結城昌治『真夜中の男』

一度だけ関係を持った女の部屋を翌日訪ねると、彼女は何者かに殺されていた。疑われることを怖れた主人公は現場を立ち去る。しかし、部屋に入る姿を見たという密告の電話から逮捕され、様々な状況証拠から7年の実刑を受ける。刑期を終えて出所してから、彼女と関わりのあった人達を尋ね、どんな人物だったのか、何故殺されたのかを追っていく。

彼女のことを何も知らないまま、犯人にされた主人公が、彼女の生き様をたどっていくのは、自分探しの旅のよう。次々といろんな人が登場して、訳がわからなくなってくるけど、徐々に彼女のほんとの姿が明らかになっていくのは面白い。

真犯人に迫るところが淡々としてたので、呆気なかった。もっとドラマチックなほうが盛り上がったのに。