「テルテル総理ご都合主義の改革路線」...(3)
世の中がバブル経済で浮かれていた頃、赤坂や新橋の料亭前に黒塗りの高級車が列をなし異様な光景を呈していた。密室政治の元凶と世の批判を浴びた「待合政治」である。バブル崩壊後は下火になったように見えるが、批判をかわす為、単に待合からホテル、高級レストランに場所を移しただけに過ぎない。安倍の時代から頻度が増えたが、菅の場合は一種病的である。
待合政治は幕末、長州・薩摩を中心とする倒幕に逸る下級武士集団が、藩や出入りの富豪を脅かし搔き集めた金で、京都の「池田屋旅館」や、祇園の「一力亭、魚品と言ったお茶屋(=待合)」で豪遊しながら倒幕の策を練ったのが発端である。維新前後には厨房を備えた「料理茶屋」に変貌し、伊藤博文達「元勲」が酒を飲み、芸者を呼んで宴会をしながら政治を論ずることが習慣となった。成り上がり者の下級武士が殿様や上級武士を真似て我が世の春を満喫した悪弊が今も形を変えて息ずいているのである。世界に類例の見ない待合政治、心根の卑しい政治家達には特権階級を意識できる恰好の場として、敗戦を機に世の中が大きく変貌した中でも雑草の様にしぶとく生き続ける「悪弊の最たるもの」である。
加藤官房長官は菅首相の各界の人との会食は「幅広い情報集め」に不可欠だから、今後も継続すると反省の姿勢全く見られず、豪華会食に呼ばれたい茶坊主評論家達も情報収集手段として必要だと、異口同音の大合唱である。
しかし王・江本・小早川と言った元プロ野球選手、俳優の杉良太郎やみのもんた、このような会食相手から得られる国家運営に必要な貴重な状報とは一体どの様なものなのか。お気に入りの一握りの人間の情報に頼って国家の重要事項を判断するのは極めて危険な事だとは多くの識者が指摘する処である。
その妥当性の問題はさて置き、3か月で朝・昼・晩、1500回の豪華会食、その費用の殆んどは官房機密費から支出されている可能性が高い。第2次安倍内閣が発足してからの7年間で使った「内閣官房機密費」は86億円余、そのうち領収書不要で会計検査院にも説明の必要のない“つかみ金”=「政策推進費」名目で78億円もの巨額な税金が使われたことが明らかになっている。新型コロナウイルス対策として、260億円をかけるアベノマスクや「桜を見る会」など、税金の不可解な使い方が次々と明らかになる安倍内閣、当時の機密費は菅官房長官自身が管理し、菅氏に渡った時点で支出が“完了”したものと扱われる為、使い道は菅や安倍首相官邸の裁量で決まる為、私的に流用しても一切表面化しない構図になっている。只関係者から漏れ伝わる情報では「外遊する国会議員に対する餞別」、「政府が国会対策と称して、曽ての筆頭野党であった社会党等、野党への見舞金」、「一部有名言論人やマスコミ懐柔資金」「政治評論家への盆暮れの巨額な謝礼金」などとその実態の一部を故塩川財務大臣がばらしている。文芸評論家の福田和也は「小泉時代にワタシが政権の悪口を書いていたら、内閣調査室の人間が来て、50万円を握らされそうになったことがあると著書の中で述べている。政治家主催のパーテイ券購入や、議員の自宅建設費、背広仕立て代、等私的流用の噂も後を絶たない。 第3次小泉改造内閣で内閣官房長官を務めた安倍晋三が支出した官房機密費の使途公開を要求する行政訴訟がおこされている。日本共産党の塩川鉄也議員は、2010年3月、議会で安倍が内閣官房長官在任期間中に「会合」の名目で計504回の官房機密費支出をおこなっていたことが判明したと主張、乱脈を極めた実態を報告している。
この胡散臭い使途不明金の使途はこれに止まらない。官房機密費予算14億円の内「内閣特別調査費」に振り当てられるのは2億円、残り12億円と、それ以外に外務省機密費約55億円から20億円を上納させるので、官邸の機密資金は優に年間30億円を超えるのである。こんな巨額な金が何の遠慮も無く自由に使える立場に居た安倍・菅、しかも元々自己抑制意識の乏しい二人、感覚が麻痺しブレーキが効かなくなって、今の乱脈ぶりに繋がっていることが容易に推測できる。これは一種の公金横領である。10月3日「Eggs ’n Things原宿店」と言う有名なパンケーキ店で60名近い首相番記者オフレコ懇談会が開催された。朝日、東京新聞2社は欠席したがNHK・西日本新聞が幹事会社として取り仕切り、批判が高まったので、外部からの詳細問い合わせには一切応じない、2千円程度の会費制にすると取り繕ったが上辺だけの話だろう。赤坂待合政治が原宿パンケーキ屋に変貌したのである。立派な官邸を作ったのだから、なぜ活用しないのか、全く以って宝の持ち腐れ、パンケーキをほお張る番記者の悲しくも卑しい姿が目に浮かぶ。
「危険・過酷な医療従事者がコロナな影響で減給や満足にボーナスも出ない為、退職者が後を絶たない」「コロナ不況で職を失い、ローンが払えずやっと手に入れたマイホームを泣く泣く手放さざるを得ない、一日一食の子育て所帯の悲鳴」と言うような暗く・悲しい話が数多く伝わってきている。その様な状況を無視し愚にもつかない情報集めの豪華会食・散財の話である。国民の為の政治等とは口が裂けても言える話ではないだろう。
自公政権議員の金にまつわる不祥事が後を絶たないのは政権トップのやりたい放題により政界全体にモラルの低下が蔓延している結果である。
政権与党を中心とする政治家は「政治家を稼業にし生活の糧、金儲けの極めて便利な手段」と考えている為、世襲化しその権益を維持する為有りとあらゆる努力を惜しまない。安倍の桜の会招待による選挙民買収もまさにその典型である。政権与党の議員が政権幹部に異論を唱えず盲従し、或いは一丸となって政権維持に狂奔するのも稼業を維持する為である。汚い金に手を付け、選挙民を買収するのも全ては稼業維持が目的である。
今年の国会開催は通常国会1月20日~6月17日の150日間、臨時国会10月26日~12月5日の41日間、実働はなんと190日。一方彼らの年収は「歳費+期末手当(ボーナス)」で平均2,200万円、それ以外に政治活動費として1)使途公開・報告義務のない「文書・通信・交通・滞在費」が年1200万円、2)「立法事務費」、年780万円、3)政党によっては盆暮れの「氷代・餅代」が政党交付金から100~400万円、これらの金が監獄に収監されていようと議員辞職しない限り支給が保障される。景気が悪く、税収がガタ減りでもお構いなし、ボーナス減額・返上等聞いたこともない。
国会議員の年収を比較すると日本:2,100~2,200万円 アメリカ:1,400~1,600万円 カナダ:1,100~1,300万円
ドイツ:1,000~1,150万円 フランス:900~,1,000万円とずば抜けて高い。
総理大臣の場合は別途特別職給与法の定めにより、基本給は月収205万円、それに各種手当やボーナスなどが加わって、年収は大体5,000万円程度(最高裁長官と同じ)、国務大臣3000万円、副大臣2800万円。これに対しアメリカ大統領4200万円、ドイツ首相3500万円、イギリス首相2000万円。国会で官僚の差し入れメモが無ければ答弁が出来ない閣僚ですらこの巨額報酬である。
何故このような巨額の報酬を出さねばならないのか。一番に帰ってくる答えが「国会議員の質を落とさない為」であるが漢字が読めない、日本語が覚束ない、意見表明が出来ない総理がいる国、十分議員の質は落ちており、いっその事報酬を半減すれば議員の質向上に繋がるのではなかろうか。
政府が閣議決定した来年度予算案見ると「財政規律のたが」が完全に外れている。来年度一般会計の総額は106兆6100億円程度で、今年度の102兆6580億円を超えて過去最大となる見通しで、100兆円を超えるのは3年連続である。今年度は、3度の補正予算を加えると当初予算の約1.7倍に膨らんだ歳出のために、国は112兆円、新たに借金を増やした。これは、当初予算の一般会計総額を上回る驚くような規模の借金だ。我が国の債務残高はGDPの2倍を超えており、主要先進国の中で最も高い水準である。必要なお金の3分の2を次の世代に頼る状態、日本は世界でも際だった「借金大国」だが、コロナ対応を理由に財政健全化の声はかき消され、25年度に国と地方の基礎的財政収支(プライマリー・バランス)を黒字化する目標は何処かにすっ飛んでしまったかのようである。
今の自公政権には政権維持(=稼業の維持・保全)の為には、追加財政支出はやむを得ないとの考えが根底にある。財政赤字が膨らむ原因は、自分の腹は痛まない「他人のお金」に頼っている処に原因がある。他の人が払った税金やこれから生まれてくる様な将来世代が返済負担を負う国債=他人のお金という感覚から抜けきれない為無駄遣いが後を絶たず、稼業維持の為、予算の分捕り合戦が始まるのだ。
菅内閣発足時、新任の文部科学副大臣と政務官が18日深夜に初登庁した際、職員ら100人以上が待機して出迎えたとの報道を受け、河野行革相が「ヤメレ!」と号令を発し有名となったが、この時女性職員が豪華な花束を贈呈している映像を見て、小さいことだが税金の無駄遣いが垣間見えたと思ったものだ。豪華な花束も税金、職員の残業料・食事代、帰宅の為のタクシー・ハイヤーの費用、一事が万事税金の無駄遣いオンパレード。自分の懐が痛む個人や中小企業の経営者ならあり得ない話である。全ては他人の金=自分の懐が痛まない処から来ている。
今年の9月イタリアでは国民投票により議員定数大幅な削減の憲法改正を行った。働かない政治家は不要とばかり、批判を押し切って、下院の定数を630から400へ、上院は315から200へと言う荒療治である。イタリアは日本と同じ時期に政権交代のある民主政治を実現する為、小選挙区比例代表並立制を導入した。イタリア政治は長い間混迷を続けたが、政治改革を成功させたのはイタリアだ。政党間の競争が働き、政権交代の緊張感が適度の改革を生み出している。
財政赤字の削減も日本より実効を上げ、大胆な地方分権も実現させた。両国の大きな違いは有権者の知的水準の違いではないだろうか。イタリアの投票率は70%台を維持しているのに対し日本は50%すれすれの水準、有権者の政治参加意識の差が極めて大きい。日本人が何時「茹でガエル現象」から脱却できるのか。
携帯電話料金の値下げや学術会議メンバー等不要不急の問題で「政治をやってる感」を出している暇はない。
「テルテル総理ご都合主義の改革路線」
喫緊の課題・政治改革…(4)
世の中がバブル経済で浮かれていた頃、赤坂や新橋の料亭前に黒塗りの高級車が列をなし異様な光景を呈していた。密室政治の元凶と世の批判を浴びた「待合政治」である。バブル崩壊後は下火になったように見えるが、批判をかわす為、単に待合からホテル、高級レストランに場所を移しただけに過ぎない。安倍の時代から頻度が増えたが、菅の場合は一種病的である。
待合政治は幕末、長州・薩摩を中心とする倒幕に逸る下級武士集団が、藩や出入りの富豪を脅かし搔き集めた金で、京都の「池田屋旅館」や、祇園の「一力亭、魚品と言ったお茶屋(=待合)」で豪遊しながら倒幕の策を練ったのが発端である。維新前後には厨房を備えた「料理茶屋」に変貌し、伊藤博文達「元勲」が酒を飲み、芸者を呼んで宴会をしながら政治を論ずることが習慣となった。成り上がり者の下級武士が殿様や上級武士を真似て我が世の春を満喫した悪弊が今も形を変えて息ずいているのである。世界に類例の見ない待合政治、心根の卑しい政治家達には特権階級を意識できる恰好の場として、敗戦を機に世の中が大きく変貌した中でも雑草の様にしぶとく生き続ける「悪弊の最たるもの」である。
加藤官房長官は菅首相の各界の人との会食は「幅広い情報集め」に不可欠だから、今後も継続すると反省の姿勢全く見られず、豪華会食に呼ばれたい茶坊主評論家達も情報収集手段として必要だと、異口同音の大合唱である。
しかし王・江本・小早川と言った元プロ野球選手、俳優の杉良太郎やみのもんた、このような会食相手から得られる国家運営に必要な貴重な状報とは一体どの様なものなのか。お気に入りの一握りの人間の情報に頼って国家の重要事項を判断するのは極めて危険な事だとは多くの識者が指摘する処である。
その妥当性の問題はさて置き、3か月で朝・昼・晩、1500回の豪華会食、その費用の殆んどは官房機密費から支出されている可能性が高い。第2次安倍内閣が発足してからの7年間で使った「内閣官房機密費」は86億円余、そのうち領収書不要で会計検査院にも説明の必要のない“つかみ金”=「政策推進費」名目で78億円もの巨額な税金が使われたことが明らかになっている。新型コロナウイルス対策として、260億円をかけるアベノマスクや「桜を見る会」など、税金の不可解な使い方が次々と明らかになる安倍内閣、当時の機密費は菅官房長官自身が管理し、菅氏に渡った時点で支出が“完了”したものと扱われる為、使い道は菅や安倍首相官邸の裁量で決まる為、私的に流用しても一切表面化しない構図になっている。只関係者から漏れ伝わる情報では「外遊する国会議員に対する餞別」、「政府が国会対策と称して、曽ての筆頭野党であった社会党等、野党への見舞金」、「一部有名言論人やマスコミ懐柔資金」「政治評論家への盆暮れの巨額な謝礼金」などとその実態の一部を故塩川財務大臣がばらしている。文芸評論家の福田和也は「小泉時代にワタシが政権の悪口を書いていたら、内閣調査室の人間が来て、50万円を握らされそうになったことがあると著書の中で述べている。政治家主催のパーテイ券購入や、議員の自宅建設費、背広仕立て代、等私的流用の噂も後を絶たない。 第3次小泉改造内閣で内閣官房長官を務めた安倍晋三が支出した官房機密費の使途公開を要求する行政訴訟がおこされている。日本共産党の塩川鉄也議員は、2010年3月、議会で安倍が内閣官房長官在任期間中に「会合」の名目で計504回の官房機密費支出をおこなっていたことが判明したと主張、乱脈を極めた実態を報告している。
この胡散臭い使途不明金の使途はこれに止まらない。官房機密費予算14億円の内「内閣特別調査費」に振り当てられるのは2億円、残り12億円と、それ以外に外務省機密費約55億円から20億円を上納させるので、官邸の機密資金は優に年間30億円を超えるのである。こんな巨額な金が何の遠慮も無く自由に使える立場に居た安倍・菅、しかも元々自己抑制意識の乏しい二人、感覚が麻痺しブレーキが効かなくなって、今の乱脈ぶりに繋がっていることが容易に推測できる。これは一種の公金横領である。10月3日「Eggs ’n Things原宿店」と言う有名なパンケーキ店で60名近い首相番記者オフレコ懇談会が開催された。朝日、東京新聞2社は欠席したがNHK・西日本新聞が幹事会社として取り仕切り、批判が高まったので、外部からの詳細問い合わせには一切応じない、2千円程度の会費制にすると取り繕ったが上辺だけの話だろう。赤坂待合政治が原宿パンケーキ屋に変貌したのである。立派な官邸を作ったのだから、なぜ活用しないのか、全く以って宝の持ち腐れ、パンケーキをほお張る番記者の悲しくも卑しい姿が目に浮かぶ。
「危険・過酷な医療従事者がコロナな影響で減給や満足にボーナスも出ない為、退職者が後を絶たない」「コロナ不況で職を失い、ローンが払えずやっと手に入れたマイホームを泣く泣く手放さざるを得ない、一日一食の子育て所帯の悲鳴」と言うような暗く・悲しい話が数多く伝わってきている。その様な状況を無視し愚にもつかない情報集めの豪華会食・散財の話である。国民の為の政治等とは口が裂けても言える話ではないだろう。
自公政権議員の金にまつわる不祥事が後を絶たないのは政権トップのやりたい放題により政界全体にモラルの低下が蔓延している結果である。
政権与党を中心とする政治家は「政治家を稼業にし生活の糧、金儲けの極めて便利な手段」と考えている為、世襲化しその権益を維持する為有りとあらゆる努力を惜しまない。安倍の桜の会招待による選挙民買収もまさにその典型である。政権与党の議員が政権幹部に異論を唱えず盲従し、或いは一丸となって政権維持に狂奔するのも稼業を維持する為である。汚い金に手を付け、選挙民を買収するのも全ては稼業維持が目的である。
今年の国会開催は通常国会1月20日~6月17日の150日間、臨時国会10月26日~12月5日の41日間、実働はなんと190日。一方彼らの年収は「歳費+期末手当(ボーナス)」で平均2,200万円、それ以外に政治活動費として1)使途公開・報告義務のない「文書・通信・交通・滞在費」が年1200万円、2)「立法事務費」、年780万円、3)政党によっては盆暮れの「氷代・餅代」が政党交付金から100~400万円、これらの金が監獄に収監されていようと議員辞職しない限り支給が保障される。景気が悪く、税収がガタ減りでもお構いなし、ボーナス減額・返上等聞いたこともない。
国会議員の年収を比較すると日本:2,100~2,200万円 アメリカ:1,400~1,600万円 カナダ:1,100~1,300万円
ドイツ:1,000~1,150万円 フランス:900~,1,000万円とずば抜けて高い。
総理大臣の場合は別途特別職給与法の定めにより、基本給は月収205万円、それに各種手当やボーナスなどが加わって、年収は大体5,000万円程度(最高裁長官と同じ)、国務大臣3000万円、副大臣2800万円。これに対しアメリカ大統領4200万円、ドイツ首相3500万円、イギリス首相2000万円。国会で官僚の差し入れメモが無ければ答弁が出来ない閣僚ですらこの巨額報酬である。
何故このような巨額の報酬を出さねばならないのか。一番に帰ってくる答えが「国会議員の質を落とさない為」であるが漢字が読めない、日本語が覚束ない、意見表明が出来ない総理がいる国、十分議員の質は落ちており、いっその事報酬を半減すれば議員の質向上に繋がるのではなかろうか。
政府が閣議決定した来年度予算案見ると「財政規律のたが」が完全に外れている。来年度一般会計の総額は106兆6100億円程度で、今年度の102兆6580億円を超えて過去最大となる見通しで、100兆円を超えるのは3年連続である。今年度は、3度の補正予算を加えると当初予算の約1.7倍に膨らんだ歳出のために、国は112兆円、新たに借金を増やした。これは、当初予算の一般会計総額を上回る驚くような規模の借金だ。我が国の債務残高はGDPの2倍を超えており、主要先進国の中で最も高い水準である。必要なお金の3分の2を次の世代に頼る状態、日本は世界でも際だった「借金大国」だが、コロナ対応を理由に財政健全化の声はかき消され、25年度に国と地方の基礎的財政収支(プライマリー・バランス)を黒字化する目標は何処かにすっ飛んでしまったかのようである。
今の自公政権には政権維持(=稼業の維持・保全)の為には、追加財政支出はやむを得ないとの考えが根底にある。財政赤字が膨らむ原因は、自分の腹は痛まない「他人のお金」に頼っている処に原因がある。他の人が払った税金やこれから生まれてくる様な将来世代が返済負担を負う国債=他人のお金という感覚から抜けきれない為無駄遣いが後を絶たず、稼業維持の為、予算の分捕り合戦が始まるのだ。
菅内閣発足時、新任の文部科学副大臣と政務官が18日深夜に初登庁した際、職員ら100人以上が待機して出迎えたとの報道を受け、河野行革相が「ヤメレ!」と号令を発し有名となったが、この時女性職員が豪華な花束を贈呈している映像を見て、小さいことだが税金の無駄遣いが垣間見えたと思ったものだ。豪華な花束も税金、職員の残業料・食事代、帰宅の為のタクシー・ハイヤーの費用、一事が万事税金の無駄遣いオンパレード。自分の懐が痛む個人や中小企業の経営者ならあり得ない話である。全ては他人の金=自分の懐が痛まない処から来ている。
今年の9月イタリアでは国民投票により議員定数大幅な削減の憲法改正を行った。働かない政治家は不要とばかり、批判を押し切って、下院の定数を630から400へ、上院は315から200へと言う荒療治である。イタリアは日本と同じ時期に政権交代のある民主政治を実現する為、小選挙区比例代表並立制を導入した。イタリア政治は長い間混迷を続けたが、政治改革を成功させたのはイタリアだ。政党間の競争が働き、政権交代の緊張感が適度の改革を生み出している。
財政赤字の削減も日本より実効を上げ、大胆な地方分権も実現させた。両国の大きな違いは有権者の知的水準の違いではないだろうか。イタリアの投票率は70%台を維持しているのに対し日本は50%すれすれの水準、有権者の政治参加意識の差が極めて大きい。日本人が何時「茹でガエル現象」から脱却できるのか。
携帯電話料金の値下げや学術会議メンバー等不要不急の問題で「政治をやってる感」を出している暇はない。
「テルテル総理ご都合主義の改革路線」
喫緊の課題・政治改革…(4)