Kakuma News Reflector 日本語版

カクマ難民キャンプの難民によるフリープレス
翻訳:難民自立支援ネットワークREN
著作権:REN(無断引用転載禁)

2019年7月号 強盗がカクマ1 の平穏を破る

2020年06月17日 | コミュニティーとカルチャー
KANERE ニュースデスク

少なくとも3名の難民が夜間、強盗に銃で襲われて負傷し、所持品を奪われた。

2019年7月7日午前0時半頃、銃で武装した身元不明の男達がカクマ1(ゾーン1、ブロック4) の家屋に押し入った。犯人らは侵入時に家の外柵を破壊し、住民に銃を突きつけて衣類の入った鞄やテレビセット、配給食糧や携帯電話などを強奪した。また、被害者宅の騒音を聞いて駆けつけた近隣住民を銃で撃った。

「隣家から女性の叫び声が聞こえたため駆けつけたところ、門の付近で右足を撃たれて倒れました」と隣人のサイモンさんがKANEREのジャーナリストに語った。

サイモンさんは恐ろしい事件だったと話す。「暗闇の中で複数の犯人を目撃しました。彼らが女性から所持品を奪おうと力づくで荷物をまとめさせているのを見て戦慄を覚えました」

2日後の7月9日、同じブロック内で同様の事件が発生した。複数の武装した身元不明の男が家屋から物品を強奪し、住人のハリスさんという難民女性を銃撃した。女性の右肩から背中に抜けた銃弾は彼女の息子の頭部すれすれをかすって右耳を負傷させた。事件は早朝3時頃に発生したが、親子は1時間後にキャンプ内のクリニックに搬送されるまで何の応急処置も受けることができなかった。ハリスさんは「出血多量で死ぬのではないかと思いました。こんな報いを受けるような何か悪い行いをしただろうかと自問しました」と語った。

カクマに住み始めて何年もたつソマリア出身のハリスさんは、銃撃によって息子がトラウマを負ったのではないかと懸念している。「息子は回復してきていますが、麻痺したように何日も口をきかないこともあります。私たちは怯えながら生活しています」家族の身の安全を心配しながら、彼女は恐怖の中で生きていくしかない。

7月7日と9日の事件の後、ソマリア人コミュニティの若者を中心とした怒れるカクマ1の住民らは、度重なる夜間の攻撃に対する苦情を提出するべくUNHCR と難民事務局(RAS)までデモ行進を行った。彼らはカクマ・コミュニティセンターから支援団体オフィスまでのデモの最中にUNHCRのコンパウンド付近で地元住民と鉢合た。警察が興奮した群衆を解散させようと現場に到着する前に、衝突が起きて難民と地元住民双方に負傷者が出た。


【写真】キャンプ内のクリニックで、KANEREの取材班に回復途中の銃創を見せるサイモンさん(仮名) 撮影:KANERE

匿名希望の警備員は次のように説明している。「難民の抗議者らは、UNHCRのコンパウンド付近で遭遇した地元住民の中に事件の加害者がいたと考えている。一方、住民は難民が町まで攻撃しにきたと信じている。この衝突は双方の大きな誤解から生じたものと思われる」

難民と地元住民間の緊張が高まる中、キャンプ及びUNHCRのコンパウンドとカクマ・タウンをつなぐ橋の上でタイヤへの放火事件が起きた。集まった群衆を一掃するべく介入した警察が、複数の催涙ガスの弾筒を投げ、難民と地元住民を解散させた。

UNHCRのスタッフを乗せた車列が、武装した警察にエスコートされて空港に向かったという目撃情報がある。しかし、状況は治安部隊によってなんとか鎮圧され、7月12日までにはキャンプ内の各事業が再開された。

「7月10日の衝突は難民と地元住民双方の罪なき人々の投石によって始まったが、その根本的な原因は度重なる夜間強盗だ」とアフメド・モハメドさんはKANEREの取材に答えた。

トゥルカナ郡の役人、ピーター・エリペテ氏は支援団体間会合で、難民と地元住民の紛争は両コミュニティ統合の革新的なモデルとされているカロベイエイ統合社会経済開発プログラム(KISEDP) 実施の妨げになる恐れがあると警告した。「地元コミュニティに対して、直面している問題はしかるべき機関に上げるよう忠告する。難民と地元住民との不和が拡大すれば、これまでの統合の努力が水の泡になるからだ」

7月10日の事件を受けて、UNHCRは7月14日に同事務所内でコミュニティの平和構築決議への合意を目的とした調停会議を開催し、難民および地元住民双方のリーダーと長老を含むメンバーを招集した。

ソーシャルメディアで流布している情報とは裏腹に、一連の混乱における死亡者は確認されず、争いで負傷した者はキャンプ内のクリニックで治療を受けた。カシリ・ミタンボ氏(カクマRAS担当官)によると、調停会議の中で「事件において、難民グループと地元コミュニティは衝突しておらず、ソーシャルメディアで報じられた死亡情報は過大に誇張されたものだった」と述べた。

KANERE はスクル・キャンシゾグルUNHCR カクマ支所長に対して、難民キャンプでの夜間強盗による不安について質問したが、回答は得られなかった。

KANEREは、カクマ難民キャンプ及び地元の住民に対して暴力による対立を避けて今後も平和共存を受け入れるよう呼びかける。しかし、夜間強盗が続く限り、キャンプ当局は加害者を拘束するためのしかるべき手段をとるべきであると考える。

*被害者の氏名は安全上の理由により仮名となっている。

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