質問した読売新聞特別編集委員の橋本五郎氏から、「進次郎さんだけが早期解散を言っているが、国民は何を基準に選んだらいいのか。せめて与野党論戦があって新しい総理はどういう態度で国政を運営しているか、それが分からずに(選挙で)選べというのはむちゃではないのか」と問われた進次郎氏は、「何月何日に、とは言わないですよね」とはぐらかすように回答。「そりゃ言いませんよ」と応じる橋本氏に、進次郎氏は「できるだけ早期に(解散)と言っているが、まるで総裁選が27日に終わってその日に解散するような印象で、橋本さんや一部の方が言っているかもしれないが、できないんですよ。なぜなら(臨時国会で)首班指名があるから」と、首相が国会で指名されなければ解散できないことに言及。

超ベテラン政治記者の橋本氏は、さすがに「そんなこと、分かってますよ」とむっとした声で応じた。

進次郎氏はその上で「国民に判断材料がない、というのはまったく当たらない」と反論。

「史上最長の総裁選ですよ。選ばれたときに、それまでの主張とがらっと変えて選挙を打つ人がいますか? 我々は全員、総理大臣になって何をするかを語っている。総裁になったら、で語っている方はいない」と反論。「野党には、早期解散を『何、逃げてんだ』というような人もいますけど、政権交代したいなら早く解散を求めるのは当たり前じゃないですか」と持論を続けた。

橋本氏が「総裁選ではみんな、いいことしか言わない。いいことしか言わないのを比較せよ、というのはどうなのか」と指摘すると「9人の中で、選ばれた方がいつ解散するか私以外の方は分からないが、私なら改革プランは示している。政治とカネの問題があって国民のみなさんに信を問うことを礎として政権運営しないと、どんな政策も前に進まない。私はご理解いただけるのではないかと思っている」と訴えた。

一方、早期解散の是非について問われた石破氏は「国民の判断というのは、本当に厳粛に受け止めないといけない。国民のみなさまが判断していただける材料を提供するのは、政府の責任であり新しい総理の責任だ」と主張。「本会議は基本、一方通行で(与野党間の)やりとりはない。本当のやりとりは、予算委員会と思う。1日ずつやるからはともかく、国民のみなさまがご判断できる材料を提供するのは、政府与党の責任だと思う」と述べ、衆参の予算委員会での与野党論戦がすまないうちは、解散は適当ではないとの認識をにじませた。

石破氏はまた「(首相に)なってもいない者がこのことに言及すべきではないが」とした上で「解散すれば衆院議員がいなくなるということだ。それがどういうことか、よく認識した方がいい」と言及。「世界情勢がどうなるかわからない時に、すぐに解散します、という言い方は私はしません。解散していい状況が整っているかということを判断する、ということであり、私は国民に対する、おそれの念は常に持っていたい」と述べ、進次郎氏の早期解散論とは一線を画した。総裁選は2人を大きな軸に展開するとみられる中、世論調査で他候補をリードする2人に「首相就任後」の戦略をめぐり、違いが表面化した。

討論会には高市早苗経済安全保障担当相(63)、小林鷹之前経済安保相(49)、林芳正官房長官(63)、上川陽子外相(71)、加藤勝信元官房長官(68)、河野太郎デジタル相(61)、茂木敏充幹事長(68)も出席した。