ついに転院の日を迎えた。
一抹の不安を抱えたまま。
思ったよりも寝れたので良かった。
この日は自分の母も転院なので、荷物が多いとの事で、手伝ってくれる運びとなっていた。
まずは実家に母を迎えに行く。
母「寝れたー?」
俺「今日ありがとねー!思ったより寝れたー」
母「良かったじゃん!でも東広島からこっちの方の病院やけ遠くなるねー」
俺「そうなんよー。てかさ妻ちゃんが怖いこと言うてくるんよー笑」
と言い、例の画像と病名を伝える。
母「なんか怖いねー。まぁ大丈夫よ!なんとなく!」
10月入ってからは天気もなかなかぐずついていたが、この日はめちゃくちゃ晴れてて気分も晴れやかでいい事が起こりそうな予感がしていた。
私自身も「まぁ無さそう!いけるいける」と楽観的だった。
お昼頃に着いて、妻の転院の準備や軽くご飯の調達などを済ます。
妻は救急車で運ばれる。
VIPかな????笑
私たちは自家用車で後ろを着いていくもルートが違ったので、別ルートで向かった。
転院先の病院に着くと、まずは胎児エコー。
何人の産科の先生が見るねん笑
おそらく東広島の病院から、情報も回っているからだろう。
産科の部長を始め、少なくとも6人は確認できた。
研修医らしき人もいた。
私の横の方で耳馴染みなさすぎる英語や英語の略称(ASMRみたいなやつ)が飛び交う。
なんのこっちゃわからん。
しかし、沈黙の中の診察ではなく、なんとも和やかな雰囲気である。
「お?大丈夫そうか?取り越し苦労か?」と少し安心した。
そこで30分ほど診てもらい、次は胎児の循環器のエコーだと言われる。
んんんん???
エコーと言うからこれで終わりなのかと思ったら!?
循環器のエコーとな!?!?
心臓をより詳しく見ます的な!?!?
最初からそこで良かったのでは!?と思いつつも、色々とあるのだろう。
うちの子は今の現段階で、逆子が直らずに帝王切開が濃厚であった。
そして成長曲線も見たりしていたのだ。
いわゆる産むまでは産科で仮に何かあれば、そこから先は産科ではなく、心臓とか循環器のドクターのお仕事なのだ。
私みたいにズブの素人で、妻ほどでは無いにしろ、毎日の仕事と洗濯物の持っていったり帰ったりとで、明らかにリズムを狂わされていた。
そこに加えて、不安要素も隠し味で追加しときました〜ってね!
やかましいわ。どんな料理研究家やねん。
そして心臓のエコーは妻のみで、20~30分ほど時間が経過しただろう。
私と私の母が呼ばれ、診察室の中へ。
そして、どうやら小児循環器の部長さんが説明してくれる様子だった。
診察室には
産科の部長
小児循環器の部長
そして記録をしてくれる循環器のドクター
と中々のメンツがそこにはいた。
小児循環器の部長さんが口を開く。
「週数がだいぶ進んでいたので、心臓を直接見る形ではなく、肋骨が出来てきつつあるので、その隙間から心臓を診させてもらいました。そして診断確定とは言い切れませんが、様々な角度から診て、総合的に判断させてもらいました。」
そして心臓のイラストが描いてある紙を用意され、
普通の血液や酸素の流れ。
それぞれの動脈や血管や心臓の4つの部屋のそれぞれの役割。
やめてくれ。
めちゃくちゃドキドキする。
もう頷くしか出来ねぇ。
人口密度のせいなのかめちゃくちゃ暑い。
通常の心臓の説明を一通り聞いた。
「次にですね。赤ちゃんの心臓の動きはですね」
と普通の心臓が描いてあるイラストに修正テープを施して、我が子の心臓の動きや何がどうなのか説明をされる。
修正テープが施されるということは、普通では無いというのは想像に難しくない。
そこで3つ言われた。
「大動脈縮搾」
「僧帽弁狭窄症」
「左心低形成」
ん????
今
左心低形成と言うたな????
後に調べて分かったことだが、左心低形成(心臓の左心室が通常と比べて小さい)だけでこの左心低形成症候群という名前では無いらしく、上記の3つないし2つが伴う事で症候群となり「左心低形成症候群」と名前になるそうです。
違ってたらごめんね❤
3つの状態を言われた時に
これが絶句なのだと生まれて初めて感じた。
声が喉から出てこないとかでは無い。
声や言葉そのものが、脳みそにすら浮かばないのだ。
頷くことが精一杯。
なんなら、事前に調べていた。
心の準備が出来ていた。
妻に感謝すべきなのだろうか。
私は、涙腺を締める為に、何も無い診察室の天井を一瞬見上げ、煌々と光る電灯すら恨めしくも感じた。
重苦しい空気。
すごい。
何だこの空気は。
えぐい。
えぐすぎる。
夢なら。
悪夢なら早く覚めてくれよ。
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