ざっきばやしはなあるき  

雑記林花或木 Since 2005-01-01 
美術とか映画とかなんとなくぶろぐ 

タイ ~仏の国の輝き~展

2017-07-09 22:56:55 | 美術[た]
「タイ~仏の国の輝き~展」@東京国立博物館

 日タイ修好130周年ということで始まったタイの仏教美術展。タイには1度行ったことがある。バンコックのどこだったか忘れたけど金ぴか仏像を見た記憶がある。体中にまとわりつく暑さがサウナっぽいタイだった。今回も金ぴか仏像がいくつか来ている。

 歴史に沿って仏教に関するいろいろなものが150点展示されているが、いちばん興味をそそるのは仏像。菩薩もいるけど仏陀が多い。初っ端に登場するのは《ナーガ上の仏陀坐像》。これは姿勢の良いイケメン仏陀。ナーガというのは龍王ムチリンダというエロそうな名前のヘビで、台座からとぐろを巻いて光背の代わりに仏陀の後ろにそびえている。あちらのイケメン仏は日本のイケメンと言われる仏と違ってホントにシュっとした顔だちをしている。

 《仏陀遊行像》は地上へ降りるために足を踏み出した瞬間を捉えたもの。ウォーキングデッドではなくウォーキングブッダである。その姿はスラっとしてヒョロっとして優美な雰囲気を醸し出しているが顔は割と無表情。歩き出しているのに目を瞑っているのはつまづきやすいのでアブナイ。買い物かごは提げてないけど、なんとなくお買い物に来て「あぁらお元気!」なんて挨拶している近所のおばさんに似ている。


 《ラーマ2世王作の大扉》 は大仏殿ワット・スタットの巨大な扉、高さ5.6mもある細かい彫刻が施された扉で、右側だけが来日中。左側は火災か何かの折りに焼けてしまったらしい。この扉だけ写真撮影が可能になっている。

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高円宮家所蔵 根付コレクション

2017-06-18 21:03:57 | 美術[た]
「高円宮家所蔵 根付コレクション」@國學院大學博物館


 國學院大學博物館は初めて行った。入場無料で考古展示室、神道展示室、校史展示室、企画展示室を観覧することができる。今回の企画展は「國學院大學創立135周年・國學院大學院友会発足130周年記念 特別展 高円宮家所蔵 根付コレクション展」。芸の細かい根付や印籠などが展示されている。今回の展示は昔の根付より現代根付のほうが多い。



 同時開催中の「國學院大學創立135周年記念展示 有栖川宮家旧蔵資料と國學院大學の歴史展」では國學院の歩みにまつわるものや有栖川宮家ゆらいの品々が展示されている。考古展示室には縄文土器から埴輪、仏像までいろいろ展示されているが愛染明王坐像の造形がちゃんとしていて割とかっこよかった。



 備え付けのアンケートに答えると、30ページくらいの両展示の図録がもらえる。入場無料の上、図録までもらえちゃう太っ腹な國學院。
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ダリ展

2016-09-20 20:08:11 | 美術[た]
「ダリ展」@国立新美術館

 上野の森美術館で生誕100年記念ダリ回顧展が開催されてからもう10年経ってしまった。時の流れが早すぎて秒針が見えない。その10年間に諸橋近代美術館に行ったり、フィゲラスに行ったり、高崎市美術館の「ダリ展」に行ったり、だまし絵展やらシュルレアリスム展などいろいろな展覧会にもダリは登場している。「私はダリでしょう?」なんていうダサいCMをテレビでやっていたのが10年も前だなんて思えない。

 展覧会は7月1日から9月4日まで京都市美術館で開催されていて、9月14日から12月12日まで国立新美術館で開催される。今回は「初期作品」、「モダニズムの探求」、「シュルレアリスム時代」、「ミューズとしてのガラ」、「アメリカへの亡命」、「ダリ的世界の拡張」、「原子力時代の芸術」、「ポルト・リガトへの帰還、もしくは晩年の作品」というチャプターに分けられている。まぁほぼ年代順なので見やすいといえば見やすい。

 主要な作品は、フィゲラスの「ガラ=サルバドール・ダリ財団」、マドリードの「国立ソフィア王妃芸術センター」、フロリダの「サルバドール・ダリ美術館」から来ている。その他にも長崎県美術館、福岡市美術館、横浜美術館、豊田市美術館、三重県立美術館、ポーラ美術館、諸橋近代美術館など、国内から選りすぐりの名品が出品されている。

 諸橋近代美術館の『テトゥアンの大合戦』は巨大な大作、福岡市美術館の『ポルト・リガトの聖母』も割とデカい名作。長崎県美術館の『海の皮膚を引き上げるヘラクレスがクピドをめざめさせようとするヴィーナスにもう少し待って欲しいと頼む』はサイズは大きくはないが印象は大きい。『自分が女の子だと思っていた6歳の頃、水の陰で眠っている犬を見ようとして海の皮をきわめて慎重に持ち上げる私』も同じようなイメージの絵だが、海面がペラペラの布地のようにめくられている情景は、高校生だった頃の私に鮮烈な印象を植えつけた。それから今日までずっと頭の調子がおかしい。ときたま脳みそがめくられるらしい。


 会場の終盤には、ダリ劇場美術館にある『メイ・ウエストの部屋』が再現されていて、そこで写真を撮ることができる。劇場美術館では階段を上って上の方から撮影できるのだが、今回は平面なので天井も映ってしまう。でも後ろを向けば斜めにミラーが貼られていて自撮りも可能という画期的な21世紀の新システムになっている。


 今回の図録はペラペラした紙カバーなどくっついてないヤツで、厚さ3mmのスーパーハードな表紙に包まれた重厚感たっぷりなヤツで、近年珍しく存在感のあるヤツだ。なんかうれしい。表紙にはグリーン感たっぷりな『謎めいた要素のある風景』が印刷されていて怪しげな風景の中にチビダリとフェルメールがいる。裏表紙にはダリの大首写真が印刷されていて、目に刺さりそうな胡散臭いヒゲと何を企んでいるのかわからないギョロ目のダリがこっちを見ている。



『ポルト・リガトの聖母』

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東西の絶景

2016-05-15 21:11:14 | 美術[た]
「開館30周年記念展 東西の絶景」@静岡県立美術館

 静岡県立美術館が開館30周年ということで、コレクション展を開催中。狩野なんちゃら、円山なんちゃら、下村なんちゃら、横山なんちゃら、伊藤なんちゃら、徳川なんちゃら、佐伯なんちゃら、クロードなんちゃら、ギュスターヴなんちゃら、パブロなんちゃら、などなど、いろんな名品が勢ぞろいしている。


 そんな中、昨日上野で見た伊藤若冲のプライスコレクション《鳥獣花木図屏風》と煮たり酔ったりというか、活用形別バージョンとでもいえる升目描きの《樹花鳥獣図屏風》もさりげなく展示されていた。但し前期だけなので5月15日まで。《鳥獣花木図屏風》の縦167cm×横376cmに比べて《樹花鳥獣図屏風》は縦133cm×横357cmと、ちょっとだけ小ぶりな屏風になっている。出演アニマルズはほぼ同じようなメンバーで構成されていて、正体不明のUMAさんもちらほら。その風貌はアニメチックで目はパッチリ、「ボクかわいいの」「あたしきゅーとよ」って言ってそうなピューロランドに潜んでいそうなやつらばっかり。

 
 升目の塗り方はドット絵のようなぎくしゃくした表現と、升目内を塗り分けたスムーズな表現がごちゃ混ぜになっている。普通ならどちらかに統一しそうなものだけれど。若冲先生の升目描きの定義はいったいどういうものだったのだろう。Jakuchu工房の絵師たちが手分けして塗ったらしいが、その中にめんどくさがり屋がいただけなのかもしれない。でも若冲先生は「なめらかにしなさい」とも「がたがたにしなさい」とも言わずこれでよしとしたのだ。それからこんなにめんどくさい屏風を2種類作成したのはなぜだろう。いい値で売れて味を占めたのか、注文が来ちゃって断れなかったのか。実はもっといくつも制作したけれど現存しないだけなのか。いずれにしても、動植綵絵の精密な画風とはまったく異なる奇妙奇天烈な代物を江戸時代に手がけた若冲はやっぱり凄いヒマ人、じゃなくて、凄いチャレンジャーなのだ。

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大英博物館展

2015-05-24 21:19:04 | 美術[た]
「100のモノが語る世界の歴史 大英博物館展」@東京都美術館

 大英博物館所蔵品700万点の中から、世界各地の歴史を物語る名品を100点紹介する展覧会。そういうテーマなので、時も場所もバラバラで、棺桶から充電器まで品種もさまざま。棺桶にしても、紀元前のエジプトのモノと、数年前のガーナのモノが並んでいる。ガーナの棺桶は、まるで三沢厚彦の木彫りのような大きなライオン型が目に新鮮。ハンターだった人の棺桶だそうで、ちょっとかっちょぇぇぞ。

 有名なロゼッタストーンも展示されている。といってもレプリカだけど。エジプトのヒエログリフ解読の手がかりになったという重要な石だ。初代ローマ皇帝の石像やガンダーラの石仏があるかと思えば、柿右衛門のゾウの置物があったり、アメリカ大統領の選挙のための宣伝用バッチやらアラブのクレジットカードなど、もうなんでもありで目が回るかも。キラキラ光るマニアックな「ヘブライ語で書かれたアストロラーベ」がお気に入り。

 「あなたが選ぶ101点目を募集!」なんていう企画も公式サイトでやっている。未来につながる歴史の1ページを飾る101点目はなにか、ということで、パソコン、スマホ、3Dプリンタ、人工臓器、インスタントラーメンなどいろんな候補の中から投票するシステム。現時点でのトップはスマホのようだ。
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デ・キリコ展

2014-11-03 21:01:39 | 美術[た]
「ジョルジョ・デ・キリコ展 変遷と回帰」@パナソニック汐留ミュージアム

 デ・キリコは好きな画家のひとり。浜松市美術館でもやったようだが浜松は遠すぎた。パリ市立近代美術館の所蔵作品が半数以上を占める展覧会。自画像や肖像画、風景画なども展示されている中、やはりデ・キリコといえば、あの妙な雰囲気を醸し出す無機質な作品が気にかかる。それらは第4章「再生 - 新形而上絵画」のコーナーから登場する。その画面上には仮面、定規、箱、煙突、建物、彫像、影などから成る、何か起こりそうな予感のする風景や不思議なマネキン的物体人物が形作られている。

 《不安を与えるミューズたち》 は絵画の他に、ブロンズ像も展示されていて、美術館の演出としてウニョウニョと蠢く影の映像が映し出されている。それをずっと見ているとマネキン的物体が呼吸をしているような不思議な気分を体験することになる。
 
 この美術館、ひさしぶりに行ったら、荷物を預けるロッカーが「i-LOCKER」というものに変わっていた。首から提げるバーコードのカードを渡され、読み取り部にかざすとパタッとロッカーの扉が開く。100円玉を用意しておく必要はない。他の美術館では見たことが無く、今回初めて使った。パナソニックの製品かどうかは知らないが、これからあちこちに普及していくのかな。
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Discovery Museum

2014-03-01 22:04:14 | 美術[た]
ディスカバリーミュージアム

 羽田空港第2旅客ターミナル3階にある入場無料の美術館。日本初の空港内にある美術館として2010年開館。細川家の至宝を管理する永青文庫の所蔵品を展示したり、その他の企画展も開催。飛行機に乗らないのに羽田空港へ行くのは敷居が高いので、ずっと行きそびていた。搭乗時間待ちに訪れるには最適。広くは無いので見るのに時間はかからない。作品の前にズラリとソファが並んでいるので、照明を落とした落ち着いた館内でゆっくり座って過ごすこともできる。撮影もOK。今は仙のコレクション展「禅・仙 ZEN・せんがい」を開催中。変な水牛や変な寒山拾得を見てると、こっちがフニャっとなる。

 美術館と同じフロアにあるオープンテラスのレストランエリア「UPPER DECK TOKYO」でランチ。よく見るとお客さんが座っている椅子がことごとく違う事に気づく。世界中のオシャレな椅子がよりどりみどり。かわいい椅子や偉そうな椅子や高そうな椅子が散りばめられているので、好きな椅子を選んでごきげんランチ。空いている時なら片っ端から座り倒すのも楽しそうだ。
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大浮世絵展

2014-01-05 21:28:28 | 美術[た]
「開館20周年記念特別展 大浮世絵展 浮世絵の傑作、大集合」@江戸東京博物館

 国際浮世絵学会創立50周年記念の「大浮世絵展」、なんか田舎のインチキサーカスみたいな大袈裟な名称だが、大袈裟なだけあって出品リストには439まで連番が振られている。しかしそんなにまとめて展示できないようで、あれこれと細かく8期に分けて展示替えがあるので、全部漏らさず見るのは針の穴からラクダの尻を眺めるくらい面倒くさいことだろう。

 「浮世絵前夜」 「浮世絵のあけぼの」 「錦絵の誕生」 「浮世絵の黄金期」 「浮世絵のさらなる展開」 「新たなるステージへ」と題して、年代順に展示してあり、浮世絵の歴史がわかるようになっている。まだ浮世絵ではない彦根屏風から始まって川瀬巴水まで、色とりどりの作品が、大英博物館、シカゴ、ベルリンなど内外の美術館から集められている。歌麿、北斎、広重、写楽、春信などの有名な浮世絵も目白押し、有名どころだけでなく初めて見るような作品もたくさんある。

 むかし切手が高値で大人気だった歌川広重《月に雁》は1/21~2/16の展示、菱川師宣《見返り美人》は1/28~2/16の展示となっていて今回は見られなかった。版画は世界各地に何枚もあるので、北斎《凱風快晴》や広重《蒲原》などは各地から3枚も出品されていて、会期を分けて展示される。

 大浮世絵展は3/2まで。その後、3/11~5/6は名古屋市立博物館、5/16~7/13は山口県立美術館に巡回する。









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ダリ展

2013-10-09 20:23:18 | 美術[た]
「サルバドール・ダリ展 多彩な版画作品を中心に」@高崎市美術館

 高崎、遠いなぁ、とは思ったが、都内に用事があったついでに、新宿から高崎までJRで片道2時間1890円ってことは水戸よりちょっと近い。高崎市美術館に行くのは2回目、駅から徒歩3分という便利な場所にある、3階建ての小柄な美術館。

 版画なので大作は無いが、あまり見たことのない作品もちらほら。日本の民話シリーズなどという変わった作品もあり、エッチング10点のうち3点が展示されている。ダリが描いた「花咲じじい」なんて珍品もカレキニハナヲサカセマショー!

 ダリ特有の緻密な油彩画と違って、版画はほとんどラフな線で描かれている。どっちかというと緻密な方が好きなのだが。版画の多くは60歳くらいから晩年に掛けて作成されたようで、柔らかい時計や松葉杖、足の長い生き物、タマゴ状の物体、手をつないだ親子など、ダリ自身へのオマージュのようなアイテムが出てくると、へへへと薄ら笑いしてしまう。

 小柄な立体作品も数点展示されている。《ニュートンに捧ぐ》 《引き出しを持つミロのヴィーナス》などの30cmくらいの小品。家に飾れる大きさなだけに欲しくなりがち。


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東洋館リニューアルオープン

2013-01-13 20:24:12 | 美術[た]
東京国立博物館 東洋館リニューアルオープン

 永く休館して改修工事を行なっていた東博の東洋館がオープンしたので行ってみた。階段をグルグル回りながら5階まで続いて行く終わりなき旅のようなダラダラ感は元のままで、展示室中央にガラス張りのエレベーターができたり、3階から外を眺めるテラスができたり、眼には見えないが耐震工事もされている。ガネーシャやら観音菩薩やらセクメト女神やらミイラやら、東洋の逸品が居並ぶ中、最後の部屋に着いたころにはやっぱり疲れた。

 本館には新春の特別公開展示品がいろいろ。尾形光琳の風神雷神図の写真を撮れるのも常設館ならでは。若冲の屏風絵もあった。巳年にちなんだヘビ関連物件も展示している。中央にぬめっとしたでっかい蛇が乗っている陶器の絵皿。この皿に山盛りした料理が減って行った後に現れる光景は想像したくない。かっこいい毘沙門天の二の腕をよく見ると人面瘡のような顔が付いていた。こんなの初めて見たので最初は光のいたずらかと思った。

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TRANS ARTS TOKYO

2012-10-30 21:15:01 | 美術[た]
「TRANS ARTS TOKYO」@旧東京電機大11号館


 神田コミュニティアートセンタープロジェクト。地上17階、地下2階の全フロアにて開催されているアート展。近頃は、取り壊されることが決まっている建造物でやる芸術展がよくある。ここは大学だった校舎の高層ビルなのでボリュームがある。エレベーターもあるが、下の方から順番に階段を上って行けばけっこうな運動になる。各フロアごとに参加しているプロジェクトやジャンルが異なるので、いろいろな雰囲気を楽しめる。

 最上階にはアートなカフェレストランがあるらしいが、平日はやってない。月曜日はやってないフロアもある。「11月4日オープン」のような張り紙がしてある部屋もある。公開制作中の部屋もある。これから会期後半に向かってより面白くなるかもしれない。チケットは500円で会期中何度でも入場できる。

 14階の「天才ミュージアム」ではアーティストの佐藤翔さんに「ヒマだから案内しますよ」ということでフロア丸ごと解説してもらった。佐藤翔さんの作品は血の滲むような、文字通り血が滲んだ作品である。そんなわけで「天才ミュージアム」の作品のほとんどは、解説してもらわないとどこまでが作品でどこまでが備品なのかワケワカメな作品ばかりだった。
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日比谷図書文化館/東洋文庫/郷さくら美術館

2012-09-13 21:11:38 | 美術[た]
 アートテラーとに~さん主催の「ニューオープンの美術館ツアー」に参加した。今回は開館して1年経ってない真新しい所を3館巡るという企画。真新しいだけあって3館とも初見だったので新鮮気分100%。


千代田区立日比谷図書文化館

 名前のとおり、ここは図書館である。図書館だから誰でも無料で涼しい読書タイムを過ごせる、節電の夏にうってつけの隠れスポットである。平日はどうだか知らないが、休日は今後も空いていそうな予感。各フロアにいろいろなテーマでちょこっと展示ゾーン、そして1階には常設展示室があり「千代田区にみる都市の成立と展開」と題した調査資料や映像解説などが展示されている。日比谷野音の横にあり正三角形な外観が特徴。そして図書館には似つかわしくないお洒落なレストランとミュージアムショップもある。


東洋文庫

 駒込、六義園の近所にある東洋文庫、東洋文庫自体は1924年からあり、研究者向けの図書館だったようだが、2011年10月に東洋文庫ミュージアムとして新オープン。裏庭の先にはゆったりしたオリエントカフェもある。今は「ア!教科書で見たゾ」という展覧会を開催中。ターヘル・アナトミアだの解体新書だの東方見聞録だのアヘン戦争の絵だのと、昔、教科書で見たヤツの現物がどっさり。東方見聞録なんか世界中から50種以上揃えてある。御成敗式目、魏志倭人伝、土佐日記、万葉集、国富論、ビゴーの風刺画・・・ なんだよ本物って!という不思議な気分に浸れる。そして最もそそられるのは、天井までぎっしりと並べられた書棚「モリソン書庫」。G.E.モリソンが収集した24000冊の書籍が天高く壁を作っている姿は圧巻。魔法使いが出てきそうな雰囲気。ここは写真撮影もOKの太っ腹な美術館である。

モリソン書庫



郷さくら美術館 東京

 2006年10月に福島県郡山市にできていた日本画専門の郷さくら美術館、その分館が2012年3月中目黒にオープン。3階建ての小柄な美術館の各フロアに、別々のテーマで現代作家の日本画を展示している。建物の外観は黒い桜模様で覆われていて個性的。目黒川の傍なので、桜の季節に行けばきっと賑わっているのではないかと想像してみる。

郷さくら美術館 東京 の外観
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東京都美術館ものがたり

2012-09-04 11:09:00 | 美術[た]
「東京都美術館ものがたり」展@東京都美術館

 マウリッツハイスの待ち行列を横目に地下ギャラリーに向かうと、無料の展覧会を開催中。無料だから規模は知れたものだが、佐伯祐三、東郷青児、舟越桂などの作品を展示、赤瀬川原平の《患者の予言》なんて妖しげな立体も、みんな食い入るように見ている。

 東京都美術館の歴史も紹介されていて、最も興味深いのは、改修前後のミニチュアモデル。並べて置いてある模型を見るとどこがどういうふうに変更されたのかがよくわかる。企画展示室がでっかくなってたり、エントランス広場が微妙に変わっていたり、公募展示室屋上にソーラーパネルが生えていたり。奏楽堂方向に新しく出入り口ができたのかと思っていたが、出入り口は最初からあったけれど塀で囲まれていて出られなかっただけだったようだ。
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大英博物館古代エジプト展

2012-08-10 12:57:27 | 美術[た]
「大英博物館古代エジプト展 -『死者の書』で読みとく来世への旅」@森アーツセンターギャラリー

 せっかくエジプト上野方面に来たのだからエジプト六本木方面にも足をのばしてみた。ツッタン仮面の名前に押されてやや埋もれ気味な気もするが、夏休みということもあってけっこう賑やか。入場料は1500円。彫像や棺などは普通にゴロゴロあるし、2つの棺にはミイラも入っている。ミイラと言ってもぐるぐる巻きで中身は見えないので、そっち系は弱いという人でも大丈夫。

 そして目玉商品は世界最長37mの《死者の書》グリーンフィールドパピルスである。生々流転みたいなものか? 1910年、大英博物館での保存上の理由から96シートに分割されていて、今回はそれをズラリと壁に並べて展示している。そこにはわけのわからない象形文字がぞろぞろ、そしてマンガチックな絵がぞろぞろ。グリーンフィールドパピルス以外にもさまざまなパピルスがたくさん展示されている。鳥獣戯画みたいなボードゲームに興じるシシカバブーみたいな絵もある。もともとホルスやらアヌビスやら動物系な神々が跳梁跋扈しているのだから大して違和感はないのだが。

 ツタンカーメン展で「ファラオ・ダック」というアヒル口野郎(500円)を買って大英博物館展に行ったら「スフィンクス・ダック」というアヒル口野郎(700円)が売っていた。造形はほぼ一緒で「ファラオ・ダック」よりひとまわり大きくて眉毛がある。大英博物館の公式グッズのようだ。裏に「THE BRITISH MUSEUM」と印字してある。しかし手元には「ファラオ・ダック」がいるので「スフィンクス・ダック」の購入は他の人に譲ろう。
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ツタンカーメン展

2012-08-10 12:55:04 | 美術[た]
「ツタンカーメン展 黄金の秘宝と少年王の真実」@上野の森美術館

 上野に9:35に着いて40分待ちのツタン行列に並んだ。行列はときどき炎天下になるが、ほぼ木立の下なので過ごしやすい。ほぼ予告通り40分程度で入り口に到着。平日とはいえ夏休みなので子供連れが多い。後の時間になると時刻指定の整理券を配っているようなので、並ぶのが嫌な人は時間をずらしてもOKかも。今日は9:30頃にはオープンしていたようだ。8月11日から19日までは9:00からオープンする。

 入場すると最初に2分30秒の映像を見ることになっている。これで約5分くらいのインターバルで客の入場整理ができるという企みらしい。でも見終わって展示室に進むと前のグループがまだたくさんいるので、結局行列ができてしまう。20分くらいの映像なら効果はあるだろうが、入場そうそう20分もポカァンと映像を眺めるのも嫌なのでこれ以上は無理かな。

 いろいろな像やら棺やらの並ぶ中、この展覧会の目玉は、《ツタンカーメンの棺形カノポス容器》、そばにいるスタッフさんも「これがメイン」と叫んでいた。死者の内臓を入れるための小ぶりな容器で、高さ39.5cm、幅11cm、厚さ10cm。こんな小さいのが目玉展示品かと思うが、金や宝石でできていて表面の模様も細かい。中には肝臓が入っていたらしいが、今は空っぽ。この大きさと豪華さは所有欲をくすぐる逸品である。

 それにしても入場料が高い。入場料は平日2700円、休日3000円という鬼価格。それでも美術館は赤字だという話はあるけれど、通常の2倍はちょっとつらい。関西ではそれでも93万人も入ったようなので、たぶん関東でも大台に乗りそう。これに味をしめて展覧会が軒並み値上がりしたらえらいこっちゃ。

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