドラが語られ、まあまあ面白かったです。4月からの『虎に翼』も面白そうですが、自分はタイミング的に初回を観られないかもしれません……
その他に今日したことと言えば、例によって読書を少々。午後には雨が上がり晴れ間も見えてきましたが、外出はせず。湿度だけでなく気温も上がり、外は少し蒸し暑いくらいでした。明日には更に気温が上がり、初夏のような陽気になるそうです。