左心低形成症候群ってご存知ですか?

お腹の中の赤ちゃんが先天性心疾患の左心低形成症候群という指定難病なので、ブログを始めた新米パパ

気持ちと法律と現実

2024-11-26 20:12:35 | 日記
更新が遅くなってしまい、申し訳ございません。
また追々書いていきますのでのんびりペースで頑張らせてください。

私たちはそれぞれの家族にその話をして、皆はどう思うか?を聞いてみた。

皆が「2人がそう思うなら」という結論であったが、概ね皆私たち2人が大変になる未来が見えるからそれを選べるならそれがいいのでは無いか?という事だった。

そこから、出産とその後の産まれた我が子の手術に関わる担当の科の先生方との話し合いがあり、2日か3日後に私達とのお話をという流れになった。

その時に、自分の母親も最初の症例の名前を聞いて説明を聞いていたので同席されますか?と聞かれ、母親に聞くと「行きたい」と即答してくれ、休みを取ってくれた。

自分達もそうだが、母親は自分の孫が産まれるのも凄い楽しみだが、今は息子である自分。そして妻が可愛いからこの2人が苦労する姿が見たくない。それに「この子の未来は当たり前が当たり前に出来ないならそれは…ねぇ?」と言葉を詰まらせていた。

そして説明をされる当日を迎えた。

来てくれたのは

小児循環器の部長さん
産科の部長さん
助産師さん
看護師さん

という面々であった。

部長さんが直々に来てくれたんやなとまずは思い、普通ではないと改めて思わされる。

そして小児循環器の部長さんが口を開く。

ここからは私自身も朧気な記憶なので、一言一句同じでは無いことをご容赦ください。

部「話は聞きました。何故そう思われたかまずはお話聞かせて頂いてもよろしいでしょうか?」

妻「色々な情報を調べる中で、この子の未来がなかなか普通では無いと思っています。助けてあげたいし助けて頂きたい気持ちもたくさんあります。しかし、自分が小さい頃に長期入院していた事もあり、その時のストレスも凄かった。院内学級とかだと普通の学校との進行具合等も変わってくるからこそ、それもゆくゆくは、本人にとってストレスだろうし、理解出来る時には苦しむと思います。色々と情報を見てしまうとどうしても良い方向には考えにくく、目の前の事ではなく、先を思うと中絶という選択肢があるならそれを望みたい。」

部「なるほど…。ご主人は?」

俺「そうですね。同じ思いです。そしてこの子が僕達以上に苦労をするのではないかという所をどうしても重く考えてしまいます。親なら子供の思いや夢や希望を叶えてあげたいと思います。しかし先生が以前言われていた「普通に走ることも難しいでしょう」という言葉。仮に野球選手なりたい。サッカー選手になりたい。と夢を持つのは自由ですし素晴らしい事ですが、病気のせいでその夢すら見れない。諦めざるを得ない。という夢の選択肢を狭めている現状は親として心苦しい限りです。まだ自分の意思がなく、まだ自分が人間なのかわからない段階で、自分達だけが業を背負えば…と思っているのが現状です。」

部「なるほど…。お母様は?」

母「同じですね。2人が苦労する姿は見たくないです。お腹に命を宿してますが、それが良いと思ってます。」

と3人の思いは1つだった。

部「なるほどですね。わかりました。単刀直入に申し上げます。それは不可能です。何故ならお腹の中の赤ちゃんには既に「人権」が存在しています。そして助かる命なのに、助けないというのは、医療ネグレクトにあたります。これを家族さんが選んだら家族さんが「殺人罪」にあたる場合もあります。そして私達はその同意を受け入れて、治療をしないとなると「殺人罪の幇助」となってしまい、私たちも罪にあたる可能性があります。法律で決まっていて、それは無理です。」

と眉ひとつ動かさずに涼し気に伝える。

部長さんに怒りに近いものを覚えたが、それ以上に食ってかかったのが母であった。

母「じゃあ仮にですけど私が罪を被れば、望みは叶うんですか?」

部「いやいやお母さん。法で決まってますし、そんな1人が被るからどうにかなる問題ではないです。」

母「わかりますよ。でもまだ見ぬ孫より今は見れている2人が可愛いです。どうしても無理なんですか?」

部「赤ちゃんにも人権があります。法がある以上、仮にですけど、ご家族さんが手術や治療に同意しなくても私達は助けなくてはならないんです。」

母「同意しなくても…?なんか矛盾してますねそれ…」

母は涙しながら怒りを露わにしていた。

私達はその姿に愛の大きさをそこはかとなく感じた。

しかし、それと同時に、母親を罪人にするわけにもいかないという思いが逆に冷静にさせてくれた。

そこから少しの無言があり、

俺「やっぱり予後とか悪いんですよね?」

と聞く。

すると、とある紙を見つつ、部長さんが話し始めるのであった。


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