妹が音楽の教師をしていたり、兄が小さい頃からバイオリンをやっていたにもかかわらず、私はクラシックには興味がない。それ以外なら、黒人霊歌から日本民謡に至るまで、ほとんど何でもOK。すでに高校時代に、相馬盆唄、小諸馬子唄、南部木挽き唄などに感激し涙したものだ。日本文化の原点を魂で感じたのだ。
ブルース、ポップス、フォーク、ロックも聴くが、何でもという訳ではない。当たりはずれがあるので、フォークを除いて、あまり買わない。いつかもTVコマーシャルに出ていて、サンプルも聴いているので、これならばとロッド・スチュワートのを購入したが、じっくり聴いてみると、私の好みに合わず、息子にあげてしまった。
なにしろロックも最近のは、プラグド(=plugged)と言う言葉が流行っていて、電気の力を借りて意味もなくシャウトするだけで、ロック(揺れる)の本道からずれている。だいたい近ごろのは、何がロックなのかさっぱり分からない。秋葉原の石丸電気などに行くと、レイ・チャールス(サザンの『いとしのエリー』をピアノでたたいていたあの盲目のアーチスト)がロックに分類されていて驚く。もっとも、私の好きな"Wha'd I say" なんかビートが強烈にきいていて、思わず躰が動くからロックと言えないこともない。
私のCDでは、ワンダー・ジャクソン、リンダ・ジャクソン、ブレンダ・リー、リトル・リチャード、ビル・ヘイリー、エルヴィス・プレスリー、ジーン・ビンセント、スウインギング・ブルージーンズなどのは、確かにロックする。
いろんなジャンルの中で、カントリーには(当たり)はずれがないので、安心して買える。昔、茂原の生徒たちに当時の私が盛んに紹介したのは、このカントリーとジャズ、それに NEGRO SPIRITUAL であった。アメリカでは放送局によっては、一日中カントリーを流しているほどで、いまだに人気は衰えない。そのカントリーには名曲というか、スタンダードがいくつもある。
『ジャンバラヤ』などは、ハンク・ウィリアムズあたりが原点であろうが、私のコレクションでは、他に、ファッツ・ドミノ、ブレンダ・リー、ジョー・スタッフォード、カーペンターズなどのがある。それぞれ独特の『ジャンバラヤ』になっていて、実に楽しい。パティー・ペイジやレイ・チャールズ、はたまた、セクシーヴォイスのステラ・パートン及びドリー・パートン姉妹なら、どう料理するのか興味津々なのだが、いくら神田あたりで捜しまわっても見つからない。