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森元首相も受ける人工透析 日本で増え続けるのはなぜ?

2021-07-29 13:30:00 | 日記

下記の記事はヨミドクターオンラインからの借用(コピー)です

「女性 蔑視べっし 発言」が原因で森喜朗・元首相(83)が東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の会長を辞任しました。この騒動は約2週間続きましたが、私が驚いたのは、騒動そのものではありませんでした。この間、森氏が元気で、言動に乱れがなく、かくしゃくとされていたことです。「逆ギレ会見」と言われた会見では、森氏は1人で立ったまま30分以上も記者の質問に答えていました。あの姿を見て私は、正直、とても透析患者とは言えないと思ったのです。
前立腺がん、肺がん、透析…それでも働いた
 森氏ががんを患ってきたのは、これまでの報道により、よく知られています。最初は前立腺がんで、これは2000年に見つかりました。当初、森氏は手術をせずにホルモン療法を中心に治療し、その後に摘出手術をされたと聞きます。
 そして2015年には、今度は肺がんが見つかり、このときは手術を受けた後、当時、実用化されたばかりの抗がん剤「オプジーボ」による治療を受けています。副作用で肺に水がたまり、呼吸が苦しかったと本人が述べています。
 そして、2019年2月から、森氏は人工透析を受けるようになりました。このことは、本人が新聞インタビューで公表し、週3回、透析のために病院に通っていると話しています。
 森氏の人工透析が、がんの副作用なのかどうかはわかりませんが、腎機能が低下していることは確かです。腎機能は年を取るとともに低下するもので、ある限度を超えると人工透析が必要になります。糖尿病が悪化した場合も同じです。ただし、人工透析というのは、一種の「延命治療」です。なぜなら、いったん始めたらやめられないからです。止めれば、患者さんは確実に死亡します。
人工透析は患者にとって非常につらいもの
 しかも、人工透析は、患者さんにとって非常につらいものです。腕などに、動脈と静脈をつなげるシャント手術を行い、この手術で太くなった静脈に針を刺し、そこから1分間に200cc程度の血液を抜きます。その血液を、老廃物を取り除くダイアライザーという機械を通して透析し、再び体の中に戻します。これを週3回、1回3~5時間行います。
  患者さんによっては、かなり強い血管痛や頭痛を起こします。また、心不全や感染症のリスクも高まります。いずれにしても、いったん始めれば、もうそれまでの日常生活には戻れないのです。
腎不全の危険がある糖尿病だが、透析は受けないと決めた
 私は現在、73歳で糖尿病を患い、血糖値を下げる薬を服用し、食事療法も行っています。いずれ腎臓の機能が低下する時が間違いなく来ると覚悟をしています。問題はそれがいつ来るのかですが、平均寿命を超えるような高齢で来たのなら、私はその時を自分の寿命と考える、つまり人工透析はやらないと決めています。
 若い時は別として、透析が苦痛になって途中でやめると、さらに苦しんで死を迎えるからです。水分が一気にたまり、全身に痛みが回り、のたうち回ったりします。
透析を拒否した先輩医師の死
 私の先輩に、断固、透析を拒否した方がいます。87歳で亡くなられましたが、進行がゆっくりだったため、穏やかな死に方でした。腎機能の指標であるクレアチニン値が限界を超えたとき、家族から、なんとか説得して透析を受けさせてくださいと頼まれましたが、私はできませんでした。本人の意思が固かったからです。
 様々な延命治療を続けると、最終的に体は水ぶくれで太っていき、ご遺体は丸太のように膨らみます。そういうことにならず、きれいなご遺体だったと聞きました。
 私も担当医も本人の意思を尊重したのです。
人工透析は病院の安定収入源
  話はややそれますが、腎不全で人工透析が必要になった場合、それを積極的に勧めるのは、日本の医者だけです。日本の人工透析患者は年々増加していて、現在、33万人を超えています。患者に医療費があまりかからない制度があるからです。医療費としては月40万円ほどかかる高額な治療なのですが、患者負担は1万~2万円で済みます。また、身体障害者1級を申請すれば、様々なサポートがあります。一方、医療機関から言えば、透析患者がいれば逃げることのない安定収入が確保できるのです。
 しかし、人工透析は腎不全に対する最良の治療法ではありません。欧米では透析は腎臓移植へのつなぎ医療という位置付けです。日本では、ドナーが少なく、多くが家族からの生体腎移植なので移植が広がらず、透析患者が増える一方なのです。
受けるかどうか、本人が納得の上で決める
  日本透析医学会はガイドラインを定めています。医者は、透析をした場合としなかった場合どうなるかを患者さんと家族に詳しく説明するよう示しています。そうして、本人が納得した上で行うことになっています。「する」のか「しない」のか、医者に詳しい説明を求めてから決めるべきです。
 ただ、終末期になると、多くの医者は自動的に透析を行います。とくに患者さんが認知症を発症している場合は、本人の意思を確かめようがありませんから、人工透析も含めた延命治療は家族が止めない限り延々と続くのです。今は、延命治療に関して、「人生会議」で本人、ご家族と医者が、事前に十分話し合うことが勧められているので、透析を行うかどうかは、最終的に本人の意思次第です。(富家孝 医師)
富家 孝(ふけ・たかし)
医師、ジャーナリスト。医師の紹介などを手がける「ラ・クイリマ」代表取締役。1947年、大阪府生まれ。東京慈恵会医大卒。



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