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日雇い派遣

2008年01月14日 | 最新労働事情

社説2 日雇い派遣の見直しが必要(1/14)

 日雇い派遣をめぐる違法行為が相次いでいる。厚生労働省はグッドウィルが労働者派遣法で禁止する業務への派遣などを繰り返していたとして、全事業所を業務停止にした。「佐川グローバルロジスティクス」など3社は日雇い派遣社員をさらに別会社に派遣する二重派遣をしていたとして事業改善命令を受けた。昨年夏にはフルキャストが違法派遣で事業停止処分を受けている。

 違法行為に厳正に対処するのは当然である。違反が頻発する業界の体質改善を急がなければならない。日雇い派遣という雇用形態の運用の仕方に問題があるとの見方も多い。この点の見直しも必要になろう。

 派遣会社から仕事を紹介され、1日契約で働く日雇い派遣は違法ではない。だが、派遣法制定当初に想定したのは通訳などの専門職だった。多くの若者が運送業などで働くようになったのは、製造業への派遣が解禁された2004年ごろからだ。いま様々な問題が表面化している。

 雇用が非常に不安定。単純労働のうえ派遣会社がマージンを取るので賃金が低い。社会保険にも入れない。技能が身につかない。一度こうした生活に入ると抜け出すのは容易ではない……。問題は多いのに、日雇い派遣の実態について全体像を示すような調査はないに等しい。

 厚労省が昨年夏に実施した調査では、日雇い派遣労働者5万1000人のうち75%を20代と30代が占めた。適当な定職がなく安易にこうした働き方を選ぶ若者がいるのは確かだ。企業にとっても便利な存在かもしれない。だが、現状を放置すれば、少子化で労働力が減るなか、社会の中核をになうべき若者が職業能力を磨く機会もなく、年老いて社会の“お荷物”になる可能性すらある。

 職業教育や訓練の拡充に加えて、日雇い派遣を受け入れる企業側も少子化をみすえた長期的視点と倫理観を持って問題に対処すべきではないか。働き手を企業に送り込む派遣会社の節度も大いに問われる。

 厚労省は今年度中に、情報の公開や効果的な指導を行うための省令、指針を整備することを決めた。さらに実態をきちんと調査し、より望ましい法制度を整えるために議論を詰める必要がある。

日経社説


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