最近 20年で糖尿病性ポリニューロパチーは減少している
Diabetes Care 2023. https://doi.org/10.2337/dc23-0312
研究の概要
https://ada.silverchair-cdn.com/ada/content_public/journal/care/pap/10.2337_dc23-0312/1/dc230312gf0ga.png?Expires=1697668043&Signature=P3iDEXlVz1pstQ4y0u2WHFlToZ2SgB1Gr7vFuP4o4FL-Q7RicnS8Kav84FPa9taiLBZYP34ywLc6Gtzl5-dG8SP~ynJKV2jwhIrz0u~cRjL8iIku1k5ETfDyFCOIdhvxvnn3xkArim4awwID1s6DNfKI45ht~ijYtxQUUKi8p7YEkcFaMSlVDzo77c9IhtONJ4RkdmqfLBSI94aqF-RaeK6KyYGTzCc3qguqBUWH1vFyksjlqf2Y4QG9NVypgGwboxV1jZdQmyN80VRCZnBR-P8Hq7Ziv5wECXVgHN07roK3HWS-w4UBELG0n8N1JLR~KpWPkdoGmdzsgMAAzj9i7A__&Key-Pair-Id=APKAIE5G5CRDK6RD3PGA
目的
糖尿病遠位対称性多発神経炎(diabetic distal symmetric polyneuropathy: DSPN)の罹患率が他の糖尿病合併症と同様に減少しているかどうかは不明である。本研究は大規模な集団ベースの研究において、1 型糖尿病および 2 型糖尿病におけるDSPN の罹患率を調べた。
方法
1996 年から 2018 年の期間に、デンマークの 3 次糖尿病センターを受診した 19,342 人を対象とした。
振動知覚閾値はバイオテシオメトリー (biothesiometry) により評価した。
バイオテシオメトリ-
https://en.m.wikipedia.org/wiki/Biothesiometry
DSPN の診断には、1. 一律に 25 V 以上をカットオフ値として用いた場合と、2. 年齢·性別·身長特異的なカットオフ値を用いた場合とがあり、解析対象となったのはそれぞれ 9,473人、2,783人だった。
ポアソン回帰分析を用いて、上記 2 つのカットオフ値別および糖尿病の型 ( 1型か 2 型か) 別 にDSPN の発生率をモデル化した。共変量は性別、年齢、糖尿病罹病期間、診断時の暦年数とした。
結果
DSPN の罹患率 (95%信頼区間)は 1996 年から 2018 年にかけて減少した。
例えば1 型糖尿病の 40 歳男性では、4.78 (3.60-6.33) /100 人·年から1.15 (0.91-1.47) /100 人·年に低下した。また、2 型糖尿病の 60 歳男性では 16.54 (11.80-23.18) /100人·年から 8.02 (6.63-9.69) /100 人·年に低下した (いずれもカットオフ値は >25 V を用いた場合) 。
年齢、性別、身長別のカットオフ値を用いた解析では、性差はみられなかったが、診断時の暦年が下るにつれて DSPN の頻度が下がるパターンが確認された。1 型糖尿病では、年齢が高くなるにつれて罹患率の低下がみられた。
結論
1 型糖尿病および 2 型糖尿病における DSPN の罹患率は、おそらく糖尿病治療の改善により低下している。1 型糖尿病では ( 2 型糖尿病と異なり)加齢によって DSPN の頻度が低くなることからは、DSPN の病態生理が糖尿病型によって異なる可能性が考えられる。
https://diabetesjournals.org/care/article-abstract/doi/10.2337/dc23-0312/153560/Declining-Incidence-Rates-of-Distal-Symmetric?redirectedFrom=fulltext