そうと決まれば、気分の切り替えが早いのが、粋でいなせな魚屋家業である。ちょうど国道にもどったあたりに、「黒潮温泉-龍馬の湯」とあるではないか。なにやら真新しい設備で大きなホテルに隣接している。ちょっとスーパー銭湯とは訳が違う様子ではある。こういう場合は、必ず私が偵察に行かされる。なにせ小汚いかっこうをしているので、小さくなりながら玄関をくぐる、ううああ、大人一名様八百円と来た。すぐさま取って返し . . . 本文を読む
寝不足である。私以外は早くから目を覚まし、なにやらかにやら、朝の定例行為をすませたようだが、私はといえば8時までは頑張って寝たものの、それ以降は急上昇する真夏の気温に邪魔され寝られない。珍しく鬼嫁が気をきかせ、トイメンにあるコインランドリーで洗濯を済ませていた。夏場は洗濯物が少なく、薄手なので乾きやすいので助かる。カーナビに5つ程、お寺を入力して、さあて、今日もいい天気、きばって寺廻りだぜよ。 . . . 本文を読む
竹林寺から次のお寺、第三十二番札所禅師峯寺(せんしぶじ)までは、社会科の時間に習った「二期作」とか「二毛作」とかを思い出してしまう南国の亜熱帯田園風景だ。高知は海に山に川、いずれもスケールのでかい豊かな自然環境だ。おそらく他のどの県よりも第一次産業の比率が高いのではあるまいか。産業も2次3次と、順位がずれるにつれ胡散臭くなっていく。その点、農林水産業は金メダルやなぁ。 ここのお寺も、小高い丘の上 . . . 本文を読む
目が覚めてみれば、バタンコ88号の窓には水滴が垂れている。外は小雨模様だ。車外に出てみる。気になるほどの雨ではない、白くけむる土佐湾が少し淋しげである。めぼしい食料は昨夜の夕食で平らげてしまった。カップ麺はあるがお湯がない。朝食はお参りを済ませてからにしよう。 8時頃には、雨もやみ、雲間から薄く陽が差してきた。お寺の駐車場にバタンコ88号を待機させ、いざ出陣。ジジジジリジジジとセミが鳴き始める。 . . . 本文を読む
菓子パンで軽く昼食を済ませる。次の第三十八番札所金剛福寺までは、全区間中最長であると聞いたので、本日の参拝はあきらめる。四万十川に沿って、大正町に寄り道する事にした。ここで長いこと心に引っ掛かっていた光景を確認するためだ。 前にも書いたが、若い頃、自転車でふらふら旅行していた頃。高知駅近くの、ユースホステルに宿泊した。この手の宿には夕食後にミーティングと称して、宿泊者同士で親睦をはかる時間がある . . . 本文を読む
長かった土佐路も今日で終わりにしたい。朝食もそこそこに、亜熱帯植物の茂る細い道を足摺岬へと急ぐ。こんな時に限り、子供は自然現象を起こす。幼子と旅をしていれば、排泄問題はついてまわる。下痢気味の留吉のうんちが洩れそうなのだ。近辺にトイレはなさそうだし、道は狭くワゴン車では止めづらい。非常手段にでる。鬼嫁が百円携帯トイレを息子の肛門あてがう。留吉が力んだその時、カーブで車が揺れた。あわれ鬼嫁は、留吉 . . . 本文を読む
愛媛県に入って、最初のお寺、第四十番札所観自在寺には5時前に到着した。すばやく納経を済まし、ご朱印を頂く。本堂前には「弘法大師御自作の御宝印守を是非お受け下さい」とある。近くにいたお遍路さんに何の事か尋ねてみると、お寺の発行しているパンフレットを渡してくれた。それによれば、 弘法大師は山中で修行をしていたおり、1本の霊木を見つけた。大師はこの木で本尊に薬師如来、脇仏に阿弥陀如来と十一面観世音を一 . . . 本文を読む
目覚めてみれば、雨模様で、風も出ている。携帯電話のウェブで、天気をチェックしてみる。台風が近づいている様子だ。果たして、今日は如何したものか?困った時の巫女頼みで、車御殿に朝のご挨拶かたがた伺うことに・・・ すると、車内では、朝食に焼く魚を、さばくのに難儀されている。ここは出番とばかりに鯵を開き、ついでに焼いて差し上げた。ならば、昨日〆た鯛もあると言われ、みれば食べごろだ。すぐさま刺身に引き、潮 . . . 本文を読む
ものの十分も走らないうちに、バタンコ88号は第四十二番札所佛木寺(ぶつもくじ)に到着。境内には、七福神の石像がそれぞれ一体ずつ祭られており、和やかな雰囲気を醸していた。 家畜堂なるお堂がり、仏木寺は牛馬家畜の守護仏として知られている。農耕にお世話になった、動物霊をも供養しているのだ。森羅万象すべてに、神仏を観て取る、かっての日本人の心情の表われだろうか。最近ではペットの供養に来る人も多いらしい。 . . . 本文を読む
雨音よりも、お泊り車のエンジン音の方が耳を突いて、眠りを破られる。雨は小降りになっている。ほとんどの自動車が、エンジンをかけたまま、エアコンを効かしてやすんでいる。なんとも、貧乏人ほど、環境問題には疎い。それはそうだ、金持ちは野宿などする必要もなく、ホテルに泊まればすむことだ。やぶさかな事を言うようだが、発展途上国が京都議定書に抵抗する事情はそれなりにあるものだ。 「ならば地球環境はどうなっても . . . 本文を読む
海抜七百十メートルの三坂峠から松山平野へ、バタンコ88号は、果てしなく長く下るジェットコースターさながらであった。降りきれば、道端には、色とりどりの看板が出迎えてくている。都会は人口密度が濃い。雑種多用な人々が蠢く。生活の臭いでムンムンしている。 八十八カ所中、ようやく半分を超えた。距離的には七割方走り終えている。ここからは、札所のお寺はほぼ数珠繋ぎになり、穏やかな瀬戸内海南岸のドライブとなる。第 . . . 本文を読む
第五十番札所繁多寺(はんたじ)は、大きな池の脇道を進み山門へと入っていく。松山城を中心とした市街地が一望でき、夏の終わりの陽炎が、やけにけだるい。道中、周囲に貯水池を多く見かけた。ここは、水不足に悩むお土地柄でもある。以前、テレビのニュースで、家庭用食器洗浄機を購入した松山市民には、市から50%程補助がでるとか、放送していたのを思い出す。お寺は、とても渇水の地とは思えないほど、各種、樹木が緑の鮮や . . . 本文を読む
本日は朝から快晴なり。長距離フェリーに乗船するトラックが、あわただしく黒煙を巻き上げている。早めに退散し、コンビ二で朝食を済ます。第五十二番札所太山寺は、太山寺町にある。名前がそのまま町名になるほど、存在感がある巨刹。 境内までの道は、照葉樹がアーチ状に枝をのばし、早朝の空気を、いっそう爽やかに演出してくれている。納経所が開く時間まで、広い寺域を散策してみた。大師堂の近く、真上に穴の開いた変わっ . . . 本文を読む
ものの5分も走れば、第五十七番札所栄福寺。ここから、山道を15分ほど、九十九折の細道を這い上がれば、五十八番さんの仙遊寺。この山寺からの瀬戸内海の眺望は最高である。む、陽の差し加減が違う。広島側からでは南からの、アゲインストの陽射しで、海面はきらめきがきつい。四国からは海にフォローの陽光が差す。当然、ここから見たほうが、この大きな内海は目に優しい風景となる。人々の顔も柔和な感じがするは、単なる偶然 . . . 本文を読む
昨夜は、松山自動車道に、併設された道の駅で一夜を過ごした。さあ、残る旅路もあとわずか。粋でいなせな魚屋家業が身上の私である、気持ちも新たに、今日も張り切って、滝でなく、寺を目指そう。 順番では、横峰寺さんなのだが、地図で見れば超山奥にある。先に平地に、まとまってある三つの札所を参拝することにした。 まずは、第六十一番香園寺だ。なんと、広々とした駐車場に、宇和で世話になった、巫女さんのキャンピング . . . 本文を読む