しるべない旅

幼い頃の思い出と日々の雑感気まぐれに綴っております。

バイクふれあい記68

2023-09-26 05:37:43 | 日記


昼間でもヘッドライトを点灯させると、反射光の効果があり、手元が明るくなります。しかも、何かがある、誰かがいるという存在を示すことが出来ます。角形ヘッドライトを見つめていると、デザインが優しく、光に刺々しさがなくて、愛しくなります。動き出すと、懐中電灯感覚になり、光を自分のものにした優越感があります。砂地は凸凹かあるし、石や木の切り株や根株があるから、昼間でも地面を照らしていると安心安全です。
エンジンが安定すると、右手アクセルと近接したセルボタンが、ますます親しみ深いものになりました。エンジンが回っていれば、押し離しのたびに、ヘッドライトの切り替え器がカチッカチッと明暗をつけて反応してくれるし、エンジンが止まりそうになったり、止まったりすれば、モーター発電切り替えが利き、キュルキュルとお気に入りの音を出してくれて、楽しさ倍増です。モトクロス乗りの際も押したり離したりして遊んでいました。
ガチャ 左中指薬指小指でクラッチを握りながら、左足爪先でローギアに入れました。 ウオーンドロッドロッ この音がお気に入りのひとつです。この音を合図にゆっくりクラッチを緩めまず。 ドッドットットットットットッ アクセルを徐々に上げて、坂を上ります。 トッ トッ トッ エンジンが喘ぎ始めます。 これもお気に入りのひとつです。 ウオーン 限界まで上り切ったら、下り始めます。 ドロッドロッドロッ 上り始め、下り始めの籠った音です。 ウオーン ニュートラルに爪先から戻したり、踵から戻したりします。もう一度吹き上がります。 トントントントントントン エンジンブレーキが利くと、エンジンを吹かせるから楽しいです。アクセルグリップが下に取られる感じになりました。リズミカルに吹かしたければ、グリップを細かく上下させます。右のフットブレーキ、ハンドブレーキで止まります。いい音でクセになってしまいます。サイレントサウンドとはいえ、優しさの中に逞しさが感じられます。登坂や限界まで行った時の喘ぎのサウンドが聞こえると、セルボタンを自然にグーッと押し込み、親指と人差し指で止めてしまいます。

つづく






バイクふれあい記67

2023-09-26 05:26:04 | 日記

このアングルもシビレてしまいます。

「エンジンかけてみるね。」

カチッキュトットッルキュトットッル.... 

「親指と人差し指で真ん中ギューッと押さえてるよ。方向標示器使う時は、親指動かすからこう。人差し指の爪で押さえているの。ライトどう?」

指先とヘッドライトがお兄ちゃんに見えるよう、車体を左に傾けました。

「暗くなったり明るくなったりしているよ。」

カチッ

「ボタン緩めたよ。脇を挟んでいるよ。」

指先をパッと素早く広げました。

ヒュー

「モーターが惰力になったね。」

「ここでアクセル開けてみるね。どうなるかなぁ。 

トットットットッーンカチッガクッ

 「モーター止まった。」

トットットットッ 

「エンジン止まらない、良かった。発電している。もうちょっと開けるね。」

ドッドッドッドッ 

「止まらない。もうちょっと開けるね。」

ドロッドロッウオーー 

「いい音してきた。唸ってる。」

「ボタン、また押してるよ。もう、キュルキュルいわない。」

「エンジン暖まったね。」

これで、 モトクロス乗り、出発です。


つづく





バイクふれあい記66

2023-09-26 04:54:46 | 日記

砂山広場に宅地造成が始まったのは、ベンリイちゃんとのふれあいが始まった小2晩秋のことでした。クルマに興味がある私は、いたずらの場所が追いやられて行く傍ら、お兄ちゃんとやって来るブルドーザー、それを運んで来るトレーラー、採掘禁止が進み、廃車となった天然ガスバスを運んで来るレッカー車に興味を引かれて行きました。

この空き地は、新潟交通の社宅の前身となるべく廃車住宅街になったのです。新潟地震で、バス路線が寸断されると市内から郊外へ営業所を分散させることとなり、造成が始まりました。母が働き始める際に初乗車して行ったバスも、順次運ばれた乗務員社宅に一泊して出て行く、東浜谷町始発の希少となっていたボンネットバスでした。

そんなわけで、トレーラーやレッカー車に近づき、運転手さんにエンジン始動や停止の方法を見せてくれと、お兄ちゃんと見せてもらいに行きました。トレーラーとレッカーはどちらもFUSOのボンネットタイプで、車高の高い4WDで、雪道に強い仕様でした。どちらがどちらか忘れましたが、予熱ボタンが始動ボタンと並んでついている、呉羽製のバスと同じ仕組みになっていました。デコンプレバーは、作動させるとバネで戻る仕組みでした。車高が高い車体は勇ましく見えたものです。


つづく


バイクふれあい記65

2023-09-26 01:10:21 | 日記



ピストンの位置合わせは、モーターとキックで遊びながら終えました。この機能があるおかげで、気温が低くても、チョークを使用する機会が少なくて済んだのかもしれません。

コチッコチッコチッ

ヘッドライトとニュートラルランプが点灯しました。

ピッピッ

あまり鳴らさなかった警笛ですが、左親指てボタンを押して、確かめました。

カシャッカシャッ

左親指でハイビームとの切り替えも確かめました。これで電装系の故障がないことがわかりました。お兄ちゃんは、楽しむなら、きちんと点検して、と話していました。お父さんは、お母さんとお兄ちゃんに細かく部品の名前や役目を教えていたのです。

この日のモーターとエンジンの調子はいかがかと、調整が始まります。


つづく





バイクふれあい記64

2023-09-26 01:05:18 | 日記



父も母も、お兄ちゃんとバイクを通してふれあい仲良くなっていることを黙認していました。長閑な昭和30年、40年代でした。課業日は帰宅したら宿題をきちんとしなくてはいくないから、冬場はほとんど遊べませんでした。だから、休日は天国なのです。

休日のベンリイちゃんは、コールドスタートだから、エンジンを目覚めさせる楽しみがありました。

スッチャリチャリ ポン

アパート前で、鈴つきのメインキーを差し込み、メインスタンドかサイドスタンドを外します。鈴つきのキーは、お母さんとお兄ちゃん用で、お父さんは、もうひとつのキーを持っていたようです。お兄ちゃんと手を取って、車体を押しながら、砂山広場に行きました。

サドルに股がり、左足をしっかり着地させました。

カチッチャリ

キーを左に回して、右手のひらでアクセルグリップを握り、親指と人差し指でボタンを挟み凹まして、モーターを鳴らします。

カチッキュ ル キュ ル カチッヒュッカチッガクッ

ボタンを緩め再度押します。 

カチッキュ ル キュ ルカチッヒュッカチッガクッ

歯車やカムが硬いのがわかります。何度か押し離ししているうち、軟らかになりました。

カチッキュルキュルキュルキュルキュルキュル

間欠音が連続音になって行きました。

キュルカチッヒューンカチッガクッ

ボタンを緩め、キックペダルを引き出してボタンを挟みながら何度か踏みました。

ガリッドロッドロッバーンガリッドロッドロッバーンガリッドロッドロッバーン....

すっかり部品が暖まり、和らぎを見せていました。


つづく