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『WALL・E/ウォーリー』(2008)

2008-12-08 23:56:19 | 映画・DVDレビュー
ときどき
12月5日初日の第一回に観て来ました。ピクサー/ディズニーの新作『WALL・E/ウォーリー』

『WALL・E/ウォーリー』公式サイト

ストーリー:29世紀──汚れ果てた地球を離れ、人類が宇宙に飛び立ってから700年が経っていた。ただ一体残されたゴミ処理ロボット、ウォーリー。
気の遠くなるような年月の間、黙々とゴミを集めては、その中からお気に入りのものをコレクションする孤独な毎日を送っていた彼の前に、或る日、宇宙船が現れる。
その中から降り立ったのは、白く輝くボディを持つロボット「イヴ」だった。彼女に一目惚れするウォーリー。だがイヴは或る重大な任務を帯びていた。
ウォーリーが見せたコレクションの中の「ある物」に反応、フリーズしたイヴは、やがて元の宇宙船に回収されてしまう。
彼女を取り戻すため、後を追って宇宙へ飛び出すウォーリー。そこで彼が見たものは……

「ピクサー初の正統的ラブストーリー」と銘打たれた作品。
ひとりぼっちで与えられた仕事をひたすら続け、人間の遺産であるミュージカルのビデオを繰り返し再生しては、「誰かと手をつなぐ」ことを夢見るウォーリーの姿が切ないです。初め摩天楼の廃墟かと思われた高層物の殆どが、実は彼が処理し、積み上げたゴミの塔であったことが判った時には息を呑みました。
そういう描写があるから、出会ったばかりのイヴに心を寄せるウォーリーの純粋さも生きて来るのだと思います。
孤独な生活の慰めとなるコレクションの描き方の細かさも楽しいし、ウォーリーのただひとりの友は……多分「G」のつくアイツだと思いますが、とりあえずそれは忘れてやろうと思うくらい可愛かったです。
あ、そうそう。細かいことだけど、ウォーリーの充電完了音がMacの起動音だったことが、地味に嬉しかったな

しかし、本当に二人(二体)の心が通い合うのは、宇宙へ旅立ってからのこと。
そこへ行くまでの、デブリ(地球の周回軌道上の宇宙ゴミ)を突き抜けるシーンや、放棄された月面基地、土星の氷の輪にそっと手を伸ばすウォーリーの姿には、非常にSFマインドと言うか、宇宙物愛好者の琴線に触れるものがありました。
巨大宇宙船に辿り着いた後の、宇宙空間でのウォーリーとイヴのダンスも美しく、お掃除ロボットMOや「強制入院」させられていた故障ロボットたちも巻き込んでの船内での冒険活劇は、いつものピクサーらしくハラハラドキドキさせてくれます。

この宇宙船に隠された秘密については、公開間もない現時点ではネタバレしない方がいいと思います。
ただ、随所に見られる『2001年宇宙の旅』パロディが、気が利いているというだけでなく(『ドナウ』が使われているとか)、ストーリー後半になると、話の根幹にも深く関わっていたということが判って、感心、感動したとだけ言っておきましょう。
※でも、ちょっとネタバレ※『ツァラトゥストラ』には、「ここで使うか!」と爆笑。しかし、あれは人類にとって新たな1ページが開かれた瞬間でもあったわけだし、たぶんアポロ11号のニール・アームストロング船長の有名な言葉──これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である──にも引っ掛けてあると思うので、非常に感動的なシーンでもありました。

うちの近くのシネコンでは吹替え版のみの上映なので、それで鑑賞しましたが、この艦長の声は誰かな?と思ったら、草刈正雄さんだったんですね。びっくり!
でも、ピクサー作品は声優専業じゃない俳優さんや芸人さんでも、概ねちゃんと上手い人をキャスティングしてくれるので安心です。

さて、古典的なボーイ・ミーツ・ガール・ストーリーに「環境問題」が絡むと、どうしても宮崎駿作品を連想してしまうし、実際「少年少女の愛が地球を救う」物語でもありました(いや、ウォーリーは700歳のジイさんだけど)。
この作品を貶める意図でそう言うのではなく、今のジブリ作品からは既に失われていると言わざるを得ない宮崎アニメの最良の部分が継承されていることを嬉しく思ったのです。むしろ、宮崎さんほど説教臭くない分、ピュアに感動できるかも知れません。

ところで、パンフレットで知ったことですが、ウォーリーが観ていたミュージカルは、バーブラ・ストライサンド主演の『ハロー・ドーリー!』(1969)だったんですね。
あの歌を歌っている男性の方、どこかで見たことが……と思っていたら、なんとびっくり!その後、『オペラ座の怪人』(オリジナル・ロンドン版)で一世風靡した初代ファントムことマイケル・クロフォードでした!
彼のためにだけでも、もう一度観に行こうかしら……

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2 コメント

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可愛かったですね (にいな)
2008-12-20 21:59:08
私もやっと見て来ました!
うちの近所でも吹替え版だけでした。
で、Qさんのレビューを読んでいたのに、船長の声が草刈さんなのを忘れていてエンディングでビックリして思い出しました。

ウォーリーとイヴの心が通い合う宇宙船のシーンも好きですが、前半のセリフ無しの静かな感じも良かったですね。
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純愛 (Qまたはレイチェル)
2008-12-31 20:51:53
これは本当に、世代や立場や更に映画についての知識の有無によっても、多様な面白さや感動が得られる作品だったと思います。
あえて人間型でないロボットたちを主人公にしたことで、性別も年齢も越えた愛が伝わって来ました。
時間があれば、もう一度観たいです。
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