【現代社会と報道】

新版【現代思想とジャーナリスト精神】
https://blog.goo.ne.jp/dreamtoday

【転載】東京新聞〈泉房穂の直言!〉2024年12月11日 12時00分

2024-12-11 15:12:16 | 日記
野党は「多様性ある大同団結」をできるかがカギ 参院選へ「国民の味方チーム」結成を〈泉房穂の直言!〉
東京新聞<泉房穂の直言!>2024年12月11日

 兵庫県明石市の前市長で衆院議員の経験もある泉房穂さんに、「庶民的な立場からの本音トーク」で、政界に直言していただきます。

◆自公両党は「終わりの始まり」か

 今回のキーワードは「多様性ある大同団結」です。衆院選での与党過半数割れを受けて、新しい政治が始まろうとしています。各政党とも頭打ちの中、多様性を認め合う前提で大同団結し、「国民の味方チーム」を結成することが求められています。

衆院予算委の集中審議で質問する立憲民主党の野田代表(左)と答弁する石破首相=12月5日


 与党の自民・公明両党は「終わりの始まり」が始まったと思っています。衆院選でボロボロになったのに反省している姿勢が見えない。自民は政治改革の本丸である企業・団体献金の廃止にすら踏み出せない。
 公明は支持母体・創価学会の高齢化でジリ貧が続いている。自民の業界票と公明の学会票でお互いに補う関係ですが、両方とも落ち込んで補完できていない。自公に代わる新しい政治が求められています。
 自民党内には石破茂首相を倒す力も残っていない。首相に求心力はないし、ほかに求心力がある人もいない。権力という一点でつながっている状況ですから、壊れ出すと早いのではないですか。

◆立憲・維新・国民も頭打ちだが…

 主要野党の立憲民主、日本維新の会、国民民主の3党も基本的に頭打ちです。

会談に臨む国民民主党の玉木代表(中央左)と立憲民主党の野田代表(同右)=11月5日、国会で


 衆院選で勢いがあった国民民主も玉木雄一郎代表の個人的な問題も含めて、圧倒的に支持を伸ばせるかというと、そういう状況ではない。
 「103万円の壁」で見直しの金額や時期を巡り、与党と中途半端な妥協をすると期待感は一瞬で失望に変わります。その可能性が高まっていると思います。企業・団体献金に関しても自民に擦り寄ってしまうと期待が失望に変わります。かといって野党だけに依拠していると政策を実現できない。国民民主は強いようで実はしんどい状況だと思います。
 立民は衆院選では選挙制度の影響で議席は増えましたが、支持は伸びていません。企業・団体献金の廃止を巡り、仮に抜け道を残すようなことをすれば、国民の期待は高まりません。国民の方を向いた政策転換が求められています。
 維新は代表が代わりました。一番大きな変化は吉村洋文新代表が来年夏の参院選について、32ある改選1人区は野党で候補者の一本化を図ると明言したことです。立民の野田佳彦代表とも大枠で一致しました。野党候補がかち合う場合は予備選をやるのも一つの方法です。有権者が見える形で統一候補を決めることも含めてありだと思います。

日本維新の会の代表選で街頭演説をする吉村洋文大阪府知事=11月23日、東京都新宿区で


 そういう意味で「国民の味方チーム」結成の前提が整いつつあります。
 少なくとも参院選まで、国民民主も維新も自民の補完勢力とか第二自民党とか呼ばれることは避けたいですから、与党に擦り寄ることはしないと思います。当面は、与党の低空飛行の政権運営が続くのではないでしょうか。

◆参院で与党過半数割れなら「新しい政治」が始まる

 参院選はキーワードに挙げた「多様性と大同団結」にふさわしい選挙です。比例代表は多様性がベースです。各政党が自分の色を出して戦えばよい。
 一方、選挙区では1人区は候補者が乱立してはどうにもならないので、各党の大同団結が必要です。しかも衆院と異なり、参院は重複立候補による復活当選がありません。選挙区で負ければ、それで終わり。そのため大同団結のエネルギーが働きやすい。参院選に向けてまさに「多様性と大同団結」が両立する状況に向かっていると思います。
 参院選に向けた政策のポイントは二つ。一つは国民の生活を大事にすること。もう一つは金権政治からの脱却。具体的には国民生活支援策と企業・団体献金の廃止を象徴とする政治改革案の2本柱で大同団結して戦えば、国民は「新しい政治」として支持してくれると思います。
 有権者に多様性を野合と勘違いされると駄目ですから、立民、維新、国民の3党がそれぞれの特徴を生かしてメッセージを出しながら、「国民の味方チーム」として力を合わせることが必要です。


 参院選では、野党が1人区で勝ちきれば、与党の過半数割れもなくはないと思います。衆参で与野党が逆転した瞬間に一気に、雪崩のように「新しい政治」が始まります。これまで実現が無理と思えたテーマが実現に向かっていくだろうと思います。2025年の参院選は、歴史に残る選挙になる可能性があります。
 既成政党はいまだに「新しい政治」に向けて転換できずにもがいている状況です。しかし、私は楽観的なので、可能性は高まっていると前向きにとらえています。

 泉房穂(いずみ・ふさほ) 1963年生まれ。兵庫県出身。NHKディレクターなどを経て司法試験合格。2003年衆院選で当選。2011年から明石市長を12年務め、医療費や保育料など「5つの無料化」を市独自で実現した。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

現代社会と報道

私たちは社会的な存在である。社会をどう認識するか。 基本的な視点だろう。