昨夜はニューオータニで行われた呼吸器カンファレンスに参加してきました。呼吸器内科主催で放射線科は少ないのですが、今回は毎回参加しているkuma先生と私に加え、hirai、最近登場のyuka先生、新人tetsuya・bigstone(!?)、研修医kajipon・isoponも来てくれ、にぎやかでした
症例は3例。
1例目は検診異常の初老期女性、自覚症状なし。胸部X線写真で右上肺野に径3cm近い斑状影、右上葉の容積減少。CTでは右S6上縁~S2に胸膜を挟んで連続する不整形腫瘤様構造。正常肺との境界は不明瞭で、収縮性変化が軽度見られ、近傍には胸水と胸膜肥厚を伴う。腫瘍性病変は考えにくい形状で、浸潤傾向のある感染症(放線菌やムコールなど)??と考えたのですが、結果は胸膜炎と限局性の無気肺(円形ではないが円形無気肺様)とのこと伏せた病歴にレイノー症状があり、後からPSS症状も出現したらしい。・・・これは難しかったでも画像経過を考えるとやはり、無気肺のみの影とは考えにくく、膠原病肺OPパターンがあり、限局した胸膜炎を伴って無気肺病変が形成されたのかな、と考察。
2例目は20代男性。顔面浮腫と意識消失発作が主訴。胸部単純写真では右側優位に突出する前縦隔腫瘤。CTでは前縦隔~上縦隔を占拠する巨大な分葉状~多結節状充実性腫瘤で、内部に壊死・嚢胞変性を伴う。既存の血管は圧排されつつも形態を保ち、SVCのみやや変形が目立つ感じ(症状の原因か)。胸水、心嚢水貯留あり。MRIもあって、CT所見に加え、壊死以外の部分が非常に均一なこと、出血に乏しいこと、細胞密度が高い病変であることを示唆する所見。鑑別としては胚細胞性悪性腫瘍と悪性リンパ腫が挙がるが、出血もなく、比較的均一な性状、あと、CTで肝脾腫もあり、悪性リンパ腫が考えられた(yuka先生がさらっとMRIを読んでくれました)。個人的にはサイズの大きい病変であることを考慮し、壊死傾向を伴うセミノーマも最終鑑別から外すことは出来ないかと思います。縦隔のリンパ腫(diffuse large B)は他の部位と違い、多結節状で壊死傾向が目立つタイプが多いですが、セミノーマも多結節状で均一な細胞で構成され、肉眼形態には共通点があるかと。
3例目。
高齢男性、2005年に胸部単純写真で異常を指摘され、経過観察となったがその後drop out。昨年近医受診時に病変の増大を指摘され来院。左下葉に巨大な分葉状腫瘤。CTで内部は均一に増強され、壊死はなく、内部に既存肺動脈の貫通あり(CTangiogramサイン)。こちらも悪性リンパ腫(diffuse large B)でした。経過が比較的緩徐な増大であることが少し問題になりましたが、肺のリンパ腫はMALTomaやろ胞性リンパ腫などの低悪性度リンパ腫をベースにdiffuse large Bが出ることが多いので、数年前は低悪性度、その後高悪性度に進展したと考えると、長い経過も合致すると思われました。Ryoko
症例は3例。
1例目は検診異常の初老期女性、自覚症状なし。胸部X線写真で右上肺野に径3cm近い斑状影、右上葉の容積減少。CTでは右S6上縁~S2に胸膜を挟んで連続する不整形腫瘤様構造。正常肺との境界は不明瞭で、収縮性変化が軽度見られ、近傍には胸水と胸膜肥厚を伴う。腫瘍性病変は考えにくい形状で、浸潤傾向のある感染症(放線菌やムコールなど)??と考えたのですが、結果は胸膜炎と限局性の無気肺(円形ではないが円形無気肺様)とのこと伏せた病歴にレイノー症状があり、後からPSS症状も出現したらしい。・・・これは難しかったでも画像経過を考えるとやはり、無気肺のみの影とは考えにくく、膠原病肺OPパターンがあり、限局した胸膜炎を伴って無気肺病変が形成されたのかな、と考察。
2例目は20代男性。顔面浮腫と意識消失発作が主訴。胸部単純写真では右側優位に突出する前縦隔腫瘤。CTでは前縦隔~上縦隔を占拠する巨大な分葉状~多結節状充実性腫瘤で、内部に壊死・嚢胞変性を伴う。既存の血管は圧排されつつも形態を保ち、SVCのみやや変形が目立つ感じ(症状の原因か)。胸水、心嚢水貯留あり。MRIもあって、CT所見に加え、壊死以外の部分が非常に均一なこと、出血に乏しいこと、細胞密度が高い病変であることを示唆する所見。鑑別としては胚細胞性悪性腫瘍と悪性リンパ腫が挙がるが、出血もなく、比較的均一な性状、あと、CTで肝脾腫もあり、悪性リンパ腫が考えられた(yuka先生がさらっとMRIを読んでくれました)。個人的にはサイズの大きい病変であることを考慮し、壊死傾向を伴うセミノーマも最終鑑別から外すことは出来ないかと思います。縦隔のリンパ腫(diffuse large B)は他の部位と違い、多結節状で壊死傾向が目立つタイプが多いですが、セミノーマも多結節状で均一な細胞で構成され、肉眼形態には共通点があるかと。
3例目。
高齢男性、2005年に胸部単純写真で異常を指摘され、経過観察となったがその後drop out。昨年近医受診時に病変の増大を指摘され来院。左下葉に巨大な分葉状腫瘤。CTで内部は均一に増強され、壊死はなく、内部に既存肺動脈の貫通あり(CTangiogramサイン)。こちらも悪性リンパ腫(diffuse large B)でした。経過が比較的緩徐な増大であることが少し問題になりましたが、肺のリンパ腫はMALTomaやろ胞性リンパ腫などの低悪性度リンパ腫をベースにdiffuse large Bが出ることが多いので、数年前は低悪性度、その後高悪性度に進展したと考えると、長い経過も合致すると思われました。Ryoko
2例目、3例目は典型的な症例で、若い医師たちの勉強になったと思います。
1例目は非常に難解な症例で、完全に答えがでた症例とはいえませんでした。
でも、こんな難解な症例でも、おそらくわかる人にはわかるのでしょう。特に下野先生だったら、どのように解釈されるのか?
やはり、症例を考える際に、頭をやわらかくして考えることが大事です。この画像所見だったら、これしかありえないとか思い込んでしまうと、そこから抜けれなくなります。画像所見と疾患は一対一対応ではないことを肝に銘じるべき(特に呼吸器病変では)と思わされた症例でした。
もしただのリンパ腫じゃなければキャッスルマン病なども考えていいのかな、なんて思いましたが、その場で特徴が思い浮かばない自分がもどかしかったです。精進せねば。