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『リメンバー・ミー』

2018-04-09 23:15:22 | 映画・DVDレビュー

ディズニー/ピクサーの新作『リメンバー・ミー』を同時上映『アナと雪の女王 家族の思い出』ともに観て来ました。
なんと三日連続の映画館通い!いえ、今月は中旬くらいから観劇(&ライブ)ウィークにはいる予定なので、その他の用事も考えると、観られるのは先週末から今日くらいまでしかなかったのです。下旬になれば『レディ・プレイヤー1』も『インフィニティ・ウォー』も始まりますし。

個人的な事情はさておき──

メキシコ、サンタ・セシリアの町で大家族と共に暮らす少年ミゲル。音楽を愛し、町が生んだ伝説のスター、エルネスト・デラクルスのようなミュージシャンになるのが夢だが、一族には代々「音楽を演奏することも聴くことも禁止」という掟があり、靴職人の家業を継ぐことをほぼ義務づけられていた。
それでも音楽への情熱が消えることがないミゲルは、ひょんなきっかけで、憧れのデラクルスこそかつて家族を捨てて出奔した高祖父だと確信する。音楽禁止の掟も高祖父のその行為ゆえだったが、自分に偉大なミュージシャンの血が流れていることを喜ぶミゲルは、初めて家族の前でその夢を語るも、頭ごなしにそれを否定され、祖母によって愛用のギターを破壊される。
時あたかも、先祖の魂が帰って来ると言われる「死者の日」。怒りと悲しみにかられて町に飛び出したミゲルは、デラクルスの霊廟に忍び込み、そこに飾られていたギターに手を伸ばす。それを奏でた時、彼の体は「死者の国」へ──
そこは、住人が全員ガイコツ姿ながら華やかで活気に満ちた世界だった。が、生者は夜明け前に先祖の「許し」を得ないと体が消滅してしまう。それを教えてくれたヘクター、そして元の世界からついて来た愛犬ダンテと共にミゲルの冒険の旅が始まる。

メキシコの「死者の日」については知っていましたが、日本のお盆時期の夏祭りどころではなく、華やかで楽しそうです。現世だけでなく「死者の国」のきらびやかさ、色彩の美しさにも目を奪われ、これなら死後に行くのも悪くないと思ったりもして。
ツイッターに流れてくる感想では、「家族」「伝統」という言葉だけでアレルギー反応を起こしているようなものも見受けられ、少し身構えての鑑賞となりましたが(そんなのばっかりですね)実際に観ると、序盤ではまずその「家族の掟」や「伝統」が主人公ミゲルを縛り、抑圧する理不尽なものとして描かれています。死者の国へ行っても、そこで出会った高祖母ママ・イメルダはじめ先祖たちが音楽を禁じることに変わりはありません。
それを打破するものとしてミゲルが頼りにするのは、よくわからない伝統や掟などよりもっとストレートな「血」。偉大なミュージシャンの血が自分に流れているという確信です。それがまた嫌だという人もいるかもしれませんが、抑圧装置としての「家族」をいったん否定し、そこから思いがけぬ逆転を見せて別の地点に着地させる脚本の手並みは鮮やかだと思います。
原題『Coco』の意味するものがわかった時には、思わず涙が出ました。ただこのタイトル、「何だろう?」と思って観に行って「そうだったのか!」と気づく初回の感動はあっても、2回目鑑賞(するとして)以降は大いなるネタバレになりますね。「彼」の願いや愛をその一語に集約させた原題も捨てがたいですが、あの曲名を生者と死者双方からの「忘れないで」として採用した邦題も素晴らしいと思います。

今回は吹替版での鑑賞でした。ミゲル役の石橋陽彩くんは台詞回しはまだ生硬ですが、声の美しさ歌の上手さにびっくりしました。ヘクターの藤木直人さんもママ・イメルダの松雪泰子さんも良かったですが、何と言ってもデラクルス役の橋本さとしさん!「デラクルスの顔がまんまさとしさん」と言われていましたが、本当でした(笑)。実際、顔で選んでのキャスティングだったのではないかと…もちろん歌も上手です。

ところで、死者の国にはメキシコを代表する偉大な画家フリーダ・カーロも登場します。作中、ミゲルたちに側面から手を貸してくれる存在ながら、なんだかネタ的な扱いでした。映画をご覧になった人たちが、そこから彼女の画業や凄絶極まる生涯にも興味を持ってくれたら、と思います。

同時上映は『アナと雪の女王』続編(スピンオフ?)『家族の思い出』。こちらも吹替えキャストはオリジナルと同じで、安心して聴けました。
原題が『Olaf's Frozen Adventure』という通り、主役と言うかお話を進める役はほぼオラフです。
この作品も「家族の伝統」がモチーフとなっていますが、大事なのはそこではありません。愛する人や心通わせる仲間たちと共に形成される心地よくゆるやかな共同体があるなら、それを「家族」と呼んだっていじゃないか──という、アメリカの様々な映画やドラマががここ20年くらい描いてきたテーマの作品だったと思います。
それにしても、いきなり勝手に暗くなってまた引きこもりかけるエルサ女王。相変わらずめんどくさい人で好きですよ でも、例の「足技」で孤独の城ではなく、皆を楽しませるものを作るようになったのは喜ばしいことです。
残念なことが一つ。公開時期が本国とズレたから仕方ないとは言え、これはやはりクリスマスシーズンに観たかったですね。

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