『名もなき者』

『名もなき者／A COMPLETE UNKNOWN』
監督：ジェームズ・マンゴールド
出演：ティモシー・シャラメ／エドワード・ノートン／エル・ファニング／モニカ・バルバロ／スクート・マクネイリー
　
　若き日のボブ・ディランを描いた作品。まだ誰にも知られてなかった若い男が、田舎からフラリとやってきたニューヨークで、秘めたる能力を発揮してあれよあれよと言う間に人気者にのし上がって行くアメリカンドリーム。

　ミュージシャンの出世物語を見ると大抵、なかなか目が出ず落ち込んだり、悪いやつに金持ち逃げされたり、ふんだりけったりな人生が描かれる。ボブ・ディランにはそういう事はあったのか無かったのか。そりゃ音楽的な葛藤はあっただろうが、ミュージシャンだからそれはしかたない。

　映画の中でボブ・ディランが「ビートルズ？あいつらはクソだ」なんて言ってるシーンがある。私はそのクソ・ビートルズの方をたくさん聞いていたので、ボブ・ディランというと「風に吹かれて」だけヘタに歌えるという程度。でも映画の中でたっぷり流れるフォークソングは耳に心地よい。私はボブ・ディランを聴くかわりに泉谷しげるを聞いていたもんだから。