衆議院選挙の結果を受けて、選挙を闘った政党や候補者、報道機関、マスコミ、個人、また、ネットのプロガーなど、いろんな人が、総括しています。
ひとつだけ、あまり聞かれない話があるので、書いてみます。
それは、現状とあまり、変わらない結果になった理由です。あまり変わらない、というのは、政権交代が、起きなかった、という点だけでも、あまり変わりがないのです。
その理由は、「冬の選挙だった」という、ことです。自公は、当選議員数をみても、見事なまでの現状維持で、選挙前と、ほとんど同数という結果です。新人の大量当選が多く、確実に減ると言われた自民党候補が、ほぼ、全員、国会へ帰ってきました。これは、自民党大勝利、さらに、公明党は、これ以上は限界と、思われたにも関わらず、議員数を解散前よりも伸ばしています。創価学会の組織力の強さを、見せつけました。おそらく、この、創価学会の組織票は、極端な低投票率の中で、普段以上に、全国的に自民党候補の押上に大きく直結しているだろうと、推測されます。
その意味では、現政権が、解散を打った狙いが、ずばっと、的中しています。
政権与党の自公は、最大の目的は、政権維持です。過半数を取ることが、最大目的だったのです。それには、解散を打つタイミングには、いろんな政治日程との関わりがありますが、そのほかに、季節が有権者の投票行動を大きく左右します。とくに、今年は寒く、選挙期間中から雪が降り、投票日には、新幹線が動けないほどの大雪が降った地方もたくさんありました。
人間心理として、こういう真冬の寒い季節には、変化や転換を求める気持ちにはならないものなのです。保守的な気持ちになり、現状維持の気持ちが一番に働くものなのです。このままでいい、じっとしていつか来る我が世の春が来るまで耐えて待つ、石の上にも三年とか、とにかく、「現状維持」という、萎縮した気持ちが、こういう寒い時期の人間心理なのです。したがって、こういう真冬の選挙を選んだ政権与党は、まさに、選挙上手だったと、言えます。
予想通り、投票率は下がりました。実際に、雪で投票所まで、行けない人もいたと思います。自公圧勝の事前情報も、現状維持を望む人には、だったら、行かなくてもいい、という気持ちになったのだろうと、予想されます。
逆に、共産党のような政党には、投票率が下がりそうだ、だったら組織票を固めれば、議席を伸ばせるぞ、という心理が働き、寒波ものともせず、組織運動を加速させたと、思われます。
これが、4月、5月の春先で、青葉も新芽が出て、何もかもが燃え上がり、新たな息吹に満ちた季節の選挙ならば、何も言わなくても、「変革」を求める心理が漲り、選挙にも、何か新しい動きを期待するのだろうと、思います。
大きな変化がなかったのは、安倍総理の選挙戦略、解散のタイミングの見極めが、ドンピシャであたった、結果と言えます。安倍総理が、選挙や解散を決断したのですが、最高権力者ではあっても、選挙という専門分野では、総理といえども、専門家ではない。ある意味、素人です。
総理の影にいる、誰かは知りませんが、相当に優秀な「選挙参謀」が、いたのだろうと、思われます。やはり、総理のブレーンの凄さ、人脈の強さを感じます。
今回の選挙の結果、政権交代はなく、かえって政権基盤は、より強くなりました。その一方で、「みんなの党」が解散、消滅しました。「生活の党」も、撃沈です。また、一部で大きな期待と話題を呼んだ「次世代の党」が、激減し、ほぼ、壊滅状態です。
石原代表が、立候補していながら引退を表明するなど、あまりにも、ちぐはぐで、党としての闘う体制が出来上がっていなかった。せっかく、燃え始めた保守の流れを、「次世代の党」自身が、ぶち壊してしまった。次世代の党に期待した、草莽の心を、議席に結びつけることが、できなかった無為無策の選挙戦術、広報戦略、資金調達不足、石原はじめ党幹部の熱意の欠落などなど、個々人の候補、支援者の精いっぱいの頑張りはあっても、国政選挙は組織選挙であるからには、政党の選挙戦略や選挙体制が強くなければ、こういう結果になってしまう。選挙前からの、いろんな選挙予測でも、「次世代の党」は、一致して大敗が予測されていたし、そのとおりの結果になった。
いったい、最初から、最大で二人しか当選は無理、と多くのマスコミが予測した理由は、なんだったのか?現有議席、19人のうち、17人が敗北した理由は、なんだったのか?あまりにも、不可解である。いったい、次世代の党、に、何が起きていたのか?
ネットの情報を見れば、石原慎太郎は、田母神候補の、選挙区に応援で一度も入らなかったというではないか?また、石原慎太郎の息子の自民党・石原伸晃は、田母神候補が、公明党をぶっ潰すと言っているのに、公明党の大田候補の応援に、来たというではないか。
解散した「みんなの党」をのぞいて、すべての政党が現状維持、あるいは、党勢を伸ばしているなかで、唯一、大敗したのは、「次世代の党」ただひとつである。
これから、なしとげなくてはならない、日本の自主憲法制定に、野党の中からの保守勢力の台頭は不可欠である。ひとつ、細かいことを、言えば、「次世代の党」という、党名もどんなものか?言いにくいし、書きにくい。さらに、いまを、生きている「現世代」や「今世代」の人にとって、「次世代」を強調されても、ピンと来ないのではないか?それこそ、故赤尾敏の「大日本愛国党」ではないが、より、インパクトのある親しみやすい党名を考えてもいいのではないか。
今回は敗戦したのだが、頑張られた候補には、支援者は、だれもが敬意を表していると、思う。選挙に勝敗はつきものだが、負けた理由はなんだったのかを、本気で分析して、今後の様々な地方選、参議院選挙へ向けて、「当選者を出すため」の次の戦略を効果的に組み立ててほしい。
次世代の党の幹部には、誰が幹部なのか、よくわからないが、今回の敗戦を大いに反省をしてもらいたい。それでも、全国で140万人が、比例区に、書きにくいのに「次世代」と、書いてくれたことを、感謝の気持ちで受けとめて、大敗というどん底からの再生を死に物狂いでやってほしい。
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