シェイクスピアは誰なのか?
これは、もはや人類文化遺産に対する、本気のミステリーかもしれません。
論議は何時果てる事なく続いているようです。
はじめは、そんな状況が...好事家のあいだのことかと受け流していましたが、ちょっと覗き込んでみると、本気モード!さもありなんという事情が伺い知れます。
確かに一般に流布しているシェイクスピアを無邪気に”それ”とするのは、どうなんだろう?
そんな気がしてきます。
こんな話があると知ったのは、ずっと前、フランシス.ベーコンの検索をした時の事、
アーテステックで、お茶目で 真面目な、ベーコンがシェイクスピアだと信じている 熱烈なベーコン愛好家たち,ベーコン派のサイトです。英語の上に、たくさんの部屋があるので、迷い込んでしまいます。
アカデミックでありながら、画像が素敵で、見るだけでも楽しいのでご紹介しますね。
Sir Francis Bacon's
New Advancement of Learning
http://www.sirbacon.org/toc.html
この表紙の絵の中のギャラリーhttp://www.sirbacon.org/gallery/gallery.htmlとか、あちこちクリックするといろいろ出てきますし、
カタログなんてクリックするとTシャツとかポスターなど、CDなんて、どうやらラップらしい..!下はTシャツのプリントのひとつ。
サイトの下側に羅列したコンテンツでも出てきますが、資料も多いので、楽しい所を探してくださいね。粋なはからいが沢山ありますから。
さて、本題です。
そもそも、何故こんなやっかいなミステリーになったのか?
というのも、ストラスフォード出身のシェイクスピア氏の境遇には、これらの博学で外交通、宮廷生活でも縦横無尽、哲学にも法律にもやたらと詳しい.....歴史はお勉強出来るとしても、これほどのお話やソネットを書くには、..確かに無理がある....
それに彼自身の個人的な記録、彼自身を想像させるような記録がほとんど無く、ストラスフォードのお役所のごく事務的な結婚や子供の出生の記載とか、訴訟の記録、妻に2番目にいいベッドを残すという遺言とか、味もそっけもない事務的な記録のみなんです。
かたや、ロンドンではこの当時からシェイクスピアの出版物や劇はもちろん大人気、貴賤を問わず喝采されていた作家シェイクスピアなのに、ロンドンでの哀悼やお葬式の記録もない。狭い世界でそれぞれ知り合っていたはずなのに、ストラスフォードのシェイクスピアの噂話が残っていない。
私的にも(勝手なフィーリングなんですが..)この経歴から見えてくるストラスフォードのシェイクスピアは、どうも..キャラクター的にも、かっこいい破廉恥さや、俯瞰的視座を持ち得たとは感じられないんです。
当時、ロンドンには宮廷に出入りする貴族を含め、優れた人気作家たちが活躍していましたが、
当時の貴族には、この手のジャンルには作家として名前を出さないという不文律があったそうなんです。
それに、誰が書くにしろ、周知の種本があったり、誰かのものを、また自分流に書くなんてことは、どうやら普通のことだったらしい。
シェイクスピアは誰なのか?過去数世紀にわたって、たくさんの候補者が挙げられましたが、
現在もなお強力なのは、やはりフランシス.ベーコン(1509−1592)と、
第17代オックスフォード伯エドワード・ド・ヴィア(1550−1604)
じゃないかという意見。
ベーコン説は100年前に全盛だったらしいですが、今でも意外に根強いようです。
最近急上昇したのが17代オックスフォード伯エドワード・ド・ヴィアです。
フランシス.ベーコンは政治家で哲学者、理念的にアメリカ建国にも一躍負っていますし、その頃のニューエイジとでも言いましょうか、理想的な国『ニューアトランテス』の作家でもあります。(彼は秘密結社バラ十字の有名な党員なんですが)
真面目で偉くて立派なんですが、どうも重厚すぎる..、あのシェイクスピアの諧謔性や清濁合わせ飲んで、普遍的でありつつ痛烈な台詞まわし..とか、今ひとつ軽妙さが感じられない....。どーかなあ?みたいな気がするんです。
もちろんベーコン派には、様々な論証があって、強烈な支持者がいるんですが。ただ、今はあまりかくれシェイクスピアの候補としてはフェイドアウト気味のようです。
それにくらべて、第7代オックスフォード伯というのは、性格や身分、境遇のプロセスがぴったりな感じがするんです。
彼は幼い頃から、エリザベス女王側近の博学の後見人を親代わり、かつ家庭教師として育ち、若い頃から女王の寵愛を受け、宮内劇団もまかされたり、自分でも劇団を持ち、脚本も書く、劇作家たちのパトロンでもある..、才気煥発、伊達者で気性激しく、決闘などおちゃのこだし、優れた劇作家たちも、彼の才能、文才の素晴らしさに嫉妬を超えて感嘆せざるをえないというほどのバリバリ。
彼の人生は、その気性ゆえに、一筋縄ではいかず、波瀾万丈、ハムレットやロミオとジュリエットを暗示させる経験も味わっている..。等々..
シェイクスピア・ミステリー [単行本] ジョーゼフ ソブラン (著), Joseph Sobran
, 小田島 恒志 (翻訳), 小田島 則子 (翻訳)
先頃、読んだ本『シェイクスピア.ミステリー』でオックスフォード伯のキャラクターや人生を知ったんですが...作者ジョーゼフ.ソブランは前半で過去のたくさんの候補者のひとつひとつの説を検証し、その上で否定して、後半で、オックスフォードが、なぜ有力な候補か、その人となりや人生をよく調べ、これが真なんじゃないかと述べているんですが。(最近では、このオックスフォード説が、俄然人気らしい)
このオックスフォード伯!
これで、なにかピーンときちゃった私は、このミステリーがあらためて面白くなったのでした。
そして、エリザベス1世やその側近の人々、その繋がりや系譜とか、気になってやたらに気持ちが忙しくなっているのであります。
あらためて映画のエリザベスものはもちろん、
アカデミー賞の『王様のスピーチ』なども、より面白く見れそう♪
さまざまな推論の経緯については、一冊の本よりもまとまっているこのウィキサイトがありますよ。
シェイクスピア http://ja.wikipedia.org/wiki/シェイクスピア別人説
次回は”フランシス.ベーコン自身の謎”についてのお話しです。
Image: Matt Collins
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