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「重症化の兆候」は「体温」より「息苦しさ」 医師が教える自宅療養時の注意点

2021-08-14 12:00:00 | 日記

下記の記事はAERAdotからの借用(コピー)です


「流行地域の入院は原則、重症者と高リスクの感染者に限定する」との政府の方針は波紋を呼び、結局、修正された。しかし、都内の実態はすでにそうだ。自宅療養の注意点は。AERA 2021年8月16日-8月23日合併号から。

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 政府は8月2日、新型コロナウイルスの流行する地域では、入院を重症患者や重症化リスクの高い患者に限るよう都道府県に求める方針を決めた。この方針は波紋を呼び、5日、「中等症は原則入院」と修正された。

 東京都内では実際にはずっと以前から医療が逼迫しており、政府が2日に示した方針のような状況は現場ではすでに起きていた。北里大学北里研究所病院(東京都港区)の鈴木雄介・感染管理室長(呼吸器内科)は都内の実態をこう説明する。

「約1年前から感染拡大の波が来るたびに病床は逼迫し、重症患者か重症化しそうな感染者しか受け入れられなくなっています。都や国が発表する数字では余裕があるように見えても、実態は違います」

■「調整中」が約1万人

 他の人に感染する可能性がある新型コロナの感染者の治療には、医療従事者の数も、感染防護服などの道具も通常よりずっと多く必要だ。また、感染直後は検査してもわからないため、別の病気で入院した患者の感染が入院後にわかった場合に備え、コロナ対応病床に余裕を持たせておく必要がある。

 このためコロナ患者の受け入れ医療機関の多くは、実際には最大限の受け入れ病床数より少なく受け入れるしかない。

 8月4日現在、都内には重症者用をあわせ5967床が確保されており、入院患者は3399人なので、数字上は4割のベッドが空いているように見える。

 しかし、実際には3日からの1日間で、入院先が見つからないといった理由で調整待機中の人が1291人増え、計9708人になった。1カ月前の約11.4倍だ。自宅療養者は4日現在、1カ月前の約13倍となる1万4783人に達した。

 高熱なのに自宅療養だと不安になる人が少なくないが、実は重症度は体温の高低とはあまり関係がない。発熱だけで命が左右されることはほとんどないからだ。重症かどうかを鑑別する一番重要な指標は呼吸機能、つまり肺の機能だ。

■「兆候」を見逃さない

 厚生労働省の「診療の手引き」によると、「軽症」は肺炎のない状態だ。高熱でも肺炎がなければ軽症だ。中等症は2段階ある。肺炎が起きて呼吸機能が落ち、呼吸機能を示す血液中の酸素飽和度が96%未満ではあるものの、酸素投与が要らないなら中等症I、酸素飽和度が93%以下で酸素投与が必要なら中等症IIだ。

 自宅療養で大切なのは、重症化の兆候を見逃さないことだ。ただし、自覚症状では判断が難しいと、鈴木室長は指摘する。

「息苦しさの感じ方には個人差があります。特に新型コロナウイルス感染症では血中酸素濃度が低くても息苦しくならない患者さんがいます。その一方、不安が強いなどの理由で、血中酸素濃度は低くないのに息苦しくなることもあります」

 このため、呼吸機能がわかる「パルスオキシメーター」で1日に何回か血中酸素濃度を測るといい。自治体により異なるが、93~94%以下になったら保健所などに相談しよう。この機器は自宅療養の際に貸してくれる自治体が多い。

 また、自宅療養中には脱水症状にならないよう意識して水分を補給し、栄養もとろう。嗅覚や味覚の障害が起きて食欲が低下することもあるが、栄養が不足すると体力が低下し、回復に時間がかかってしまう。

 自宅療養中の感染者や家族の注意点について、神奈川県や埼玉県などの自治体がわかりやすいパンフレットをネットで公開している。自治体名と「コロナ 自宅療養」で検索すると見つかる。(科学ジャーナリスト・大岩ゆり)



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