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なぜ女子大生が「卵子冷凍保存」に走るのか、Z世代の驚くべき価値観

2021-01-17 13:30:00 | 日記

下記の記事はダイヤモンドオンラインからの借用(コピー)です

現役女子大生が
卵子を冷凍保存!?
「2カ月前、卵子を冷凍保存して来ちゃいました」
 当時21歳の女子大生・アヤノ(仮名)は、笑顔でそう話した。3年前、都内のある大学の学食で、彼女を含む学生4人と忌憚(きたん)なく話していたときである。
 なぜ女子大生が、卵子を冷凍保存? しかも彼女は、以前から彼氏さえいないと公言していたはずでは?……筆者は目を丸くした。
 アヤノは竹を割ったような性格で、見た目も物言いも、元AKB48の指原莉乃さんにそっくり。それまでも「恋愛にまったく興味がない」と言い切り、「同年代の男子が、アホっぽい。話を合わせるだけで、時間の無駄って思っちゃう」と冷笑していた。
 その彼女がなぜ?……だが私の驚きをよそに、周りにいた他の女子3人は、まったく不思議がらずに「えっ? どこのクリニック?」と身を乗り出した。それどころか、「さすが!」「やっぱ動きが早いね」など、一様にリスペクトの姿勢を見せたのだ。
アヤノいわく、「だって冷凍保存するなら、若いうちのほうがいいんでしょ」とのこと。「あとになって、不妊治療とかで(治療することになって)後悔したくないんです」
 この時点では、失礼ながら「極端な子だな」としか思わなかった。口には出さなかったが、「“あの番組”に影響されたのかもしれないな」とも感じた。
Z世代の女性たちが
卵子冷凍保存を急ぐ
牛窪 恵著『若者たちのニューノーマル―Z世代、コロナ禍を生きる』(日経プレミアシリーズ)
 あの番組とは、NHK総合の「クローズアップ現代+」。アヤノの告白を聞く少し前(16年秋)、番組では「若いときの卵子を取っておきたい」として、卵子を冷凍保存するOLらに密着。現代の働く女性が、いかに「未来に備えたい」と希望しているかを、生々しく報じていたのだ。
 半年後。都内の別の大学に出向くと、サリナ(当時20歳・仮名)が「牛窪さん、見ました?」と駆け寄ってきた。
 聞くと、あるビジネスサイトが若い女性たちに「将来のために卵子を冷凍保存しておきたいか?」と尋ねた調査結果が、公表されているという。
 衝撃的だった。調査では20~34歳の独身女性のうち、約6割が「冷凍保存しておきたい」と答えていたのだ(17年東洋経済オンライン『「卵子凍結」を考える女性の知られざる実情』)。
 となると、アヤノは「極端な子」ではないのかもしれない……。そんな「予感」を抱えたまま、筆者はコロナ禍でZ世代の取材に入った。
 すると、出るわ出るわ、10代後半~20代半ばの女性たちが、「(保存が)早いほうがいいなら、いまから手を付けたい」「やれる限りのことは、全部やっちゃいたい」など、口々に声を上げたのだ。
 取材した中には、冒頭のアヤノと同じく、既に冷凍保存を済ませた女子大生・ユウカ(20歳・仮名)もいた。彼女が訪ねた某クリニックは、条件をクリアすれば「未婚女性」でも卵子凍結が可能だという。
費用は30万円、
推奨されていないのになぜ?
 費用は、初めの採卵と解凍するまでの卵子凍結費用を合わせて、およそ30万円。
 大学生、それもコロナ禍でアルバイトもままならないユウカにとって、大きな負担であるはず。だが彼女は、「将来、不妊治療を受けるよりずっと安い」と断言した。
 確かにそうだろう。妊活経験者(10年以内)に聞いたある調査で、人工授精や体外受精・顕微授精のいずれかを経験した女性の支払い費用は、平均約134万円(17年「妊活ボイス」)。
 将来への「保険」と考えれば、30万円は必ずしも高くない。
 一方で、“意識高い系”のユウカは知っていた。
 15年、日本産科婦人科学会の専門委員会が、健康な女性の卵子の冷凍保存を「推奨しない」との見解を提示したことを。また、冷凍した卵子で妊娠できる確率なども明確には示されていないことを……。
「でも、そうは言っても」とユウカ。
「いざ不妊ってなったとき、誰かが助けてくれるんですか? お金だけの問題じゃない。私、就職したらたぶん仕事にばっか集中して、結婚どころじゃなくなると思うんです。
 でも子どもだけは絶対に欲しい。だから今から、できるだけのことをしておきたい。それが、悪いことなんでしょうか?」
 今、できるだけのことをしておきたい……Z世代への取材では、この言葉を幾度となく耳にした。消費も仕事も、そして結婚・出産も、彼らは極めて現実的である。
Z世代は「数的データ」に
関心が向きやすい
 特に20代女性は、ここ数年、「不妊」や「妊活」「産みそびれ」といった言葉に敏感だ。
 勉強や結婚は、「リカレント(学び直し)」や「アラフォー婚、アラフィフ婚」など、年齢が上になってからでもリベンジできる。でも哀しいかな、出産にだけは一定の「期限」がある。だからこそ、早めに手を打てるところは打っておきたい……。
 さらにZ世代は「SNS世代」。日々膨大な情報に囲まれて育ってきたため、情報処理の過程で、漠然としたテキスト情報はスルー、一方で視覚化された動画やパッと見てすぐ分かる数的データにこそ、関心が向きやすい。
「35歳を過ぎると、妊娠確率が20代の2分の1程度まで低下する(可能性がある)」といった具体的なデータは、彼女たちにとって、極めて“重い”のだ。
背後には、大学教育の影響もあるだろう。
 13年ごろから、複数の大学が「妊活」をテーマにした講座を開くようになった。主にキャリア教育の一環で、仕事と結婚・出産をセットとして捉え、「いつ産む」から逆算して、早めに賢く人生設計してもらおうとの狙いがある。
 このころから、女子大はもちろん、共学である慶應大のゼミや東大の学園祭でも「妊活講座」が行われ、男子学生も参加するようになった。
 今やその流れが全国に波及し、男性も学生時代から「将来、働くママ(妻)をサポートするのが、自分の務め」だと考えている。10代のころから、既に「イクメン・家事メン予備軍」としての自分を、イメージしているのだ。
専業主婦は
「どうせ叶わぬ夢」
 働き方も変わった。バブル崩壊後の90年代後半、専業主婦世帯と共働き世帯の割合が逆転(厚生労働省「厚生労働白書」)。いまや夫婦全体の約7割が、共働きだ。
 複数の社会学者らは、「あと10年で、共働きの割合は8~9割にまで伸びる可能性がある」と指摘する。つまりZ世代のうち、専業主婦で居続けられる女性は、1~2割しかいないということだ。
「大変だね? イマドキの女子って、本当は専業主婦になりたいんでしょ?」と揶揄(やゆ)する人もいるだろう。たしかに、20~60代の有職女性に「本当は専業主婦になりたいか」と聞いたある調査でも、「非常に(やや)そう思う」の回答は、20代で最も多く、53%と半数を超えた(19年ソニー生命保険「女性の活躍に関する意識調査2019」)。
 とはいえ、Z世代の女性は賢い。大半が「自分が働かないと、おそらく家計が厳しい」と気づいている。「なりたい」と答える半面、専業主婦は「どうせ叶わぬ夢」。「ユーチューバーになりたい」と同じぐらい、低確率だろうなと分かっているのだ。
 何しろ、普段から数的データにこだわる世代。同世代男性の年収ベースがいかに低いか、共働き家庭の生活費が月額いくらぐらいかなど、学生時代から認識している女性は、大勢いる。嫌でも“痛い”現実に、さらされてきたのだ。
「二刀流」が当たり前
超現実的なZ世代の女性たち
 例えば、数年前の調査ですでに、ラブホテルでも割り勘な「ラブホ割り勘女子」が、若い女性(22~34歳)の4割以上に上っている(15年マイナビウーマン『ラブホ代の割り勘には「賛成」or「反対」?』)。
 彼女たちは言う。「男子も、お金なくてかわいそうだし」「男女平等の時代なんだから、私だけが奢ってもらっちゃ悪いのかなって」。
 そう、ラブホのような恋愛市場においても、極めて現実的な彼女たち。
 そんなZ世代だからこそ、学生時代から「私も将来、『仕事』と『結婚・出産(育児)』を同時並行でこなすんだろうな」とイメージ。同世代の米大リーグ・大谷翔平選手さながらに、「二刀流」として生きる未来の自分を、ぼんやり思い描いているのだ。
 彼女たちは、もともと超現実的で、合理主義だ。
 未来に向けたマイルストーンの多くは、まだ漠然としているが、可視化できるタスクは「早め早めに前倒しで済ませたい」と考えやすい。20歳そこそこで卵子の冷凍保存に走るのも、「出産のタイムリミット=35~40歳前後」だと、彼女たちの中で、既に可視化されているからだろう。
賢いZ世代と
どう向き合うべきなのか
 賢いZ世代を「扱いづらい」「ロマンがない」と嘆く大人たちも多い。
 だが、ぼんやりとでも将来に思いを馳せ、「後悔したくない」と準備する世代だからこそ、仕事でも自発的に先々の業務を考えてもらうことで、成長に繋がるのではと感じる。
 筆者も、企業で新入社員研修などを行う機会も多いが、そんなときには「あなたは何年目に、どんな自分でありたいですか」と、「未来予想図」を描かせることが多い。
 このとき、業務だけでなく結婚・出産(育児)といった部分も(コンプライアンスに触れない範囲で)書き込んでもらうのがポイント。なぜなら、「二刀流」をベースに人生を設計するZ世代の働き方は、プライベートとも深く結びついているからだ。
 未来予想図によって、彼女たちが何を仕事や生活の「目標」と考えているか、逆にどこに漠然とした不安がありそうかが、俯瞰(ふかん)的に見えてくる。会社にとってはもちろん、彼女たち自身もまた、ぼんやりとした不安の正体をある程度、見える化できるのだ。
 もちろん仕事や人生は、計画通りにはいかない。ただ、漠然とした不安が強いZ世代だからこそ、可視化できたタスクは「後悔しないよう、早めに手を打とう」と考え、自発的に行動に移しやすい。
 ぜひ彼らの賢さや、極端に「前のめり」な行動力を、いい意味で生かしてほしい。



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