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ワクチン陰謀説を信じる人を強く煽る恐怖の正体

2021-08-02 13:30:00 | 日記

下記の記事は東洋経済オンラインからの借用(コピー)です


諸外国に比べて出遅れが目立っていた、日本の新型コロナウイルスワクチン接種。菅義偉首相は「1日100万回接種」を目標に掲げ、自衛隊運営の大規模接種センターもスタートした。少しずつペースは上がってきているようにも見えるが、必要な人に行き渡るまでにはまだまだ相当な時間を要する見込みだ。
そのコロナワクチンをめぐる不穏な動きが一部で見受けられる。ワクチンが人口削減のため生物兵器だとする陰謀論や、ワクチンがヒトDNAを改変するといったデマの流布である。パンデミックの初期にコロナによる健康被害や死亡率、あるいは治療や予防に関する誤った情報が拡散され、多くの人々の恐怖心を煽ったのとまったく同様に、今後の感染症対策全般において悪影響を与えかねない。
ワクチンめぐる陰謀論やデマに深入りする人も
ソーシャルメディア上では、「コロナワクチンを接種すると5GやBluetoothに接続される」という説がまことしやかに取り沙汰され、「コロナワクチンは秘密結社が世界支配と人類削減を進める手段だ」と固く信じている人もいる。YouTubeやTikTokなどの動画コンテンツを目にしたことをきっかけに深入りするパターンが目立つ。インフルエンサーが誘導している例も多い。
ある自民党の地方議員は、「ワクチンは殺人兵器」「打つと5年以内に死ぬ」などと主張。自身のフェイスブックでそもそもコロナは「架空のもので、真犯人は『インフルエンザ』や、電子レンジに近い周波数の移動通信システム、携帯電話で使う電波の『5G』」だと断定している。投稿には毎回数百のリアクションが付き、広範囲にシェアされている。
すでに欧米では、パンデミックの初期の時点でこのような「コロナは存在しない」といった認識をコロナ否認主義(COVID-19 denialism)と呼び、ソーシャルメディアを介して感染症対策の弱体化を目論む情報戦の一種とみて、公衆衛生上の危機を助長する恐れがあるとして注意を促していた。
コロナ否認主義の立場からすれば、「存在しないウイルスのためのワクチン」と捉えるしかないのだから、「何が入っているかわかったものではない」となる。それゆえマイクロチップなど(わたしたちの生命を脅かすと思われる諸々の物質)の埋め込みなどがありうると想像され、マイクロソフトの共同創業者のビル・ゲイツなどが黒幕とされてしまうのである。
ここまで極端なものではないが、コロナワクチンに対する不信感を募らせるフェイクニュースも大量に出回っている。
ワクチン接種によって不妊症になるというのがその1つだ。AFP通信は5月16日に、「新型コロナウイルスのワクチンをめぐり、不妊症を引き起こす恐れがあるとの偽情報がオンラインで拡散している」とし、「アメリカでは接種をためらう人も出ており、専門家らはこうした恐怖をあおる主張は事実無根だと説いている」と報じた。
フェイスブックで出回っている最もひどい偽情報の中には、「ワクチンを接種してない女性が接種済みの男性との性交渉により不妊症になる」「接種を受けた人の97%が不妊症になる」といったものまであったとしている(「ワクチンで不妊症に」 偽情報が拡散、集団免疫獲得の脅威に アメリカ/2021年5月16日/AFP)。アメリカ産科婦人科学会やアメリカ生殖医学会などが共同声明で「ワクチンが生殖能力の喪失につながりうるとの証拠はない」と発表したという。日本でもソーシャルメディアを中心に話題になり、日本産科婦人科学会などが似たような文書を出している。
接種と死亡例との根拠のない関連付けも
加えて、ワクチン有害説へと傾倒しかねない接種と死亡例との根拠のない関連付けなども横行している。しかもこれはかなり意図的であるという。
4月28日に欧州連合(EU)が公表した報告書によれば、今年の初めから、とりわけ西側諸国が開発したコロナワクチンを標的に、偽情報を流すキャンペーンが激化したとしている。ロシアと中国のメディアが西側諸国のワクチンに対する不信感を植え付けることを狙って偽情報を流しているとの分析を示した(EEAS SPECIAL REPORT UPDATE: Short Assessment of Narratives and Disinformation Around the COVID-19 Pandemic (UPDATE DECEMBER 2020 - APRIL 2021) - EU vs DISINFORMATION)。
重篤な副反応であるアナフィラキシーショックの事例を扇情的に取り上げ、血栓症などの「ワクチンの副作用の可能性を選択的に強調し、文脈情報や進行中の研究を無視」して報じているとしている。要するに、自国のワクチン外交を有利にするための戦略だというのだ。
以上を簡潔にまとめると、①陰謀論、②デマ、③誇張された情報(一部事実を含む)があり、場合によってはこれらが複雑に絡み合っている。そして、少なくない人々がいわばネット情報が真実を語っていると思い込み、フェイクという霧に覆われた陰謀論の森へと分け入っていくのである。
心理的な背景としては、過剰接続の時代において悲観的な情報を追い続ける「ドゥームスクローリング」の日常化と、すべてが自己責任へと転嫁される新自由主義的な価値規範が浸透したことによる「健康不安」の深刻化が挙げられるだろう。
過剰接続の時代とは、スマートフォンの普及と生活環境への定着に伴い、自らの気分や感情そのものを養分にした情報摂取の常態化を意味する。その傾向はコロナ禍で孤立や孤独感が強まることによってますます拍車が掛かっている。
常に悲観的、逆に楽観的な情報ばかりを追う人も
あらゆる薬や治療がそうであるように、ワクチンもリスクがゼロということはありえない。しかし、稀な事例にフォーカスするのを止められなくなる。健康診断の結果、要精密検査となったり、軽い頭痛、または胃痛がしたりするなどといった異変をきっかけに、ネットを検索して「自分は重大な疾患にかかっているのではないだろうか」と思い詰めることは珍しくないことだが、これが公衆衛生政策のレベルにおける健康不安にまで拡張されたと考えればわかりやすいかもしれない。
次から次へとコロナワクチンに関する悲観的な情報ばかりを漁り続けるドゥームスクローリングはその最たるものだが、他方で、逆に楽観的な情報ばかりを漁り続けるパターンもありうる。去年の2月頃に出回った「ウイルスは耐熱性がなく26〜27度のお湯をたくさん飲めば予防できる」というチェーンメールに代表される予防法に関するデマが度々蔓延したのがそれだ。
先日、筆者の知り合いからコロナワクチンが生物兵器だと言って接種を拒否している70代の父親の話を聞いたが、以前はウイルスは乳酸菌で殺せるから毎日ヨーグルトを食べろと力説していたというから、これは恐らく偶然ではない。まさに本人のネガティブな気分や感情が磁力となって、それらの欲求を満たす情報の断片を吸い上げていくのである。
もう1つの健康不安は、近年増大している健康志向と一体化したものだ。
かつて社会学者のジグムント・バウマンは、安心感が得られる仕事や人間関係の寿命が個人の人生よりもはるかに短くなった時代状況に触れ、「明日会うのが確実なのは、自分自身の身体だけかもしれない」と評した(『リキッド・モダニティ 液状化する社会』森田典正訳、大月書店)。
つまり、極めてセンシティブで気が滅入るような健康不安の深層には、孤立無援に感じられる寄る辺なさと社会的承認を失うことへの恐れがあるというのである。現代の過酷な生存競争のジャングルにおいて、病者のカテゴリーに振り分けられていないこと、健康でいることが唯一頼りにできる身分証明書となっているからだ。
不健康になることは個人の怠慢?
これは昨今健康であることの重要性が巨大化するヘルスケア産業だけでなく、国家ぐるみで盛んに取り扱われていることと無関係ではない。自己責任論の流行に象徴される新自由主義的な規範の内実とは、健康に関していえば、「健康でいることは個人の義務だが、不健康になることは個人の怠慢だ」という暗黙のメッセージにある。コロナに罹患して後遺症のために働けなくなった人々は、多かれ少なかれこのような理不尽に直面せざるをえなかった。
これは賃金の低下や非正規労働の拡大などといった不安定な境遇への転落が本人のせいとされるのと同様、万が一ワクチンによる健康被害が発生した場合も泣き寝入りしなければならないのではないか、という疑念を抱かせるには十分といえる。
例えば、mRNAワクチンがヒトDNAを改変するという不可逆的変化の恐怖を煽る偽情報を支えているリアリティとは、外部からもたらされる未知のリスクによって回復不能なダメージを被ることへの警戒心と恐れなのである。ここにおいてドゥームスクローリングは、健康被害の実態を追求する方向で作用するかもしれない。陰謀論を信じていなくともワクチン忌避を補強する心性が育まれてしまっている面もあるのだ。
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昨年10月にイギリス誌『Nature Medicine』に掲載された国際調査で、国民のワクチン接種の許容度が政府への信頼度と相関するという結果が明らかになったが、このことが日本でも悪い形で表れることが懸念されるといえるかもしれない。
情報発信の仕方を含めたワクチンに関する適切なリスクコミュニケーションはもちろん不可欠ではあるが、中長期的にはここ10年、20年でさらに加速したリスクの個人化、何らかのトラブルや不手際によって突然社会的な地位が奪われ、いとも簡単に見捨てられてしまうことへの不安にこそ目を向けなければならないのではないか。
真鍋 厚 : 評論家、著述家


下記の記事は文春オンラインからの借用(コピー)です

「コロナはエボラとエイズを混ぜた人工ウイルス」タマホーム社長の社内向け動画

東証一部上場の大手住宅メーカー、タマホーム(本社・東京都港区)の玉木伸弥社長(42)が、社内向けに配信するビデオレターで新型コロナに関して不正確な情報を発信していることが「週刊文春」の取材で分かった。
 先週号の「週刊文春」では、玉木氏が「ワクチンを打ったら5年で死ぬ」などと発言、ワクチンを打った社員には無期限の自宅待機が命じられ、その間は社用パソコンへのログインなども禁じられて仕事ができなくなる、事実上の“ワクチン禁止令”が出されていると報じた。社内動画「タマちゃんTV」で「大丈夫、大丈夫」と繰り返す玉木氏
 当該記事についてタマホームは7月22日付けで「事実と異なる内容が含まれており(略)誤った印象を与える」とするリリースを公表。だがその後も、複数の同社社員から情報提供が相次いだ。そのうちの一人、社員のA氏より、「ネット上の真偽不明な説に飛びついてはコロナについて不可解なアドバイスを連発する社長の実態を伝えたい」と、社内動画「タマちゃんTV」が提供された。
 例えば昨年2月の動画では、玉木氏はこう語っている。
ある学者さんから聞いた話ですが、新型コロナウイルスはマイコプラズマの菌に、エボラとHIV、いわゆるエイズですね、エイズの菌を混ぜて作ったウイルスだと言われております
 また昨年4月の動画では、こう語っている。
「コロナになったら死ぬんじゃないか」とかですね、不安になっていると思います。そういう時どうすればいいか。秘密の言葉を、こっそりと教えたいと思います。それは「大丈夫、大丈夫」ということです。「大丈夫、大丈夫」。心の中とか、自分に向かって、家族に向かって、『大丈夫、大丈夫。大丈夫、大丈夫。大丈夫、大丈夫』と言うと、本当に大丈夫になってきます
 他にも、「人づくり部」(人事部署)が昨年、社内メールで社員に対してこう呼びかけている。
「コロナは耐熱性に乏しく、26―27度の温度で殺傷」
コロナウィルスは非常に熱に弱いことがわかりました。耐熱性に乏しく、26―27度の温度で殺傷します。(略)外出時も暖かいお茶などをポットで持ち歩いて飲んで下さい。※ポットを持って出かけられない時は、出先で熱いお湯や白湯を調達して頻繁に飲むようにしてください
「そんなわけないだろ~と脱力しました。玉木社長はこうした説を突然言い出すのが常ですが、それに意見したり諫める社員は子会社に異動させるなど“排除”される、ともっぱらの評判です。実際に異動した社員がいるので、理由は不明でも、みんな疑心暗鬼になる。その結果、幹部はイエスマンばかりになり、社長の思い付きが誰にも止められることなく下におりてきます」(社員のB氏) 
 こうした情報について、医師で医療ジャーナリストの森田豊氏が指摘する。
「新型コロナウイルスは、SARSなどと同様、エイズウイルスのたんぱく質の配列と似ている点はあるが、構造上、エボラウイルスやマイコプラズマとはまったく無縁です。また『大丈夫、大丈夫』と気持ちを前向きにすること自体は悪いことではありませんが、過度に楽観的に考えてしまうことで、悪化の兆候を見逃したり、他人に感染させてしまう行動につながる危険性もある。ウイルスが熱に弱いことは事実で、80度の熱水に1分間さらすことでウイルスを死滅させることができます。しかし、26~27度では意味がありません。この温度で殺傷できるなら、人の細胞に入った途端に体温で死滅することになります。
 社長の発言は、全体的に科学的根拠に乏しく、鵜呑みにしては危うい事態につながりかねない情報が含まれています。優越的な立場にある社長が、自社社員に対してこうした発信を断定的に行うのは軽率で危険です」社長には最大限の敬語を使う社内文書
 タマホームに「タマちゃんTV」の内容などについて尋ねたが回答はなかった。
 7月28日(水)16時配信の「週刊文春 電子版」および29日(木)発売の「週刊文春」では、本社の役職者がワクチン接種後は「出社できない」と社員に説明している音声、タマホーム社内で飲み会や国内旅行が推奨されている実態、玉木社長に過剰な敬語を使う社内資料の存在などを報じている。



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