佐賀大学病院放射線科アンオフィシャルブログ ~さがの読影室から~

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消化管造影剤

2008年01月23日 12時18分19秒 | ホームページ 消化管造影検査
消化管造影剤の選択
 消化管造影剤で使えるのはバリウムとガストログラフィンなのですが、どう使い分けるか?まず、造影能力は圧倒的にバリウムが良い。どの部位でも漏孔ありそうならガストロを選択ということですが誤嚥の可能性があれば、両方まずい(特にガストロは浸透圧9近いので肺水腫必発、バリウムは異物反応)。以前、等浸透圧の経口水溶性ヨード造影剤の治験があったのですがが血管内投与で副作用多く中止になりました。安定ヨード剤も発売、輸入ともされていません。非イオン性は消化管に適応がありません。どうしてもというなら薄いバリウムでしょうか。
 カンファで出たような幽門狭窄で検査をする場合、目的は範囲と程度なので造影剤はどちらでもいいですが嘔吐誤嚥があるならバリウムのほうが少し良いのかということになります。しかし、粘稠性が高く胃内食物残渣と一緒になって長く胃内に停滞してCTなど他検査や手術時にじゃまだったりします。ガストロは、嘔吐誤嚥を考えなくて良いなら粘稠度は低く排泄しやすいことが利点です。いずれにしても、胃管を入れて胃液排泄してそこから狭窄の程度を想像、あるいは少量で確認して造影剤を選択したほうがいいでしょう。残渣が少なければ検査後回収できるのも胃管の利点です。あたりまえですが残渣が多いと胃管が詰まって回収できません。こんな病変の術前評価は3DCTに期待です。
 小腸でイレウス原因検索はどうでしょう?経口ガストロで小腸までは、虫が良すぎると思います。薄まってしまいますし味がひどい。イレウスチューブ入れてすぐガストロを入れられてるのもよく見ますが腸液で薄まって何見てるんだかの画像になります。バリウムでも同じことで、腸液が引けてイレウス管拔去時くらいがチャンスです。ガストロでもいけるでしょう。しかし、こっちも3DCTが良いね。
長くなりました。また、今度。MIZ

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1 コメント

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写真も (mune)
2008-01-23 21:48:24
近いうちにガストログラフィンと、バリウムの差が出ている写真をアップしたいですね。
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