皆さんと一緒に考えましょう

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

この冬こそコロナ・インフル「恐怖の同時流行」を警戒すべき5つの理由

2021-09-18 12:00:00 | 日記

下記の記事はダイアモンドオンラインからの借用(コピー)です。

つい2年前まで、冬の感染症といえばインフルエンザだった。しかし今、人々は季節を忘れて新型コロナウイルスと闘い続けている。そして今年の冬は、新型コロナとインフルの「同時流行」になるかもしれない、というのが世界の専門家の見立てだ。なぜそう考えられるのか、両方から身を守るための最善策は何だろうか。(ナビタスクリニック理事長、医師 久住英二)
インフル復活への序章か
RSウイルス感染症が大流行
 覚えている人もいると思うが、新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行は昨シーズンも懸念されたことだった。しかし結果は大方の予想を裏切り、インフル患者は記録的な激減を見せた。
 国立感染症研究所の推計によれば、2020年9月~2021年3月のインフル受診者数の推計は、全国で約1万4000人だった。例年なら1シーズンに約1000万人とされている。700分の1以下だ。1999年に現行方式で記録を取り始めて以来、初めて「流行なし」となった。
 大きかったのは、新型コロナに対する人々の予防意識の高まりと実践だろう。皆が皆マスクを装着し、冬でも換気を心がけ、手洗いやソーシャルディスタンスを徹底した。飛沫感染と接触感染が主な伝播経路のインフルにも、効果てきめんだ。
 このままいけば、今年もインフルは流行せずに済むのではないか……そんな期待もかかる。
 だがこの夏、気がかりなニュースが飛び込んできた。インフル同様、昨年は例外的に流行のなかったRSウイルス感染症が、早々に大流行したというのだ。
 RSウイルスは、赤ちゃんを中心に風邪の原因となり、せきや鼻水など呼吸器症状を引き起こす。2~3割は気管支炎や肺炎に陥り、まれに急性脳炎を引き起こすため、楽観は禁物だ。
 例年は、秋から流行が始まり、年末頃にピークを迎えて春まで続く。しかし国立感染症研究所によれば、今年は6月には全都道府県で患者が報告された。さらに、7月までに2018・2019年の年間累積患者数を上回ってしまった。
 しかもコロナ前と違い、2歳以上の患者数とその全年齢に占める割合が高くなっているという。この点は見逃せない。
 通常は生後1歳までに50%以上、2歳までにほぼ100%の子どもがRSウイルス感染を経験する。再感染もあるが、その場合は受診の必要がないくらい軽いことも多い。
 今年の2歳以上の受診増は、昨年流行がなく未感染の乳児が多かったせいに違いない。その子たちが今年になって初感染しているのだろう。
 実はRSウイルスのこの夏の復活流行は、日本に限ったことではない。
 世界の複数の地域で、昨年はRSウイルスの流行が消失した。ところが日本と同じ北半球の米国や英国、フランスなどで、今年になって感染が増加している。南米でも同様に、激減から一転、今年は感染が増加し、高いレベルで推移している(国立感染症研究所)。
インフルは例年以上の勢いに?
米CDCが指摘する5つの要因
 こうした呼吸器系ウイルスの動向を、米国CDC(疾病予防管理センター)のインフルエンザ監視チームも注目している。
 チームリーダーのリネット・ブラマー氏は今年7月、同国のニュース専門チャンネルCNBCで、RSウイルスの活動がすでに新型コロナ前に戻っていると指摘。CDCは、「インフルエンザウイルスの流行サイクルが、パンデミック前のレベルに戻るのに備えている」とした。
 さらに「次のインフルエンザシーズンは、通常よりも厳しいものになる可能性がある」と明言し、5つの理由を挙げている。
(1)新型コロナ感染予防のための社会生活・経済活動の制限が、緩和され続けている。
(2)インフルエンザに対する抗体は、時間の経過とともに減弱する。
(3)ワクチン接種による免疫は、自然に感染して得られる免疫よりも早く衰える。
(4)昨季に流行がなかったため、成人(特に昨年ワクチン未接種の人)の免疫力は、2季以上前のインフルエンザウイルスとの接触に依存する。
(5)幼い子どもたちも未感染や未接種が多く、インフルエンザに対する免疫力が低いとみられる。保育園・幼稚園、学校で感染が広がる可能性がある。
 その上でCDCは、「ワクチン接種は、ご存じの通り、インフルエンザとその深刻な合併症から皆さん自身と愛する人を守るための、ベストな方法に変わりありません」と呼びかけている。
 これには異存はないだろう。インフルエンザワクチンの接種はこの秋も必須だ。
 特に今インフルにかかると、平時以上に厄介な思いをすることになる。
 まず、発熱やせきなどの症状のある人を受け入れている医療機関を探さなければならない。見つけても、いきなりは受診できないことの方が多い。受診したら、インフルと新型コロナ両方の検査を受け、結果を待たねばならない。
 その間、ずっと「新型コロナでは」と本人も周囲もハラハラし続けることになる。
 要するに、体力的にはもちろん精神的にもキツイ。そんな目に遭うくらいなら、ワクチンを打っておく方がずっと賢明というものだ。
インフルワクチン供給の遅れ
コロナと同時接種で影響小さく
 気になるのは、インフルエンザワクチンの供給見通しだ。
 厚労省(9月1日発表)によれば、今季の供給量は最大約5580万人分で例年並みと発表している。ただ昨年は、1996年にデータを取り始めてから最多の供給量で、それでも足りなかった。昨年に比べると、今年は供給量としては2割減となり、新型コロナワクチン生産によって世界的に製造資材を入手しにくく、供給ペースが遅れるという。
 ナビタスクリニックでも通常なら10月の接種シーズン直前に、いったんまとまった数量が納品される。だが今季、当初の供給量は昨季の6割程度になる見込みといわれる。その後は12月上旬まで順次供給となる模様で、予約受付も入荷次第適宜となるだろう。
 ワクチン接種後すぐに十分な免疫が得られるわけではない。ぜひ本格的な流行時期よりも2週間以上前、11月前半までには打っておきたいところだが……。
「そもそも自分は新型コロナワクチンもまだ完了していない。10月以降になりそう」という人もいるだろう。その場合、インフルワクチンとの「同時接種」をおすすめしたい。
 1度の受診で複数のワクチン注射を行う同時接種は、日本人にはまだあまりなじみがないかもしれない。新型コロナワクチンに関しても、2月に薬事承認された当時の「同時接種は行わず、接種間隔は13日以上の間隔をおく」という方針のまま、放置されている(第18回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会)。
 だが、2週間も空けなければならないとなると、供給がスムーズでないインフルワクチンの接種機会や最適なタイミングを逃しかねない。そこで同時接種を、というわけだ。
 海外では、同時接種そのものは以前から普通に行われてきた。新型コロナワクチンに関しても、当初こそ様子見だったが、安全性や有効性への影響については問題ないとみられていた。
 そして今年5月、米国CDCは「新型コロナワクチンと他のワクチンは、タイミングを問わず接種してよい」と、同時接種を解禁。7月には英国NHS(国民保険サービス)も基本的に同じ方針を示している。
 私も日々、診療の中で、さまざまなワクチンの組み合わせの同時接種を行っている。新型コロナワクチンとインフルワクチンについても、科学的に合理性があれば同時接種を行うつもりでいる。
「ウイルス干渉」で同時流行の
可能性が低下する説は本当か?
 昨季に新型コロナとインフルの同時流行が起きなかった背景としては、もう一つ、「ウイルス干渉」についても指摘されている。
 ウイルス干渉とは、ざっくりいえば「あるウイルスが流行すると、似たような病気のウイルスは流行できない」という現象だ。宿主を早い者勝ちで奪い合うようなイメージだろう。
 実際、昨年『The Lancet』誌に発表された研究では、年間を通して風邪を引き起こすライノウイルスの感染が冬場だけ減り、その間にインフルエンザが流行することが、2016~2019年の臨床データ分析から示された。
 細胞レベルの実験も行われ、ライノウイルスに感染した細胞は免疫活動が高まり、インフルエンザウイルスへの感染から免れることも分かった。
 ではこの冬、人々がワクチンを積極的に打たなくても、新型コロナのウイルス干渉によってインフル流行が抑えられるのだろうか。
 それはあまりに楽観的だと私は考えている。「ウイルス干渉」は万能ではない。一人でインフルと新型コロナをいっぺんにしょい込む「同時感染」の報告もあるくらいだ。
 ウイルス干渉の詳しいメカニズムは明らかになっていない。おそらく、インフルによっても免疫が十分に活性化されていない細胞では、新型コロナ感染は起きるのだろう。
 そもそもインフルエンザウイルスと新型コロナウイルスでは、感染のとっかかりとなるタンパク質(スパイクタンパク)の種類が違うし、それらが取りつくヒト側の“入り口”(受容体)の種類も違うため、感染が起きる細胞にも違いが出てくる。
 インフルの入り口は気道粘膜の細胞上に多く存在し、呼吸器症状が顕著だ。一方で、新型コロナでは気道や肺以外にも、消化管や腎臓、目、脳など、さまざまな器官・臓器の細胞上に存在して、より多様な症状や合併症が現れる。
 新型コロナは感染の突破口が多い。インフル感染で全身の免疫活動が盛んになったとしても、果たして守り切れるか――。そこまで期待できる根拠はない。
「ウイルス干渉」の可能性は否定できないが、不確かで不十分な“神風”を期待するようなものだ。まずは科学の蓄積の上に開発されたワクチンをもっと信頼し、その効果を適切に得られるよう行動すべきだろう。
(監修/ナビタスクリニック理事長、医師 久住英二)
◎久住英二(くすみ・えいじ)
ナビタスクリニック理事長、内科医師。専門は血液専門医、旅行医学(Certificate of knowledge, the International Society of Travel Medicine)。1999年新潟大学医学部卒業。2008年JR立川駅の駅ナカにナビタスクリニック立川を開設。働く人が医療を受けやすいよう、駅ナカ立地で夜9時まで診療するクリニックを川崎駅、新宿駅にも展開。



コメントを投稿