今日は天気は良かったけれど寒い一日でした。風もかなり強かったし。
そんな中、午後はずっと外出し、夕方から夜にかけて、またクリスマス・イルミネーション撮影に行ったりしていました。
が、それでも、午後8時にはちゃんとテレビの前に座っていられるように帰宅したそのわけは──
一年間続いたNHK大河ドラマ『風林火山』、本日放送の最終回を観るためでございます。
いやあ、大河ドラマとしては近年稀に観る面白い作品でした。
井上靖の原作『風林火山』にかなりの脚色、改変を加えつつ、己の「夢」やロマンに命を懸ける主人公像は揺らぐことがなかったと思います。
変に「若者うけ」を狙わず、と言って、悪い意味で「オーソドックス」な訳でもなく、古臭くもならず、骨太な「漢たちのドラマ」のテンションは最後まで落ちることはありませんでした。
戦さというものの惨さ、非情さの描き方が、初めにイデオロギーありきだったり変に感傷的だったりしないのも良かったです。
また、武田上杉双方の武将たちだけでなく、戦国時代を扱った多くの歴史小説やドラマに於いて、これまでかなりお座なりな扱いだった駿河の今川氏や、小田原の北条氏、またその家臣たちに到るまで、すべてのキャラクターに目配りがされていることにも好感が持てました。最後まで勘助に従った伝兵衛、太吉コンビも好きでした。なんだかメリーとピピンを思い出したりして(笑)。
気を抜くと人間関係や勢力図に混乱させられたりもしましたが、今川義元などはこの作品のおかげでかなりイメージアップしたのではないでしょうか(自分がそうなだけか)。
最大の功労者は、脚本・大森寿美男(この人の脚本による作品は『てるてる家族』も『クライマーズ・ハイ』も好きでした)と主演・内野聖陽だったと思いますが、放送開始前にはいろいろ言われていたんですよね。山本勘助で一年もつのか?とか、なんだか地味な主役とか、信玄に華がないとか、謙信にGacktって!?とか。
でも、内野さんはじめ、舞台での評価が高い人たちを中心とした「知名度よりも実力」を優先したと思われる配役に加えて、周りに大ベテランを(仲代達矢、千葉真一から、緒形拳に到るまで)置いたキャスティングは、結果として大成功だったと思います。その中でこそ、長尾景虎=Gacktの戦国武将としてのとび抜けた異質さ(や変人ぶり)も際立つことになった訳です。
とにかく、一年間いろいろな意味で面白く、楽しめた作品でした。完全版DVDボックスセットなどにも手を出してしまいそうな勢いですが、価格も素晴らしすぎて躊躇われます……
上でリンクしたNHK公式では、内野さんクランクアップなども観られ、ちょっとしたカーテンコールの趣きがあります。
NHKウィークリー [ステラ] のサイトより、「メモリアル特別編」もどうぞ。
脚本がよかったのですね。
>初めにイデオロギーありきだったり変に感傷的だったりしないのも良かったです。
それはなかなかよいですね。
いや面白かったですよ、これ。骨太の歴史ドラマですが、大河ドラマや普通の(?)時代物とちょっと違う感じで。
いい意味で劇画的と言うか、『ロード・オブ・ザ・リング』を経て来た歴史ロマンと言うか。
有名武将から足軽、庶民、また女性たち(こちらも姫君や奥方たちから忍びの者まで)等々各キャラクターの立たせ方、諸国や群雄の個性の描き分け、そして浪人時代の主人公の見た目の汚さ(笑)にも、何となく『指輪』を感じてしまいました。