下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。
「やせたいなら野菜を最初に食べなさい」
これは、ダイエットをしている人の中では常識になっているのではないでしょうか。
しかし、実はやせたいなら食事の最初は野菜より白米を食べたほうがやせます。なぜなら、血糖値が上がると体は「満たされた」と判断して食欲をさげるからです――。『101の科学的根拠と92%の成功率からわかった 満腹食べても太らない体』の著者であり、食欲コントロールダイエット協会代表理事の富永康太氏はいいます。詳しく聞いてみました。
血糖値が食事の満足度を上げる
「やせたいなら野菜を最初に食べなさい」
ダイエットをしていない私でも、無意識に野菜を先に食べていた時期もありました。野菜を先に食べてご飯を食べると、野菜によってご飯(炭水化物)の吸収スピードが遅くなって、血糖値の上昇を抑えるためやせやすくなるという理論です。
血糖値が上がらないと、その分だけ脂肪蓄積を促す「インスリン」の分泌が抑えられます。その結果、やせやすくなるのです。
実際、野菜を先に食べると血糖値の上昇は抑えられます。例えば、長崎女子短期大学の健常人を対象にした研究では、白飯→サラダ→主菜の順番で食べると、食後30分の血糖値は132.3mg/dlであったのに対して、サラダ→主菜→白飯の順で食べると同じ食後30分の血糖値は115.0mg/dlという結果が得られました。
つまり、食べ順を変えるだけで血糖値の上昇を15mg/dl以上も抑えられたのです。もし血糖値が上がらないほどやせやすくなるなら、食べ順を意識して野菜を最初に食べるとよいでしょう。しかし実際は、そうではないのが現状です。
私の経験上、ダイエット中の人は逆にご飯を最初に食べたほうがやせやすくなります。なぜなら、ご飯を先に食べたほうが食後の満足感が高くなって余計な間食をしなくなるからです。
血糖値は、食事に対する満足感に大きく影響します。血糖値が上がると、体は「栄養が満たされた」と判断して食欲を下げます。そのため、ある程度血糖値が上がったほうが食事の満足感が高くなって、余計な間食をせずにトータルのカロリーを下げることができるのです。
実際、私がSNSで「ご飯を先に食べたほうが満足感が高くなって食後の間食が減ります」という発信をすると、実践した人から「最初にご飯を食べると満足感が全然違います」「食べる順番を変えて食べる量が減ってやせました」という声をたくさんいただいています。血糖値が上がらないほどよいという理論は、考え直さなければいけないのです。
糖尿病で血糖値が上がりやすい人は
糖尿病で血糖値が上がりやすい人には、野菜を先に食べるベジファーストは有効だと思います。血糖値が異常値まで上昇するのを抑えて、正常範囲に近づけることができるからです。
例えば、大阪府立大学で2型糖尿病患者に行われた研究では、野菜から先に摂取すると、米飯から先に摂取した場合と比較して、30分後の血糖値は217±40mg/dlから172±31mg/dlと45mg/dlも抑えられたと報告されています。
食後30分の血糖値が200mg/dlを超えているとなると、血管にも負担がかかりますし、インスリンもたくさん分泌されて太りやすくなるため、こうしたケースでは食べ順はダイエットにも効果的だといえます。
しかし先ほど紹介した長崎女子短期大学の研究を思い出してください。あの研究は糖尿病がない健常な女子大生を対象にした研究でしたが、ご飯を先に食べた人の食後30分の血糖値は132.3mg/dlでした。
日本糖尿病学会では、食後2時間の血糖値が140mg/dlを超えると境界型、200mg/dlを超えると糖尿病が疑われるとされています。
長崎女子短期大学の研究では、食後30分の血糖値が最も高い値であり、白米から先に食べた群の食後2時間の血糖値は109.8±15.2mg/dlでした。つまり、白米を先に食べても正常範囲におさまっているということです。
また、時系列(食後30分、60分、120分)で並べてみると、白米を先に食べた群は、132.3±7.5mg/dl、129.8±20.8mg/dl、109.8±15.2mg/dl、野菜を先に食べて白米を最後に食べた群は115.0±7.7mg/dl、116.0±8.0mg/dl、124.8±8.5mg/dlとなっています。血糖値が満足感に影響することを考えて、1食の食事にかかる時間が約20分と考えると、食事が終わった後に満足感が高いのは白米を先に食べるほうだといえます。
もちろん、一番高い値でも正常範囲に入っているのです。逆に野菜を先に食べると、ごちそうさまをしたときに血糖値が上がっていないために満足感が得られずに、食後に余計な間食をしてしまうことになるのです。
このように、野菜を先に食べて血糖値を上げないようにするのは糖尿病の人には有効でしょう。ただ、健常人のダイエットに対して有効かというと、そうともいえないので注意してください。特に食後に満足感が得られずに何かをつまんでしまうのであれば、白米から先に食べるのを試してみることをお勧めします。
血糖値を味方につける
先に話したように、血糖値は食欲に関わりダイエットに大きく影響します。血糖値を味方につけることがやせるために重要になるのです。
ただ近年では、糖質制限がはやったせいか「血糖値のコントロール=できるだけ血糖値を上げない」という説明がされている本や情報がほとんどだと感じています。
確かに、血糖値の異常な上昇を抑えることはダイエットにおいて大切です。ただ血糖値をコントロールすることの本質は、「上げないほどやせる」ではなく、「最適な値で安定させる」ということです。
最適な値で安定させるとは、簡単にいえば「必要以上に上がらないし、必要以上に下がらない」ということです。ダイエットで血糖値というと、上限ばかりが意識されていますが、実は食欲において問題となるのは、血糖値が下がりすぎてしまうことなのです。
「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 改訂第2版」によると、血糖値が60mg/dl以下の場合、低血糖と診断し対応するとされています。
低血糖とはその名の通り、血糖値が下がってしまっている状態です。血糖値は、55mg/dlまで下がると発汗、振戦、動悸、悪心、不安感、熱感、空腹感、頭痛、倦怠感などが出現し、50mg/dlを下回ると、眠気、脱力、めまい、疲労感、集中力低下、霧視、見当識低下、不安感、抑うつ、攻撃的変化、不機嫌、周囲との不調和、30mg/dlを下回ると意識障害が起こると言われています。
血糖値は、体のエネルギーのバロメーターです。血糖値が低いということは、生きるために必要なエネルギー源が足りないということになります。血糖値が上がってしまう高血糖ばかりが問題視されがちですが、体にとって危険なのは高血糖より低血糖なのです。
「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 改訂第2版」には「低血糖の程度が高度で持続すると昏睡に至り、低血糖昏睡が5時間以上経過すると血糖が回復してもさまざまな後遺症が出たり、重症の場合には植物状態になったり、死に至る可能性がある」と記されています。太る太らないという問題ではなく、命に関わるのが低血糖なのです。
実は、この低血糖がダイエット中の食欲を乱す原因となっていることが多いのです。
ガイドラインでは、60mg/dl以下を低血糖と診断して対応するとされていますが、実際には80mg/dlを下回ると低血糖の前兆のような症状が出る人が多くいます。
私自身も「FreeStyle リブレ」と呼ばれる24時間血糖値を測定する機械を何度か使って測定しましたが、血糖値が70台になると、軽い脱力感や集中力低下などが出現しました。
そして実は、70mg/dl台という軽い低血糖状態のときに、食欲が強くなってしまうのです。何度も話しているように、血糖値は体のエネルギー源のバロメーターになります。
血糖値が下がっている状態というのは
なので、血糖値が下がっている状態というのは、体にとってエネルギー源が足りない危機的な状態であり、エネルギー源となる食べ物を早急に補給すべきと判断されます。その結果、食欲が強くなって食べるという行為が引き起こされます。
『101の科学的根拠と92%の成功率からわかった 満腹食べても太らない体』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)
しかも、低血糖の状態から食べると、気持ちもソワソワして勢いよく食べてしまうので、満足感が得られずにたくさん食べすぎるのです。特に、お昼前や夕方などは血糖値が下がりやすく、低血糖になりやすい時間帯になります。
朝食を食べずに仕事に行くと、お昼ご飯前にイライラや頭痛、脱力感が起こって、昼食を食べても満足できなかったという経験はないでしょうか? もし経験があれば、それは低血糖になっていた可能性が高いでしょう。
低血糖といえば、医者に話をすると先に述べた60mg/dl未満の病的な状態のみを想像します。しかし実際には、70mg/dl台、60mg/dl台といった軽度の低血糖は健常人でも頻繁に起こしている人も少なくなく、それが食欲の乱れを招いているのです。
このように血糖値に関しては、高血糖だけでなく低血糖も問題視して扱って正常範囲内に抑えることが、血糖コントロールの本質であり、食欲のコントロールとダイエットにも影響してくるのです。
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