佐賀大学病院放射線科アンオフィシャルブログ ~さがの読影室から~

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第215回九州神経放射線研究会

2008年03月15日 22時37分02秒 | 研究会・学会
 今日は福岡で第215回九州神経放射線研究会が開催されました。
 内野晃先生の特別講演が予定されていたので、初参加してみました。

 症例検討では合計、9例の提示がありました。数が多いので、提示された疾患名+αのみ羅列させていただきます。余力があれば、スピンオフ記事を書きたいです。

 1.endlymphatic sac tumor:不勉強のせいで初めて聞いた疾患です内野先生がさらっと当てていました。

 2.PRES様の多発脳出血:原因については、因果関係が不明のため疑い疾患名のみ。

 3.tumefactive demyelinating lesion:短期間でMRI所見の経過が提示されており、勉強になりました。ステロイドで病変が修飾されると、わかりずらくなるように感じました。

 4.benign fibrous histiocytoma:稀な症例のようです…MFHは聞くのですが…頭頚部のnon ossifying fibromaはT2WIで比較的高信号なのが特徴?

 5.下垂体腺腫+遺残三叉神経動脈:非常に詳細な読影力が要求されるようで、解説を聞いても、残念ながら理解困難でした血管、腺腫ともにポイントのある症例で、いずれpublishされるかもしれません。

 6.pilomyxoid astrocytoma:pilocytic astrocytomaは以前九州MRIででていたのですが…

 7.けいれん重責型脳症、前頭葉を主として障害するタイプ:当科でも最近経験した症例に非常に類似していました。手持ちの文献では、皮質の障害が言われていました、本症例でも主に皮質下白質の拡散低下が特徴的でした。現在、機序は不明とされれているようですがグルタミン酸?とMRSに関する論文があるとのこと。

 8.梗塞のepisodeがはっきりしない出血性梗塞:周辺白質に広範な白質のT2延長があり、出血を伴った多発腫瘤との鑑別が問題となりそうです。T1WIでのlaminar hyperintensityと、増強域の形態がポイントとなる?

 9.subependymoma:脳室内腫瘤性病変の鑑別。

 
 九州の神経放射線科医が集まる会で、神経放射線の奥の深い世界を垣間見ることができました。是非、次回も参加してみようと思います。しかし、もう少しまともな報告ができるように勉強しなければ。

 少し長くなってしまったので、内野先生の特別講演についてはまた明日御報告します。

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4 コメント

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11年目で初参加 (kum)
2008-03-16 00:53:29
今回は内野先生の凱旋講演ということで、いままで一度も参加したことがなかった、九州NRに参加してきました。相変わらず内野先生の的確な診断力(読影力)に感激してしまいました。また、内野先生の講義も埼玉にて経験された症例が次々に呈示され、非常に勉強になりました。

それにしても、勉強になる会でした。九州の各施設から興味深い症例が次々に呈示、説明され短時間でかなりの知識量アップにつながった気がします。今まで、一度も九州NRに参加してこなかったことを残念に思います。若手の先生方は毎回参加されると、着実に実力が上がると思いますので、是非時間を作って出席したほうがいいと思います。

あと、mune君が佐賀での経験例に関して果敢にコメントしていたので、改めて凄いなあと関心しました。
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NR懇話会 (au)
2008-03-16 18:32:13
関東にはNR懇話会が年に11回あります。1回の症例提示数も参加者数も九州NRより少し多いですが、放射線科医数や病院数を考えると、参加の割合は九州の方が高いでしょう。発言するのが決まった数人なのはどこも同じですが、若い人達は遠慮して後ろの方に座っており、mune君のように前の方に座って発言することはまずありません。mune君、その調子で頑張ろう
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NRにて (mune)
2008-03-16 20:13:13
大変勉強になった会でした。ありがとうございました。
コメントに関しては若干KYかな、と思ったのですがつい口が動いてしまいました。
もっと勉強して、ぜひ次回も参加したいです。
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けいれん重責型脳症 (hirai)
2008-03-18 19:37:13
最初に白質の病変が出現したあと、皮質下白質(皮質?)に移行する、といった話が出ていましたが、当院の症例も言われてみればそのような経過であったと思います。フォローであれ自分が読影した症例が思い浮かぶと印象深いですね。今回は怖じ気づいて発言し損ねましたが、、次に生かしたいと思います。
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