内分泌代謝内科 備忘録

無症候性細菌尿に対する不要な抗菌薬投与を防ぐためには


無症候性細菌尿に対する不要な抗菌薬投与を防ぐためには
JAMA Intern Med 2023; 183: 933-941.
10.1001/jamainternmed.2023.2749

背景
無症候性細菌尿(asymptomatic bacteriuria: ASB)の入院患者は不必要な抗生物質治療を受けることが多く、抗生物質耐性や有害事象を増加させている。


目的
不必要な尿培養を避けることと、不必要な培養後の不必要な抗菌薬治療を減らすことのどちらが、 ASB に対する抗菌薬使用を減らす上でより良い転帰と関連するかを明らかにすること。


方法
共同質改善イニシアチブであるミシガン病院医療安全コンソーシアムに参加している 46 病院の尿培養陽性の入院一般内科患者を対象として前向き観察研究 (観察期間: 3 年) を行った。2017 年 7 月 1 日から 2020 年 3 月 31 日までデータを収集し、2022 年 2 月から 10 月まで分析した。


結果
尿培養陽性患者 14,572例(年齢中央値[四分位範囲]:75.8[64.2-85.1]歳、女性 70.5%)のうち、28.4%(n = 4134)が ASB だった。このうち 76.8%(n = 3175)に抗菌薬が投与された。

研究期間中、抗菌薬による治療を受けた患者のうち ASB 患者の割合は、29.1%(95%信頼区間: 26.2-32.2%)から 17.1%(95%信頼区間: 14.3-20.2%)に減少した。

尿培養陽性患者のうち ASB の割合は、34.1%(95%信頼区間: 31.0-37.3%)から 22.5%(95%信頼区間: 19.7%-25.6%)に減少した。

一方、抗菌薬を投与された ASB 患者の割合は、82.0%(95%信頼区間: 77.7-85.6%)から 76.3%(95%信頼区間: 68.5-82.6%)と横ばいだった。

図: 尿路感染症、抗菌薬を投与された ASB、抗菌薬を投与されなかった ASB の割合の経時的変化
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調整後の平均抗菌薬投与期間は 6.38(95%信頼区間: 6.00-6.78)日から 5.93(95%信頼区間: 5.54-6.35)日と変わらなかった。


結論
ASB に関連する抗菌薬の使用量の低下は不要な尿培養の減少と関連していた。病院は ASB に対する抗菌薬投与を減らすために、不要な尿培養を減らすことを優先すべきである。


所感
無症候性細菌尿に対して特に意味もなく尿培養を提出すれば、特に意味もなく抗菌薬を投与したくなるのが人情

https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2806966?guestAccessKey=1d1ef79d-fa24-4a3e-8d3b-733b249e8aab&utm_source=twitter&utm_medium=social_jamaim&utm_term=11254214178&utm_campaign=article_alert&linkId=233346513
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