とはずがたり

論文の紹介や日々感じたことをつづります

変異型ウイルスによる最後の審判

2021-08-09 18:30:14 | 新型コロナウイルス(疫学他)
最新号のNewsweek誌(最近dマガジンで読めるようになりました)に、"The Doomsday Variant(変異型ウイルスによる最後の審判)"というタイトルで、変異型コロナウイルスについての記事が載っています。現在日本でもデルタ変異型ウイルスが猛威を振るう中で、どうしてパンデミック当初は科学者の中でも変異型ウイルス登場の可能性が軽視されていたか?について、「コロナウイルス自体は遺伝子変異頻度が低いため、理論的には変異型ウイルス登場の可能性は低いものの、あまりに大規模な感染拡大のために変異型ウイルスが出現するチャンスが増えてしまったのだろう」と述べられています。またインドでは4つの変異株が登場したが、結果として「免疫回避能が最も低い」デルタ株が爆発的に増加することになった、など、大変興味深い内容が述べられています。最後のQ&Aでは「Q: 既感染者にも2回のワクチン接種が必要か?A: Yes デルタ株は既感染者にも感染し、その予防のためには2回のワクチン接種が有効」など、参考になる情報も述べられています。 


科学否定論者と議論することは無駄ではない

2021-08-09 18:28:42 | その他
Wikipediaによればアメリカでは米国で「進化論」を信じる人は39%にとどまり、全く信じない人が25%なのだそうです。昨今の新型コロナウイルスの議論の中でも「新型コロナウイルスなんて存在しない」というような極端なscience deniers, sceptics(科学否定論者、懐疑論者)の意見を聞くと、絶望的な気持ちになり、「このような人々と議論しても考えを変えることはできない」と思ってしまいます。しかし筆者はそのような態度は「事実としても倫理的にも誤りである」と指摘します。ほとんどの科学否定論者は情報ではなく、信頼が不足しているのであって、忍耐、尊敬、共感を持って、信頼を築くことで考えを変えることは可能である。そのための技術として、まず彼らの話を十分に聞き、対話が始まったら説得ではなく質問を続ける。議論に反論する代わりに、「どんな証拠があれば心が変わるでしょうか?」と尋ねてみる。「証拠」が必要だと言ったら、これまでの証拠が不十分である理由を尋ねる。陰謀説に対しては、なぜ彼らがその証拠を信頼しているのかを尋ねる。このように質問を続けることで、どうしてこのような質問に答えられなかったのかと、自分で不思議に思わせることが重要である、と述べています。