原料にカキ殻 稚貝の成育促す
浜名湖のアサリの不漁に悩む浜名漁業協同組合(浜松市西区)の採貝組合連合会が、稚貝の成育を促すとされるカキ殻を原料とした栄養剤を使い、アサリの復活作戦を始める。
三重県鳥羽市の魚介類栄養補給剤製造販売「ケアシェル」が開発した商品。カキ殻の粉と水酸化マグネシウムを固めた二ミリ~十二ミリの粒で、砂利と混ぜてネットに入れ、干潟などに置いておく。粒が溶けると、海水がアサリの成長しやすい水素イオン濃度になり、ネットに付着したアサリの卵や幼生が成長する。ネットの中で育つので、天敵のツメタガイなどの被害もない。
ケアシェルの山口恵社長(62)によると、伊勢湾の砂浜ではアサリは一年で一センチほどになるが、ネットの中では四センチまで育ったものもあるという。
採貝組合連合会は栄養剤百二十キロと四百八十キロの砂利を用意。縦三十センチ、横六十センチのネットに混ぜ合わせた五キロを入れて浜に敷く。成功事例を参考に、栄養剤二割、砂利八割とするほか、砂利だけでも成育するか試す。この方法で半年ほど養殖した後、アサリの量を半分にして同じ方法で引き続き育てるか、ネットを使わないで、アサリをかごに入れて養殖する方法に切り替える。
ネットを浜に入れるのは五月の大型連休後を予定しており、連合会の山本兼三会長(62)は「初めての試み。二、三年かけて成果を見ていきたい」と話している。