まったく新しい手法で石窯造りを行いました。
特徴は、組み立て作業時に一切耐火セメントを使っておらず、基礎となる単管パイプが中板の焼床を支え、周りに耐火レンガを積み重ねる構造が特徴です。
写真は大分炭で黒くなっていますが畑で使用している石窯です。
造りたてはこんな感じです。基礎となるブロックと単管パイプは土に埋めていますが、その他は単に置いて積み重ねているだけとなっています。
【特徴】
本石窯の特徴を記述します。
・耐火セメントを組み立て時に使用しないため移動も可能
・単管パイプを基礎として使用しているため燃焼室、焼床の空間が広く取れる
・耐火レンガを積み重ねているだけの構造
・中板と天板そして側板は木枠により耐火セメントで作成
【経緯】
単管パイプを基礎として使った経緯を記述します。
耐火セメントを使って耐火レンガを積み重ねたところ……
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セメントとレンガがくっつかない????
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物理的に平らな表面のレンガにセメントは浸透しないのでセメントは接着の役目をしないと納得!
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ネットに出ているアーチ状石窯は何故出来るのか不思議ですが…… 接着しない現実をまのあたりにしているので諦める。(ご近所の工務店の方に見てもらいましたが「これは無理!」と言われました)
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耐火セメントを使用しない方式の石窯造りをネットで検索
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これといった魅力的な物がなく自分で考える!
【調理品の実績】
石窯を1時間以上空だきする必要がありますが、ピザだと入れて4分前後で完成します。
・ピザ
・アップルパイ
・パン(鋳物の蓋付き鍋を使用します)
・焼き芋(一斗缶の半分の奴に:半斗缶にさつまいもを入れて30分間入れておけば完成)
・焼き肉(取っ手のないフライパンに味付けした肉の塊を入れてフライパンごと入れておけば完成←油が落ちないようにフライパンにいれています)
2019/6/1に製作し4年目を迎えますが使い心地👍 焼室が広いので焼きむらも気になりません。お勧めの石窯だと思います。
では、目次を書きながら内容をまとめてみます。
------- 目次 ------
1.全体像の説明
(材料)
2.メモ書きで構造寸法の決め方
2.1 基礎寸法の決め方
2.2 耐火レンガの積み方
2.3 中板の寸法の決め方
2.4 天板寸法の決め方
2.5 側板寸法の決め方
3.造り方の詳細説明
3.1 耐火セメント型
3.2 基礎
3.3 単管パイプを基礎
3.4 中板取り付け
3.5 耐火レンガ積み重ね
3.6 天井板取り付け
3.7 側板取り付け
3.8 窓部の開放部調整
3.9 屋根の取り付け
4.使用するに当たって
4.1 火傷をしないために
4.2 空だきについて
4.3 調理品の出し入れについて
4.4 片付けについて
5.調理品について
6.終わりに
それでは、目次に沿って説明します。
1.全体像の説明
先ずどんな物か把握するために一連の製作過程写真を公開します。(タイムプラス)
材料一式
・単管パイプ:4本(長さは任意)
・連結金具:4個(垂木止めの物)
・補強L字金具:2本(無くても可)
・グロック:4個、反サイズ2個
・耐火レンガ:80個、窓の塞ぎ用3個
・耐火セメント:1袋(10kg?)
・型取り木枠用木材:1式
・屋根用資材:1式
2.メモ書きで構造寸法の決め方
2019年当時はブログに書くという行為を想定していなかったので大変汚い走り書きのメモ書きですが公開します。
言い訳ですが、一発勝負で構造を考えながら書いたわりには上手く書けたと思います。
以降、寸法はmm表示です。
2.1 基礎寸法の決め方
基礎にセメントを流し込むようなことは行いません。その代わりに一般的なブロックを大地の上に水平に埋め込んでいます。以下の写真は寸歩を記述した物で、この寸法を基準にして石窯の寸法が決まっています。
・使用した耐火レンガ寸法(227×110×60mm)メーカーによりサイズが異なりますので寸法決めには注意です。
・使用した基礎ブロック寸法(390×190×100)← 家庭の塀に使われているブロックです。
基礎造りの説明です。耐火レンガ寸歩を考慮して基礎寸法を決めます。決めた寸法が下記写真となります。
燃焼室の横幅を454mmとしています。
下記写真が見る角度が違いますが、実物の写真です。
作業注意項目
・長さ300mm以上の水準器を使用して精度良く平面の水平を出します。
1辺毎に水平だしをして、板を載せて全体が水平になっている事を確認します。(板の棒を橋渡しにして、その上に水準器を載せて水平を図っていたようです。)
・ブロックは安定させるために地中に埋めます。耐火性が保証されないため土で熱をカバーする目的もあります。4年使用していますが熱による損傷はありません。
2.2 耐火レンガの積み方
耐火レンガはU字に3個、2個、3個隙間なく並べます。隙間があると熱が逃げるのと、周囲耐火レンガとの熱伝導率が下がります。
2.3 中板の寸法の決め方
奥に熱を上げる隙間を約100mm空けることと、手前に単管パイプの支え部分に載せる出っ張り部分約150mmを考慮して縦方向の寸歩を決めると590mmとなります。
横方向は、側面の耐火レンガとの隙間を無くすため450mmとしています。(横方向から煙と火が上がってこないように耐火レンガと密着させます。)
厚さは40mmです。
従って、木枠の寸法になります。454×590×40
2.4 天板寸法の決め方
天井部分に隙間が出来ない大きさにします。写真を見ると縦、横共に少し長くしても問題なさそうですね!(寸法を大きくするとひび割れしやすくなるので注意です。)
木枠の寸法は、565mm×645mm×40mmです。
2.5 側板寸法の決め方
側板といっても、調理品の出し入れする窓です。
寸法は下記の通りで、厚さは40mmです。
割れることを恐れていましたが、今の所はひび割れひとつしていません。
以上で寸法の説明は終了です。
3.造り方の詳細説明
作成順に説明します。
3.1 耐火セメント型
中板、天板、側板を木枠で造った型に耐火セメントを流し込んで作成します。
(1)垂木30mm×40mmで上記寸歩を元に木枠を造る
(2)コンパネに木枠を載せて耐火セメントを流し込みます。
(3)流し込む量は、厚さを40mmとします。流し込む際に気泡が出来ないように木枠中央から流し込んで耐火セメントを広げる感じが良い。
(4)表面を平らにして乾燥させます。丸一日
注:ひび割れが気になる方は、補強材(金網など)を入れて下さい。
3.2 基礎
2.1項を参照願います。ブロックを敷く前に土を固めて下さい。最後に水を土に掛けて確実に固めます。
3.3 単管パイプを基礎
単管パイプを基礎として4本立てますが
・単管パイプは300mm以上地中に埋めて下さい。
・埋める際に下に薄い平らな石を入れて下さい。単管パイプは空洞なので上から力が掛かると沈んでしまいます。それを防ぐためにパイプの径より大きな石を入れて下さい。パイプの穴を塞ぐ感じです。
・立てる位置は写真を参考にして下さい。
《奥の単管パイプのセット方》》
奥の単管パイプ地上に出る部分の長さは耐火レンガを5段積み重なた面に合わせて下さい。(寸歩メモに記載されていませんでしたね!すみません)
中板保護のために中板と単管パイプの間に薄い平らな石を入れています。今回は石でなく、耐火レンガを連結させようとして失敗した固形耐火セメントを間に入れました。上記写真の耐火レンガに載っている物が該当品です。
そんなこんだで5段目の面に合わせるのは至難の業です。(石の厚さも考慮して5段目に合わせて下さい)
《手前の単管パイプのセット方法》
天板まで出ない長さにして下さい。下記写真参照
連結金具を4個接続します。連結金具は、垂木を載せて固定するタイプの物です。下側の連結金具は、中板を支えるための物です。垂木を支える面と奥の単管パイプのトップが水平になるようにして下さい。それにより、中板の水平が保証されます。耐火レンガ5段目のラインと中板の面が一致するはずです。
以上で中板を支えるトップ4点が水平になっているはずです。
上の連結金具は側板を固定するための物で、垂木を支える面で手前方向に倒れることを防いでいます。
3.4 中板取り付け
単純に支えるポイント4点に載せているだけです。奥の隙間は任意に空けて下さい。約100mmだったかな? 上記写真だと単管パイプの手前面に合わせていますね!沢山出っ張っていても全然問題ありません。むしろ使い勝手が良いかも……
中板は必ず下記のように載せて下さい。
中板を載せる面の話ですが、型枠に流し込んだときのコンパネ側の面を上になるように置くと良いです。何故なら、コンパネ側の面の方が平らなので調理しやすくなります。(置くときは二人作業が良い)
3.5 耐火レンガ積み重ね
10段耐火レンガを積み重ねます。隙間がないように行います。水平がしっかり取られていないと此処で傾きが発生します。
ただ積み重ねるだけで耐火セメントは使いません。地震で傾くのが心配だったのでL字の金具を角に立てています。下記写真参照
3.6 天井板取り付け
天井板もただ上に載せるだけです。二人作業となります。(一人だとソフトランディングが出来ないので耐火レンガ破損するでしょう!!!)
手前の耐火レンガ側面の面に必ず合わせて下さい。側板との隙間を無くすためです。
耐火レンガとの隙間が出来ないように、木枠で固めた際コンパネ側の面を下に向けた方が良いと思います。
調理中にやかんを載せてお湯が沸かしています。熱くなるので物を上に置かないこと!
現在ひび割れが1本ありますので、上から負荷を掛けないようにして下さい。後は補強材を入れるとか……
3.7 側板取り付け
側板は中板の面に載せて、かつ耐火レンガ側面にぴったりとくっつけて隙間を無くして下さい。勿論、天井板の辺とも隙間がないはずです。
その状態で、連結金具で押さえ込めば完成です。
3.8 窓部の開放部調整
側板の窓部の面積が大きいため
空だき、調理中は窓部の面積を狭くして下さい。手段は別途耐火レンガ3個用意して中板の上に置いて開口部を塞ぎます。そうすると石窯の室温が安定します。なお、耐火レンガは非常に熱くなりますので手袋と&もの凄い厚手の布でつまんで取り外し作業を行って下さい。
下の写真の天井板に載っている耐火レンガがその役目の物です。(耐火レンガを立てて3個並べると良い。焼き具合は、その隙間から見ることが出来ます。)
3.9 屋根の取り付け
石窯が濡れないように屋根で覆います。写真は参考例(単管パイプと波板で造っています。熱が上がるので樹脂の波板は厳禁) 火の用心!
ついでですが、下記写真の白い石膏ボードは火力が強い場合の時に調理品を取り出すときに下の焚き付け窓口を軽く塞ぐために使用する物です。(写真の周囲に置いてある焚き付け薪は、雨に濡れないように置いてあるだけで石窯使用時にはどかしています。)
4.使用するに当たって
気がついた点を記述してみます。
4.1 火傷をしないために(火の用心について)
何処を触っても熱くて火傷します。布製の軍手を着用して下さい。また、耐火レンガに触れるときは、軍手と厚手の布で触れるようにして下さい。
石窯の周囲に燃える物を置かないようにして下さい。火災の原因になります。
天井板に物を置かないで下さい。ただし、水をいれたやかんを置いておくと湧かすことが出来ます。それ以外の用途ではやらないこと!
4.2 空だきについて
調理前に石窯を温める必要があります。必ず窓の開口部を耐火レンガ3個で塞いでから行い、空だきは1時間以上掛かります。強い火力で燃やす必要はありません。下の耐火レンガから順番に暖まってきますが、天井板も暖まりやすいです。空だき完了の見極め方は、手前一番上の耐火レンガが熱くて触れない程度になったらokです。(このときは慎重に素手で行って下さい)使っていく段階でok温度が判ってきます。
ok温度の場合には、ピザのチーズが入れた瞬間に泡立ってきます。
4.3 調理品の出し入れについて
調理品を入れている最中は、焚きつけている薪をいじらないこと!灰が舞いますので調理品に付着する可能性があります。(灰は無害?で問題ありませんが、美しくないので)
調理具合は、塞いでいる耐火レンガの隙間から確認出来ます。焼き上がりは早いので素早い行動でピザピールなどを扱って下さい。焦げ具合の早さに焦るので火傷に十分気を付けてとりだして下さい。(調理品が真っ黒になっても火傷だけはしないことを優先に心掛けて作業して下さい。とにかく火傷注意です!)
ピザピールの作成方法については別途記述してみたいと思います。
4.4 片付けについて
石窯に直接水を掛けないで下さい。どうなるか判りません!
残っている薪を外に出してから水を掛けて消火して下さい。
5.調理品について
創意工夫でいろんな事に利用できます。一例をあげてみました。
5.1 アップルパイ
・前日または早朝に下ごしらえをしてアップルパイを完成させて置いて下さい
(畑でトッピングしても構いませんが)
↓
・焼く1時間以上前に石窯に火を入れる
↓
・持参した物を石窯で焼く
アップルパイは冷えても味は変わらないので持ち帰えって下さい。お勧めです!
小型版を作った事も
小分けするのに良いので作ってみました。形は自由自在!
5.2 ピザ
ピザ作りが一番お勧めです。
簡単に出来ますよ!ピザ会をやってみては……
5.3 焼き肉
(取っ手のないフライパンに味付けした肉の塊を入れてフライパンごと入れておけば完成←油が落ちないようにフライパンにいれています)
下記写真は写真撮影のために少し出しています。火傷をしますので兎に角長い取り出し道具を用意して作業して下さい。
5.4 焼き芋
一斗缶の半分の奴に:半斗缶にさつまいもを入れて30分間入れておけば完成
5.5 パン
(鋳物の蓋付き鍋を使用します)焼く時間を掴むのに苦労しましたが……
失敗を重ねた結果……
これは…… 約10分入れておきました
容器と食材によるので試行錯誤が必要です。
6.終わりに
火傷のリスクを減らすために開口部の開閉を一枚板にした方が良いかなとも思っています。兎に角火傷と火の用心!です。
水準器による水平出しが基本作業なのでおっくうがらずにしっかりとやりましょう。
作業している間は本当に楽しいです。庭の片隅にお勧めしますよ!
もちろん調理しているときも…… 楽し、楽し
実は、一人で調理しているときが自分の世界には入れて……
一番良いと思っています!
いやいや、大勢の時も……
「楽しいですよ」
喜んでくれている…… 笑顔を見ると!!!!