「東京物語」をはじめ幾つかの作品を観ているが、特にモノクローム作品のカラーにはない白黒の陰影が好きです。
小津作品は、独特の特徴があるとよく言われています。
カメラを低い位置に据えて見上げるように撮る。いわゆるローアングルの撮り方です。
低い位置からのアングルは、日本の和風建築に見事調和し、畳に座った人間の視線そのもの。
二人の人物が向かい合って話しているシーンでは、会話している二人が同じ方向に視線を向け、話している側に交互にその顔がアップになる。
婚期を逃しかけている娘を案じる父、自分が嫁げば父がひとりになって困ると考えている娘の物語「晩春」を観た。
笠智衆と原節子の会話するシーンは、小津安二郎のローアングルとクローズアップが、まさにその場の感情や雰囲気を表現しています。
小津作品は、作られたのは古い時代なのに、ストーリーのゆったりとした流れと、内容が今でも新鮮に感じられ、いつまでも記憶に残る作品です。