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【広原盛明のつれづれ日記 2024-12-05】と私見

2024-12-06 13:59:06 | 日記
広原盛明のつれづれ日記
共産党兵庫県委員会幹部は、SNSを理由にして県知事選の壊滅的大敗の責任を回避することはできない、SNSが支配した兵庫県知事選挙(3)、共産党はいま存亡の岐路に立っている(その47)

 兵庫県知事選をめぐる情勢は、選挙前よりもむしろ選挙後の方が加熱してきている。当選した斎藤知事のSNSを駆使した選挙運動が公職選挙法に違反するとして12月2日、斎藤知事と西宮市のPR会社社長に対する刑事告発状が神戸地検と兵庫県警に提出された。PR会社社長は、選挙戦の広報戦略全般を取り仕切っていたと誇らしげにインターネット投稿サイトで発信していたが、これが問題になり始めるや否や当該箇所を次々と削除・修正している。これらの箇所を繋ぎ合わせると、兵庫県知事選におけるPR会社の役割がクッキリと浮かび上がってくるのだから、彼女は二重三重に疑惑を上塗りしていることになる。
 
 斎藤知事自身や代理人弁護士は、記者会見でPR会社社長の投稿は「事実ではない」と言い張り、この会社に支払った70万円はポスター制作費であって、公職選挙法で認められている範囲の対価であり「違法性はない」と主張している。検察側が立件するかどうかは目下未定だが、立件するしないにかかわらず、斎藤知事の政治的正統性が大きく揺らいでいることには変わりない。
 
一方、マスメディアはほとんど関心を示していないが、私はこの知事選で壊滅的大敗を喫した共産党兵庫県委員会幹部の責任の取り方に注目している。2021年前回知事選の共産党候補得票数18万4千票(得票率10.1%)だったのに対して、今回は7万3千票(3.0%)と僅か4割に激減したのである。にもかかわらず、県委員会はその原因をSNSのフェイク宣伝にすり替え、自らの選挙戦略の誤りを認めようとしない。国政選挙では「野党共闘の要」と位置付ける立憲民主党との共闘を県知事選では追求しようとせず、立憲が実質的に支援する稲村候補を斎藤候補や維新候補と同列に位置付け、これに敵対して大敗するという〝致命的な失敗〟を犯したにもかかわらず――、である。
 
ミソクソの区別もつかない県委員会の稚拙極まる情勢分析と政治判断の下に行われた兵庫県知事選は、今後このような誤りを防ぐためにも選挙総括が決定的に重要になる。ところが、投開票日から半月が経過した現在においてもキチンとした総括が出てこない。赤旗は、特報記事として「兵庫県知事選で何が起きた SNSと選挙を考える」(12月2日)でフェイク宣伝を批判しただけで、県委員会の誤りについては一言も触れようとしない。
 
そしてまたもや全紙2面にわたって大々的に掲載されたのが、アジア政党国際会議総会に参加した「志位議長が語る」(12月3日)の特大記事である。「私たち日本共産党が、アジアの平和の本流の側に立っていることに誇りと確信をもって、東アジアの平和構築のために引き続き知恵と力をつくす決意です」との言葉で結ばれているこの特大記事は、国内の党組織の抱える矛盾を直視せず、党員や支持者の目を海外に逸らせるため――、としか思えない。
 
赤旗が兵庫県委員会幹部の責任を追及しない(できない)のはなぜか。国政選挙にしても地方選挙にしてもその都度幹部の責任を追及すれば組織がもたないこともあるが、その根源は2021年衆院選の志位委員長発言にある。志位委員長は投開票翌日の11月1日、党本部で記者会見し、議席と得票数を減らしたにもかかわらず「責任はない」と明確に否定したのである。「総選挙の結果について」(赤旗2021年11月2日)と題する常任幹部会声明も同様の趣旨で展開されており、志位委員長をはじめ幹部役員の政治責任は一切棚上げされている。
 
政治は〝結果責任〟が原則なのであるから、意図はどうあれ敗北した場合は幹部が責任をとらないわけにはいかない。だが、志位委員長の発言は「我が党は、政治責任を取らなければならないのは間違った政治方針を取った場合だ。今度の選挙では、党の対応でも(野党)共闘でも政策でも、方針そのものは正確だったと確信を持っている」(毎日新聞2021年11月2日)というものだった。しかし、この主張は選挙結果にあらわれた〝民意〟を軽視するものであり、それよりも上に党の政治方針を置く「革命政党」の体質を遺憾なくあらわしている。
 
党の決定はあくまでも正しい。誤りやすい大衆を正しい方向に導くのが党の使命である。選挙結果などには一喜一憂せず、毅然として党の政治方針を貫徹しなければならない――というのであろう。だがこの主張を突き詰めていくと、有権者の生活感覚や政治意識の動向、時代の流れを察知できない無神経さと思い上がりにつながり、国民の心情から遊離した政治方針をいつまでも改めようとしない官僚主義、専制主義に陥ることになる。まして兵庫県委員会の場合は、稲村候補を斎藤候補と同一視するという決定的な「間違った政治方針」を取ったのであって、この論法でさえ通じないことは明白なのである。
 
来年の参院選・都議選ではさらに大きな波乱が予想される。SNSを駆使する新党の登場が幾つか予想されるし、想定外の戦術展開も考えられる。変幻極まる情勢の変化に対応するには、その場その時の変化に応じて柔軟に選挙戦を展開できるセンスと能力が必要だが、それが従来通りの党決定学習と党勢拡大で身に付くとは思えない。支部活動のあり方を抜本的に変える「自由な議論」「多様な討論」が必要なのであり、それが党改革の第一歩にならなければならないだろう。
 
だが、11月27日に行われた小池書記局長の「都道府県・地区役員、地方議員への訴え」(赤旗11月28日)は、いつも通り「常任幹部会声明」や「全国都道府県委員長会議」の読了と党勢拡大運動の推進を強調するばかりでまったく新味がなかった。そして12月2日の中央委員会書記局報告(赤旗12月3日)では、11月の党勢拡大運動は小池書記局長がいうように「党大会後最小の入党者数」になったのである。志位議長の華々しい海外活動にもかかわらず、共産党はいま「日暮れて途遠し」の状態に陥っている。(つづく)
 
〇1月:入党447人、日刊紙1605人減、日曜版5380人減、電子版94人増
〇2月:入党421人、日刊紙1486人減、日曜版5029人減、電子版74人増
〇3月:入党488人、日刊紙947人減、日曜版6388人減、電子版2 8人増
〇4月:入党504人、日刊紙74人増、日曜版135人減、電子版72人増
〇5月:入党477人、日刊紙111人減、日曜版564人減、電子版70人増
○6月:入党514人、日刊紙537人減、日曜版3498人減、電子版59人増
〇7月:入党648人、日刊紙350人増、日曜版467人増、電子版67人増、
〇8月:入党375人、日刊紙119人増、日曜版398人減、電子版58人増、
〇9月:入党334人、日刊紙455人増、日曜版613人増、電子版11人増、
〇10月:入党213人、日刊紙2006人減、日曜版3212人減、電子版309人増
〇11月:入党211人、日刊紙1254人減、日曜版4916人減、電子版159人増

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【私見】
 兵庫県知事選では私はおおさわ芳清氏を全面的に応援した。日本共産党兵庫県委員会ともツイッターを通じて信頼をもっている。だから広原先生のご指摘にうなづきながら、それを全面的には支持できない。ただうなづける指摘も多い。私たちは、相互の批判と対話によって、国民的な問題を解決する努力を持続したい。日本共産党を支持しつつ、他の政治勢力とどう呼応し回路を形成していくか。それを忘れまい。
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【転載】東京新聞 社会 望月衣塑子記者2024年12月5日 18時18分

2024-12-06 11:19:32 | 日記
「韓国では市民が体を張っている」 日韓融和を目指す市民団体、「非常戒厳」と闘う姿へ「連帯」のメッセージ

緊急の連帯声明を発表した日韓和解と平和プラットフォーム日本運営委員会のメンバーら=東京・永田町の参院議員会館で(望月衣塑子撮影)


 韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が「非常戒厳」を宣言したことを受け、日韓関係の融和を目指す市民団体「日韓和解と平和プラットフォーム 日本運営委員会」(東京都新宿区)は5日、韓国の市民に連帯する「緊急連帯声明」を発表した。

 声明では、大韓弁護士協会や韓国女性団体連合など韓国の各団体から非常戒厳への抗議声明が出され、市民の権利を侵害しようとした尹政権への批判が韓国国内で高まっていると指摘。尹政権の退陣を求める動きに連帯すると表明した。

 参院議員会館で同日開いた記者会見で、委員会の高田健共同代表は「韓国では市民が体を張っている。日本からも闘いを支えることが必要だ」と訴えた。同席した「許すな!憲法改悪・市民連絡会」の菱山南帆子事務局長は「韓国の友人は、戒厳令が解除されても通信傍受されるかもとおびえていた。退陣を求める動きに心から連帯したい」と話した。
(望月衣塑子)

【関連記事】「尹錫悦を弾劾しろ」「明白な内乱罪だ」 突如「非常戒厳」を繰り出した大統領の手法に市民の怒りが爆発した
https://www.tokyo-np.co.jp/article/371489
 【ソウル=上野実輝彦、斎藤雄介】韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が非常戒厳を宣言した3日夜、ソウルの国会周辺には大勢の市民が集まり、尹氏の強権的な手法に非難の声を上げた。一夜明けた4日も批判の声は続き、大統領の退陣を求める世論は拡大しつつある。
◆国会前やソウル中心部に市民が集結
4日朝、ソウルの国会前で警官隊ともみ合う市民ら(斎藤雄介撮影)


 「尹錫悦を弾劾しろ」。3日深夜から4日未明にかけ、国会前では非常戒厳の発表に危機感を抱いて駆けつけた市民らのシュプレヒコールが響いた。
 警察が周辺にバリケードを設置し、正門付近で市民とのもみ合いが続いた。戒厳司令部が送った軍のヘリが飛来し、武装した兵士が国会への突入を試みたが、市民らが阻止する場面も。「映画のような非現実的な場面」(韓国メディア)が繰り広げられた。
 急きょ国会入りした与野党の議員らが戒厳の解除を要求する決議案を可決すると、スマートフォンで成り行きを注視していた市民らは歓声を上げた。
◆「配偶者の問題を隠そうとしたのだろう」
4日朝、ソウルの韓国国会前で、非常戒厳の発令を受けて抗議の声を上げる市民ら(斎藤雄介撮影)


 約6時間後の4日未明に尹氏が国会決議を受け入れ戒厳を解除した後も、市民の反発は続いた。ソウル中心部の光化門では同日、市民団体などを中心に抗議デモが行われ、参加者は「軍を動員して国会を閉鎖しようとした。明白な内乱罪だ」と尹氏の即時罷免を訴えた。
 男性会社員(51)は、尹氏の妻金建希(キムゴンヒ)氏が株価操作に関与した疑惑などを念頭に「尹氏は配偶者の問題を隠そうとしたのだろう。弾劾にせよ本人が下野するにせよ、もう国民は大統領と認めない」と話した。
 一方、尹氏を支持する右派系の団体も光化門で集会を開き「左派に主導権を与えてはいけない」などと主張。左右に分裂した韓国社会の姿をうかがわせた。
  ◇
◆軍政時代の悲劇を思い出す人も
 韓国の尹錫悦大統領が突如として発令した「非常戒厳」。民主化された1987年以降では初めてだが、それ以前の軍事政権時には頻発していた。多くの犠牲を伴った当時を知る国民たちは、国の向かう先に不安を感じつつ、政治の混乱を見つめている。
 「まるでコメディーだ」。南西部・光州(クァンジュ)出身の会社経営金鍾浩(キムジョンホ)さん(63)は、尹氏による戒厳をそう吐き捨てるように言った。生まれ故郷では1980年5月、戒厳下で光州事件が起きた。
 民主化を求めてデモをしていた若者らと軍が衝突し、一斉射撃などで100人超が亡くなったとされる。当時、大学生だった金さんの友人も、複数犠牲になった。デモに参加していた自身も軍に47日間拘束され、こん棒で殴られるなどの拷問を受けた。
◆「コメディーだが、まだ終わっていない」
 軍事政権当時の韓国では、相次ぐクーデターや権力者の暗殺などを受けて戒厳もたびたび敷かれた。今回を「コメディー」とまで言う背景には「光州事件の教訓から、軍は民間人に対して発砲できない」という確信がある。
<文字数制限で以下略>


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