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来年は見に行きたい!鷹。

2004-10-30 16:33:40 | ニュース
◇勇壮で華麗な乱舞

 日本で見られる野鳥のうち、少なからぬ種類が季節的な渡りをする。夏鳥のツバメやカッコウ、冬鳥のハクチョウやカモ類が有名だが、タカの仲間も渡りをすることが知られている。サシバ、ハチクマ、ノスリなどで、その多くは夏に日本で繁殖し、冬は東南アジアなど南方で越冬する。

 彼らは毎年、春と秋に日本と南方を行き来するが、南へ向かう秋の渡りは一定の時期に集団で移動するため、目撃しやすい。国内には渡りの途中にタカ類が集中して通過する場所があり、渡りのシーズンには観察のため多くの野鳥ファンが訪れる。その一つが、北アルプス・乗鞍岳の山すそにある奈川村の白樺峠だ。

 峠は標高1600メートル。渡りの時期には「信州ワシタカ類渡り調査研究グループ」(タカ渡り研、植松晃岳代表)のメンバーが常駐し、通過するタカの種類や数を毎日記録している。9月にはサシバやハチクマ、10月にはノスリやツミが渡り、1日に1000羽以上が通過することもある。峠の観察地は北東に開けており、遠くに松本平が望める。タカたちはその方角からやって来る。9月半ばから峠へ通い、渡りの様子を観察した。

 ▽13日、晴れ。はるか上空や遠い谷筋を行くタカが多く、見にくい。通過個体数はサシバなど計342羽(タカ渡り研調べによる速報値)。

 ▽16日、晴れ。多数が通過。午後は上空高くを通る。サシバなど計1306羽(同)。

 ▽24日、曇り後雨。サシバやハチクマがかなり近くを飛んだ。計662羽(同)。

 ▽28日、晴れ。タカの群れが谷間で上昇気流に乗る時、柱状に旋回上昇して作る“タカ柱″がいくつも見られ、壮観。サシバやハチクマのほか、ノスリ、ツミも通過。ミサゴも目撃。今季最多の計2129羽(同)。

 ▽10月1日、台風一過の快晴。昼前からサシバやハチクマ、ノスリが近くを次々と通過。ハイタカやハヤブサも見られた。計692羽(同)。

 観察では、はるか梓川沿いの谷間に現れた群れは、気流に乗り上昇しながらタカ柱を形成。一定の高さに達すると、滑空しながらぐんぐんこちらに近づき、次々と峠を越えていく。真上で乱舞することもあり、見物人から「オーッ」と歓声が上がる。その様子は勇壮で華麗だ。

 タカ渡り研の調べでは、昨年秋に白樺峠を越えたのはサシバ8597羽、ハチクマ1982羽、ノスリ1622羽、ツミ1277羽など計1万3807羽。なぜ、多くのタカがこの峠を越えるのか。メンバーの中村照男さん(53)は「北アのりょう線を越えるタカもいるが、ここを越える方が楽なのだろう」と言う。

 彼らの詳細な渡りルートはまだ十分には解明されていない。白樺峠を越えたタカは岐阜県内に入るはずだ。彼らはそのように各地を経由して国内を南下する。そして海を渡り、それぞれの越冬地を目指して旅を続ける。【武田博仁】

毎日新聞 2004年10月20日


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