すでにESSテクノロジーや旭化成のDAC ICが、性能(S/N、歪み率等)で高性能を極めており、そこで競うのではなく、音楽性を主題と捉えたDAC ICを日本の電気部品メーカ ROHMが開発した。そのROHMのDAC ICチップ BD34301EKVを搭載したSMSLのDAC D300が販売されている。
現状はESSテクノロジーのICチップ(ES9038PRO)を搭載したSMSL SU-9を利用しているが、音楽性重視ということでどんな音なのか、SMSL DAC D300で聴きたくなった。SMSLのSU-9とD300の音質の比較、評価も含めて報告します。
・ROHMのICチップ:BD34301EKV関連
ROHMのIC開発コンセプト:「クラッシック音楽の鑑賞で重要な3要素(空間の響き、スケール感、静寂性)を表現することに重きを置いて開発」
開発理念 "MUS-IC"
製品紹介資料
BD34301EKV データシート
・Audio Science Review
SMSL D300 Review
・D300はエージングが必要だ。
最初は、1音1音に付随音が聞こえ、覇気のない音が出力される。だが、4時間聴くとマトモになってきた。さらに、二日目から、低域も十分に出てきた。
・D300の音質評価
上記のように、開発コンセプトが明確なDAC IC:BD34301EKVを搭載したD300が、SMSLのSU-9と比較して、どのように違うのかを探ってみた。
・エージング1週間後
SU-9とD300を比較しての評価だが、全然音質が違う。
SU-9が音楽データをそのまま再生するキレキレのDACだとすると、D300は音楽を聴きやすい優しい音で再生する。
抑揚の激しい曲では、D300はレンジが抑えられ聴きやすくなる。
ボーカルは、SU-9が単純な一つの音の音声とすると、D300は複数の音の絡み合った密度の高い音声として聞こえる。
・エージングその後
「優しい音」との傾向は消えた。むしろ硬い音になった。
低域は、SU-9は豊かな無歪み(単音)のベース音が聞こえるが、D300は硬い締まった複数音からなるベース音だ。
ボーカルは、変わらず複数の音の密度の高い音だ。
「複数音から構成された密度の高い音」が、D300の最大の特徴だ。
・電気的特性測定値は、SU-9が少し上回る。
Audio Science Revieで両方の電気的特性を比較できるが、周波数特性は両方ともフラットで、S/N比、歪み率、混変調歪、ジッター抑圧比等の数値は、SU-9がわずかに上回る。しかし、充分にに低いレベルであり、両方ともに不純物(高調波、混変調波、ジッター歪)による音の発生は無いだろう。
・音楽性は次のステップ
ROHMが電気的特性を満たした上で、音楽性の高いDAC ICを出してきた。ESSテクノロジーや旭化成はこれ以上の電気的特性の向上は無意味だと判っているので、音楽性に独自の特色を持たせたDAC ICの開発を進めるだろう。特に、ESSテクノロジーは、ES9038PROの上位レベルのICを長らく出していないので期待したい。
・おすすめの設定:出力レベルを可変に
D300はデフォルトで、出力レベルが"固定"となっている。当方の場合、DAC出力をスイッチを介してパワーアンプに直接入力しているので、出力レベルを"可変"に設定した。
操作は、MENU押しボタンでメニュー表示させ、丸ノブでメニューを選択し、MENU押しボタンで選択を決定する仕様となっている。
メニューボタンを押して、PRE MODE/VOL VARIABLE を選択する。
丸ノブを回すと、出力レベルが変更できる。
・板金の筐体
これまでSMSLから購入した製品の筐体は、アルミのブロック筐体だったが、D300は板金で作られている。従い、上面、下面を叩くと振動音が聞こえる。
音の再生には向いていない。事実、上に重いものを乗せると、低音域の膨らみが減少する。
Amazonで幅5cmX長さ1mの鉛板を購入し、上面、下面に貼り付けた。
これでも、上面を叩くと振動音がする。もう1列追加するかな。
DAC関連
・ パソコンで、ハイレゾ音源ファイルと同様に、CDの音楽ファイルを高音質で再生する。
・ ROHMのMUS-IC:BD34301EKVを搭載した、SMSL社のD300を購入しました。
・ ES9038PROを使用したDAC端末 SMSL SU-9を、購入しました。
・ ESSテクノロジーのES9038Q2Mを実装した、SMSLのSU-8 DACを購入しました。