下記の記事は日刊ゲンダイヘルスケアデジタル様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。
肝炎や肝臓がんのリハビリに体操を。そんな取り組みを続けているのが久留米大の研究チームです。タオルを使った運動やスクワットなど15分ほどでできる内容で、週1回患者を集めて行っているそうです。
筋肉は第2の肝臓といわれ、肝臓がんの人のうち筋肉がある患者と衰えた患者を比べると、ある患者の方が長く生きることが分かっています。チームはそこに着目し、「肝炎体操」と名づけた体操を取り入れているそうです。
久留米大の取り組みは肝炎や肝臓がんなど病気を発症している人が対象ですが、病気になっていない人もぜひ運動を生活に取り入れてほしい。細切れの運動でもよく、最近発表された台湾での研究によると、毎日15分の運動でも、がんや心筋梗塞などの予防になり、死亡数が14%低下し、平均余命が3年延びることが分かりました。
がんを心配する方は、食事を気にします。欧米の高脂肪食は大腸がんのリスクで、逆に野菜や果物などに含まれる食物繊維やビタミン類はがんの抑制にかかわっていますが、食べれば食べるほどがんが減るわけではありません。つまり、月並みですが、食事はバランスが大事です。
その点でいうと、運動はやればやるほど、がん予防につながります。1日15分より、1時間の方が、週に1回より、毎日の方が効果的です。私も毎朝、仕事の前にジムで汗を流しています。特に男性では、大腸がんや肝臓がん、すい臓がんは、活動量が増えるほど発症リスクが低い。
WHO(世界保健機関)や米国のガイドラインで、1日30分、週5日以上の運動が推奨されるのは、運動が健康維持のカギであることにほかなりません。「健康日本21」が勧める1日30分以上、週2回以上は、国際的にみるとかなり控えめ。もっと積極的に運動してほしいと思います。
運動がなぜがんを予防するのか、詳しいメカニズムは解明されていませんが、スウェーデンの研究結果が興味深い。手術で肥満を改善した糖尿病患者と重度の肥満と糖尿病がある患者に分けて、21年間(中央値)追跡。すると、肥満を改善すると、がんの発症リスクが37%低下。さらに肥満と血糖コントロールの両方を改善すると、がんの発症が60%減少することが分かりました。
運動も、肥満と糖尿病の改善に貢献するので、この研究結果は注目でしょう。ただし、激しい運動は活性酸素を増加させるため、逆効果に。ウオーキングなど適度な運動を毎日続けることを心掛けてください。
中川恵一
東大医学部附属病院放射線科准教授
1960年生まれ。東大医学部医学科卒業。同院緩和ケア診療部長を兼務。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。
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